
デザイナーや、パフォーマンス集団「近未来美術研究所」代表などさまざまな顔を持つ荒木由聖さんが主宰するスペース「SAPPORO UNDERGROUND NECCO(ネッコ)」では、さまざまなグループ展がひらかれます。
「黒展」もそのひとつで、約20人が、モノクロームを基調としたイラストや写真、立体などの小品を持ち寄っています。
なぜ黒か。おそらく、荒木さんたちの
「なにがホワイトクリスマスだ、バカヤロー」
という心の叫びなのでしょう。たしか、イエスも言ってましたね。
「おれの誕生日にいちゃつくんじゃねえ」
(そんなことは言ってないし、聖書に載っていない)
冗談はさておき、冒頭の画像は、荒木さんが鉛筆で描いた「噓と罰」。
一時期流行し、近年はあまり見かけなくなったシュルレアリスム絵画のようです。
スクール水着の女性の頭部が変形し、背後には大型のアメ車が止まって、謎めいた雰囲気のなかにもフェティシズム的なにおいが漂います。
荒木さんが絵画を発表するのは久しぶりのようです。
右は水中蝶生さん「UNFAIR アンフェア」。
細かい点描で、白黒の階調を豊かに描いた力作。
右側手前はKEISUKE.さん「アンチ」。
黒い球体と、黒く塗ったパズルのピースを組み合わせ、存在感と重量感があります。
その向こうに見えているのは、叶さん「あなたがくれた涙」。
鏡の破片とモノクロ写真の小さなプリントを組み合わせて、ざらついてひりひりとした心象風景を表現しているようです。
最近、発表の回数がめざましい裕樹さん。
左は「正逆」。黒い紙に鉛筆で描いています。
右の「集合と分散」は、ビーズやひもなどをちりばめ、「描く」ことなく、1枚の平面作品に仕上げています。
左はサノシズカさん「退屈」。
中央に描かれているのは横向きの裸婦。それを取り囲む白い樹脂の部分のほうが大きいのがユニークです。
右は「ふたごの.」さん「運命の輪」。
作品上部の飾りは、一定の速度で右回りに回転しています。時計のパーツを利用しているのでしょう。
會田千夏さん、こんな展覧会に出品しているのはちょっと驚き。今回の出品者ではほとんど唯一、道内外の画壇でも活躍する人だからです。
「the new telescope 2016.12.21 for BXM」という題がついており、ことし9月にギャラリーRetara で開いた個展の出品作とも共通した作風です(大きさは相当異なりますが)。
會田さんはポストカードも出していましたが、これまでの画風と違い、ホラー映画のように恐ろしい架空の動物を描いたものもありました。
左はPagotaさんの作品。
右は「猫と羊」さんの「無題」。肖像画です。
このほかにもたくさんの作品が、それほど広くない会場にぎっしり並んでいます。
最先端の現代アートとも、団体公募展の大作とも違って、小ぶりではありますが、それぞれに作者にとって切実な表現だと感じる作品がいくつもありました。
最後に、蛇足めいたことを書きます。
NECCO に出入りしている人は、パン屋兼ギャラリーのモンクールや、豊平のギャラリー犬養に出入りする人とは共通しているような印象があります。しかし、北24条のギャラリー喫茶チャオの常連とはあまり重なっていないようです(チャオは写真をやる人が多いからかもしれません)。
また、「プチレストランぱーとな」などを訪れる水彩画の愛好家とはほとんど交流はなさそうだし、さらに、道展や全道展に出品する画家・彫刻家たちはまったく別の世界に生息しているかのようです。後者の人脈と、いわゆる「現代アート」はわりあい近いところにいますが、そもそも道内には「現代アート」の人があまり多くありません。
「ものづくり系」でも、石の蔵ぎゃらりぃはやしの客と、チ・カ・ホのマーケットなどを楽しみにしている人たちは違いそうだし、人形は人形で、陶芸は陶芸で、それぞれの島宇宙を形成しています。写真の世界でも、写真道展で入賞を狙ったり大きな望遠レンズを携えて道東の原野に通ったりしている人は、チャオでキヤノン写真新世紀について語り合っている人たちとは、見事なまでにわかれているように感じます。
筆者は、そのこと自体を批判するつもりはありません。それぞれの分野が盛んになってきていることは、それ自体としてはことほぐべきでしょう。
ただ、それぞれの島宇宙化が進んで、異業種交流の場は昔にくらべると減ってきているというのが実感としてあります。
そして、筆者は先に挙げた島々すべてを渡り歩き(ほかに書道などもある)、その結果すべてにおいて中途半端な見聞になっているような気がしないでもありません。ただ、全体を見渡す人も必要なんだと、じぶんに言い聞かせながら日々を送っています。
2016年12月22日(木)~27日(火)午後7~11時(土日は午後2~6時)
SAPPORO UNDERGROUND NECCO (札幌市中央区南1西12 AMSビル4階)
・市電「中央区役所前」から約200メートル、徒歩3分
・地下鉄東西線「西11丁目駅」から約250メートル、徒歩4分
・じょうてつバス「西11丁目駅前」から約250~440メートル、徒歩4~6分(上り下り、系統によって異なる)
・中央バス、ジェイアール北海道バス「教育文化会館前」から約490メートル、徒歩7分
□黒展2 http://kokuten2.tumblr.com/
「黒展」もそのひとつで、約20人が、モノクロームを基調としたイラストや写真、立体などの小品を持ち寄っています。
なぜ黒か。おそらく、荒木さんたちの
「なにがホワイトクリスマスだ、バカヤロー」
という心の叫びなのでしょう。たしか、イエスも言ってましたね。
「おれの誕生日にいちゃつくんじゃねえ」
(そんなことは言ってないし、聖書に載っていない)
冗談はさておき、冒頭の画像は、荒木さんが鉛筆で描いた「噓と罰」。
一時期流行し、近年はあまり見かけなくなったシュルレアリスム絵画のようです。
スクール水着の女性の頭部が変形し、背後には大型のアメ車が止まって、謎めいた雰囲気のなかにもフェティシズム的なにおいが漂います。
荒木さんが絵画を発表するのは久しぶりのようです。

細かい点描で、白黒の階調を豊かに描いた力作。

黒い球体と、黒く塗ったパズルのピースを組み合わせ、存在感と重量感があります。
その向こうに見えているのは、叶さん「あなたがくれた涙」。
鏡の破片とモノクロ写真の小さなプリントを組み合わせて、ざらついてひりひりとした心象風景を表現しているようです。

左は「正逆」。黒い紙に鉛筆で描いています。
右の「集合と分散」は、ビーズやひもなどをちりばめ、「描く」ことなく、1枚の平面作品に仕上げています。

中央に描かれているのは横向きの裸婦。それを取り囲む白い樹脂の部分のほうが大きいのがユニークです。
右は「ふたごの.」さん「運命の輪」。
作品上部の飾りは、一定の速度で右回りに回転しています。時計のパーツを利用しているのでしょう。

「the new telescope 2016.12.21 for BXM」という題がついており、ことし9月にギャラリーRetara で開いた個展の出品作とも共通した作風です(大きさは相当異なりますが)。
會田さんはポストカードも出していましたが、これまでの画風と違い、ホラー映画のように恐ろしい架空の動物を描いたものもありました。

右は「猫と羊」さんの「無題」。肖像画です。
このほかにもたくさんの作品が、それほど広くない会場にぎっしり並んでいます。
最先端の現代アートとも、団体公募展の大作とも違って、小ぶりではありますが、それぞれに作者にとって切実な表現だと感じる作品がいくつもありました。
最後に、蛇足めいたことを書きます。
NECCO に出入りしている人は、パン屋兼ギャラリーのモンクールや、豊平のギャラリー犬養に出入りする人とは共通しているような印象があります。しかし、北24条のギャラリー喫茶チャオの常連とはあまり重なっていないようです(チャオは写真をやる人が多いからかもしれません)。
また、「プチレストランぱーとな」などを訪れる水彩画の愛好家とはほとんど交流はなさそうだし、さらに、道展や全道展に出品する画家・彫刻家たちはまったく別の世界に生息しているかのようです。後者の人脈と、いわゆる「現代アート」はわりあい近いところにいますが、そもそも道内には「現代アート」の人があまり多くありません。
「ものづくり系」でも、石の蔵ぎゃらりぃはやしの客と、チ・カ・ホのマーケットなどを楽しみにしている人たちは違いそうだし、人形は人形で、陶芸は陶芸で、それぞれの島宇宙を形成しています。写真の世界でも、写真道展で入賞を狙ったり大きな望遠レンズを携えて道東の原野に通ったりしている人は、チャオでキヤノン写真新世紀について語り合っている人たちとは、見事なまでにわかれているように感じます。
筆者は、そのこと自体を批判するつもりはありません。それぞれの分野が盛んになってきていることは、それ自体としてはことほぐべきでしょう。
ただ、それぞれの島宇宙化が進んで、異業種交流の場は昔にくらべると減ってきているというのが実感としてあります。
そして、筆者は先に挙げた島々すべてを渡り歩き(ほかに書道などもある)、その結果すべてにおいて中途半端な見聞になっているような気がしないでもありません。ただ、全体を見渡す人も必要なんだと、じぶんに言い聞かせながら日々を送っています。
2016年12月22日(木)~27日(火)午後7~11時(土日は午後2~6時)
SAPPORO UNDERGROUND NECCO (札幌市中央区南1西12 AMSビル4階)
・市電「中央区役所前」から約200メートル、徒歩3分
・地下鉄東西線「西11丁目駅」から約250メートル、徒歩4分
・じょうてつバス「西11丁目駅前」から約250~440メートル、徒歩4~6分(上り下り、系統によって異なる)
・中央バス、ジェイアール北海道バス「教育文化会館前」から約490メートル、徒歩7分
□黒展2 http://kokuten2.tumblr.com/