
1969年に結成された美術グループ「GROUP斜面」が、ほぼ毎月展覧会を開催し続け、11月の展覧会(12月2日まで開催)でなんと第500回展を迎えました。
道内はもちろん、全国的にもちょっと例のない快挙だと思います。
北海道の地方都市の小さなグループとはいえ、500回というのはすごいことだし、日本の美術史の片隅に載せておいてしかるべき活動ではないでしょうか。
おめでとうございます。
なお、500回展とは別に、「500回記念展」を来春、北網圏文化センターで開くそうです。

GROUP斜面は、1969年、大石耕史、菅原千恵子、鷲見憲治、田丸忠、林弘堯、松田陽一郎の6氏で旗揚げしました。
驚くべきことに、このうち田丸さんと林さんはいまもメンバーとして毎月出品を続けています。
60年代のオリジナルメンバーが残っているとは、なんだかキース・リチャーズとミック・ジャガーみたいですね(違うか)。
鷲見さんも名前は連ねているはずですが、90代とご高齢のため、出品はなさっていないと思います。
大石、菅原両氏は退会し、松田さんは亡くなられました。
なお「斜面」とは、氷河によって形成されたオホーツク地方のなだらかな地形をさす言葉です。
結成に当たっての文言は簡単なものでした。
I group斜面は制作の場としてこの地方を選択し、そこに露呈する真実をとらえ、真に風土的であることにより風土を超えようとします。
II group斜面を我々の新たな風土として結成します。
第1日曜を例会及び展示日とする。
田丸さんは、先日の北海道新聞のインタビューに対し、会則が簡単なものだったから長続きしてきたのでは-という意味のことをおっしゃっていました。
ただ、当時は、美術の勉強をしたり画家を志したりしていても、大学進学や上京をあきらめる人は今よりも多かったと思います。
地方にとどまっていても文化活動はできる! という信念のようなものが、この旗揚げの言葉には隠されているのではないかと思うのです。
以前も書いたと思いますが、戦後米国美術界をリードした評論家クレメント・グリーンバーグは「地方的なもの」や「キッチュなもの」を排斥する論陣を張りました(と書くつもりだったが、引用したくてももとの文章が見当たらない)。
しかし、「中心/周縁」の図式があいまい化した現代にあっては、ローカリティーもまた、作家の拠って立つひとつの場所ではないかと思うのです。
当初は、モカという喫茶店が会場でしたが、ほどなく閉店し、1971年からは現在の「画廊喫茶ジャンル」に舞台を移しています。
また、初期には、月刊「斜面」という雑誌も出していたそうです(4号で終刊)。
長い歴史の間には、第200回記念展を札幌・大同ギャラリーで、300回記念展を韓国・晋州市で、350回記念展を高知市民美術展との共催で、それぞれ開催しています。
また、200、250、300、350、400、450回の記念展は北網圏北見文化センターでも開いています。
さて、北見の美術人口は、都市の規模と比べてもそれほど多いものではありません。
group斜面に属しているのは、毎月新作を発表する意欲のある人であり、そういう人は限られています。年に1度のオホーツク美術展に新作を出すのがやっとという主婦などは、加入できないでしょう。
そんなわけで、穏健な風景画を描く人も、タブローの枠におさまらないインスタレーションを作る人も、一緒になって同じグループに属しているのが「斜面」なのです。
現在のメンバーは、次のとおり。
阿部賢一、安藤志津夫、岡崎公輔、小川清人、小川みち、勝谷明男、鷲見憲治、田丸忠、高森忠、富沢裕子、林弘堯
全員が1910~50年代生まれ、還暦を過ぎています。
かつて60年代までは同様のグループはあちこちにあったそうですが、ギャラリーの数が増えてグループ展よりも個展に重点を置く作家が多くなったこともあり、「斜面」のような活動を続けているグループはなくなりました。
ムリのない範囲で、いつまでも活発な活動を続けてほしいと思います。
2012年10月29日~12月2日(日)、木曜休み
喫茶ジャンル(北7西4)
・JR北見駅から約830メートル、徒歩11分
・北見バスターミナルから約750メートル、徒歩10分