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金沢一彦銅版画展(9月12日まで)

2006年09月11日 05時09分27秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 金沢さんの銅版画は、想像上の動物みたいのや、丸っこい人物などが登場して、ほんとに心温まる世界です。個展は毎年ひらいていますが、今回は、お買い得の小品が多いのと、「中学生に教えているうちにやみつきになった」という粘土製のマリオネットが16体ほど出品されているのが特徴です。
 マリオネットは、顔が2種類ある雪女とか、セイレーンとか、阿修羅とか、人間じゃないものが多いです。もちろん、かんたんな操作で手足が動きますが、人形劇を上演するのには向かないとのことでした。
 それにしても、どうして金沢さんの作品を見ていると、郷愁と同時に切なさみたいな感情を抱くのか、ちょっと考えてみました。
 金沢さんの版画は、けっこう横長の構図で(そういえば、縦位置の作品って、ごく少ないな)、人物や動物を横に並べているから、わりと移動中の人物や動物を描いた作品が多いです。これって、ふつうの具象絵画では、風景や静物はもちろん人物にしても、動いている途中のものがモティーフになっていることって、意外と少ないと思うんですよ。旅している途中の人を見れば
「ああ、この人はどこへ行くのだろう」
と思いますよね。これが理由じゃないだろうかと。
 移動中でなくても、今回の出品作「早朝の旅立ち」みたいに、少年が空飛ぶ馬に乗って出発する情景というのもあります。少女は塔屋の中から見送っています。これなんかも、いったいどういう物語なんだろうと想像しちゃいます。
 あと、銅版画というのも、良いです。色が沈んでいることで、かえって懐かしい感じが出るんじゃないでしょうか。しかも、2色が多いので、ちょっと昔の印刷みたいな雰囲気があるんですよね。見る人が想像で補うのにちょうど良い情報量なのではないかと。
 ただ、今回の出品作には、ステンシルで黄色や紫などの星印をちりばめたものもありました。あくまでアクセントなので、全体のトーンは変わっていませんが。

9月7日(木)-12日(火)10:00-18:00(最終日-17:00)
大同ギャラリー(中央区北3西3、大同生命ビル3階 地図A

■2003年の個展
■02年の個展


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