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米坂ヒデノリさん死去(釧路、彫刻家)

2016年04月05日 10時19分55秒 | 情報・おしらせ
 2016年4月4日付釧路新聞( http://www.news-kushiro.jp/news/20160404/201604045.html )によると、北海道を代表する彫刻家の米坂ヒデノリ(本名・英範)さんが1日に亡くなっていたそうです。

 米坂さんは1934年(昭和9年)、釧路市生まれ。
 母子家庭に育ち、高校時代は絵が好きで、早くも50年に油彩で全道展に入選しています。
 東京芸大受験の直前に、志望を油画から彫刻科に変更し合格。同科を首席で卒業しました。
 その後、東京の最高裁判所大ホールの正面レリーフ「神の国への道」を手がけるなど、道内外で数多くのモニュメントを制作しました。
 1987年から約20年間、空知管内栗山町に招かれて移り住みましたが、晩年は故郷・釧路に戻りました。

 木彫を手がけるようになったのは、東京芸大を出て釧路に戻り、アイヌ民族の彫刻家、床ヌブリさんから、木を渡されたのがきっかけだそうです。
 札幌で比較的容易に見ることができるのは、道立文学館の常設展示室でしょう。米坂さんの木彫「火山灰地」などがおかれています。

 洞爺湖畔など各地にある作品のうち、代表作といえるのはやはり、釧路市民文化会館の前にある「凍原」でしょうか。
 同郷の小説家、原田康子さんの作品に着想を得たといわれるこの彫刻には、北国の凍てつく大地に生きる人々の精神の叫びと祈りが、凝縮されているように思われます。

 また、後年の代表作といえば、ろう型によるオーケストラの大作、「ミュージアム(頌韻)」でしょう。
 弦楽器、管楽器、指揮者など全パート、約80体をひとつひとつ作り、壮大な人間の交響楽をそこに現出させました。

 さらに、釧路短大で教鞭を執るかたわら、北海道新聞文化面のコラム「魚眼図」に長期にわたって執筆し、それらの文章は「間道を行け」などの本にまとめられています。米坂さんは、文明の本質を見据えた論客でもあったのです。北海道とイタリアの文化交流協会の会長を務めていたこともありました。

 米坂さんは「9・11テロ」などの、宗教間の相克や対立に胸を痛めていたことを思い出します。広いスケールと知的好奇心を持っていました。 
 馬やフクロウの作品にみられるように、北海道の風土と精神が、分かちがたく造形に結びついたまれな彫刻家であったと思います。

 ご冥福をお祈りします。


 「釧路を彩る作家たち」(瀬戸厚志著)などを参考にまとめた略年譜を掲げておきます。
 もちろん、展覧会はこれがすべてではなく、一部を挙げてあります。


1958 第13回全道展で北海道知事賞受賞
1959 全道美術協会会員(1981年退会)
1961 自由美術協会会員

1977 北海道文化奨励賞受賞
1982 第5回北海道現代美術展で道立近代美術館賞
   「間道を行け」(北海道新聞社)出版

1987 空知管内栗山町に招かれ移住。のちにアトリエ兼ミニ美術館「忘筌庵」を開設
1995 米坂ヒデノリ・岡田節子2人展(東京・紀江画廊)
   木の記憶・彫刻の記憶(芸術の森美術館)
1996 木の現代造形 創造と思索の森から(道立旭川美術館)
1997 米坂ヒデノリの世界(NHKギャラリー・札幌)
1998 北の彫刻展(札幌彫刻美術館)
2001 檜山管内上ノ国町の中学校で出前展
2005 北海道文化賞
   釧路市立美術館で個展「Art Spirit くしろの造形(かたち)4」
2006 釧路の寿小学校に「トッカリ記念館」
   このあたりで、栗山から釧路に戻る
2009 道功労賞
   釧路芸術館で米坂ヒデノリ「オーケストラ」展
2012 釧路湖陵高に100年記念像「コタンコロカムイ」
   代表作の木彫「コタンコロカムイ」などの作品30点余りを釧路市教委に寄託
2014 釧路市民文化会館で個展


参考:朝日新聞北海道版「まちかどアートめぐり」 米坂ヒデノリ「凍原」 http://www.asahi.com/area/hokkaido/articles/MTW20140910011150001.html


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米坂ヒデノリ「凍原」 釧路の野外彫刻(27)


米坂ヒデノリ「青年の像」 釧路の野外彫刻(26)

米坂ヒデノリ「少女の頭像」 釧路の野外彫刻(25)

彫刻家・米坂ヒデノリさんが釧路管内白糠町庶路にアトリエ(2011年8月)

米坂ヒデノリ「送り火」 釧路の野外彫刻 (18)
米坂ヒデノリ「防雪林」 釧路の野外彫刻(17)
米坂ヒデノリ「母と子」 釧路の野外彫刻(16)
大滝と洞爺湖畔へ(続き)=三松正夫像

米坂ヒデノリ個展(2006年)
米坂ヒデノリ個展 (2005年、画像なし)
米坂ヒデノリ彫刻展(コタンコロカムイ)(2003年、6月6日の項。画像なし)
アートスタジオ紅緒展 (2002年、画像なし)
2002自由美術北海道グループ展
米坂ヒデノリ個展(2000年)=12月13日の項


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