老人雑記

生活の中で気づいた浮世の事

御所おんせん

2015-12-12 18:07:54 | 俳句


徳島へお墓参りに。
香川から、徳島へ行くには、色んなルートがある。
我が故郷へ一番近い道は、阿讃山脈(オオバー)を越えて、香川から徳島県の吉野川市に。
途中、山の中に御所温泉がある。
御所という名のとおり、かって承久の乱で土佐に配流された土御門上皇が阿波に遷座され、行在所した場所と伝られ、遺跡が残っている。

奧宮川内谷の渓谷沿いに郷土料理「たらいうどん」の店が並んでいる。

      ☆    御所跡の岩磨かれて花楓    川口恒星



国道318号線は今雑木紅葉が真っ盛りである。
夏は合歓の花が咲いていて、この山中の道はいつも、空気がおいしい。

道の駅土成は吉野川支流の、宮川内谷川に沿って建っている。
ここに、この土地の名物「たらいうどん」のおおきな盥を展示している。
イベントで一回使用されただけだそうである。
直径8メートル弱、深さ70センチちかくはあるだろうか?
イベントに参加して、たらいうどんを食している人達の写真を飾っている。

「たらいうどん」は盥に湯をため、それにゆでたてのうどんが入っている。こしが硬い少し太めのうどんを、じんぞくと言う小魚で取った、だし汁でいただく。
さぬきうどんのセルフサービスとは又違った楽しみ方のうどんである。

渓谷に沿った川床席へ、国道から降りて行く。隠れ家のような、店がある。
京都のような川床とは比べようもないが、鳥の声、川のせせらぎの音。今なら紅葉に染まった周囲の山々。普通の道沿いには無い店がまえであるから、味わいも一段と良い。



          川床に盥の湯だめうどんかな   葉

          やつとこさ沢蟹床几登りきる   葉

          川床や流離の帝祀る郷    葉



      ☆    はらわたを青葉に染めてうどん食ぶ    佐滝宏和

      ☆    うどん煮る石のかまどに朴の薪    沢木欣一

 著名な俳人たちも、ここで作句をしている。
夏は青葉とせせらぎ。冬は温泉と、楽しい場所である。


道の駅でしばし休憩して出発。もうすぐ、故郷の街がある。

      紅葉濃しゆかし名前の御所神社

      冬紅葉谷風に鳴るガラス窓

      もう阿波は春待月の薺咲く

      螺旋階段一段ごとに蘭の鉢

      皮手袋左右に傾ぐオートバイ           

              

      



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