既報の様に、福島原発事故処理水の 国際基準などに則(のっと)った安全策を施した上での海洋放出開始が、早ければ明日午後にも開始される様だ。
先の東日本大震災とそれに伴う福島原発事故で 事業の存亡にも関わる大ダメージを負った現地漁業関係各位の想像を超えた辛苦は理解する。その上で、やはり我国今後のエネルギー調達を想うと 一定の原子力利用はやむなきものと心得る。
ただ、前述漁業関係各位に向けた 岸田総理の事故処理水の管理などに関する科学的な所を含めた説明は、必ずしも丁寧で十分ではない様な印象が付き纏うのも事実。先日の現地漁協上部各位との面会でも、どうも結論を急ぎ過ぎている所があるのではと拙者も思った。事後となっても良いから、この辺りのフォローはしっかり行わないと 政府与党の為にもならないと愚考する者だが。
この現地漁協の芳しいとは申せぬ反応を見透かした様に、中国大陸も処理水の海洋出し反対表明の挙に出ている。しかも 我国産の海産物相当部分の強い輸入規制のおまけ付きときている。
足の速い生鮮品たる事を知りながら 意図的に通関日数を引き延ばし、結果的にせよ 今後の輸入を事実上不可能にするやり方だ。正に世に言われる「チャイナ・リスク」の一つであり、この措置で打撃を被る各位の立場も一定は理解する者だが、それを踏まえても 我々日本人は毅然と向き合う必要があるのではないか。
事は勿論 外交問題にもなり始めている。やむを得ない前述処理水の海洋出しが 一定外国の不興を招く懸念はあるも、中共のそれは明らかに過剰反応であり、いわば「情報戦」の色合いも濃いものだ。以下 今朝の産経新聞ネット記事を引用して、みて参る事に。
「日本『科学に基づかない』と反論、処理水で中国側に」
中国(大陸)の 孫 衛東(そん・えいとう)外務次官は 8/22、日本の 垂 秀夫(たるみ・ひでお)駐中国大使を呼び出して、東京電力・福島第 1原発の処理水放出を 8/24に開始する方針を日本政府が決めたことに抗議した。
中国外務省の発表によると、孫氏は「重大な懸念と強い反対」を表明し、日本に計画の撤回を求めた。同氏は「中国を含む周辺国や国際社会に 核汚染のリスクを転嫁する行為だ」と主張。日本の決定を「私利私欲に走り、極めて無責任だ」などと非難した。
在中国日本大使館の発表によると、垂氏は、日本が中国を含む国際社会に対し「科学的観点から 高い透明性をもって、誠実かつ丁寧に説明を続けてきた」と反論。中国側の抗議に対し「科学的根拠に基づかない主張を行っていることは残念だ」と述べつつ「海洋放出開始後も、中国側の関心を踏まえつつ 引き続き意思疎通していく用意はある」と表明した。
習 近平政権は、処理水放出が始まる前から 日本産水産物などに対する事実上の輸入規制を敷いて対日圧力を増している。垂氏は「科学的根拠に基づかない措置は受け入れられない」と強調。欧州連合(EU) 諸国などが輸入規制を撤廃したことに触れ、中国のみが「流れに逆行している」と指摘した。
垂氏は、中国側が処理水を「核汚染水」と呼んでいることについても「日本が海洋放出するのは『汚染水』ではなく『ALPS処理水』であり、中国側は この用語を使うべきである」と求めた。(引用ここまで)
先日の別報道によれば、関連TV番組出演の 小野寺 五典(おのでら・いつのり)元防衛相が、前述処理水問題につき「韓国(政府)は大人の対応、中国は政治に利用している」との言及をされた由。正にその通りと心得る。もう一つ、同氏は中国大陸の出方に「危険だ、危険だと言っているが、中国や台湾の漁船は 大挙して(福島県を含む 我国の沖合に)大挙してサンマを獲りに来ている」とした上で「言っていることと、やっていることが全く違う」とされている由。
ここからも、中共側の出方が「情報戦」の色濃いものである事が窺える。同国と我国の福島漁協関係以外にも 内外に処理水の海洋出し反対勢力がある事は承知だが、多くは左派野党や左傾勢力であり 処理水が安全基準をクリアしている事を認めたくないと共に、と言うよりはむしろ「中共様に歯向かうな!」との反日姿勢の方が 意味合いは大きいのではないか。
中共は 今はウクライナ危機などで我国と非友好的なロシア国を引き込み、処理水放出反対の論調が国際世論の多数である様な工作の挙に出ようともしている様だが、決して屈してはなるまいて。
処理水が本当に危なければ、小野寺元防衛相が指摘された 三陸や福島県など我国の沖合にてのサンマ漁を見合わせる気配があるだろうか?否である。又 コロナ禍がひとまず落ち着いた所で、対日旅行の緩めた条件を再び引き締める動きがあるだろうか?否である。以上の事から、中共の出方は政治的なものとみて良いとされる。その通りであろう。
中国大陸は、ロシア国と共に 前述処理水を水蒸気化して大気中に放つ措置なら認めるなどとしているとか。これも信ならざるものだろう。仮に我国側がその通りに処置しても「外交のゴール・ポストを動かす」などお手のもの。つまり「そんな話はしていない」と切り返される可能性有りという事だ。
とに角 我国益の為にも、中・露・北鮮の各非友好諸国の情報戦とは毅然と向き合う事が大事。例え繰り返しになっても、我国の立場をブレる事なく毅然と発信、説明をし続ける事が肝要という事だろう。今回画像も振り返り恐縮。昨年の初夏、岩手・釜石にて目撃の 第三セクター・三陸鉄道線のディーゼル気動車を至近距離にて。以下に 関連記事をリンク致します。「私的憂国の書様」