線翔庵日記



おまつり、民謡、三絃、名水、温泉、酒、そして音楽のこと…日々感じたことを綴ります。

寺泊おけさ

2010年05月24日 22時25分28秒 | 民謡
新潟県民謡《寺泊おけさ》という曲がある。「おけさ」といえば、新潟を代表とする《佐渡おけさ》を思い起こすが、他にも名曲がある。

この《寺泊おけさ》は、なつかしい。
学生時代の5月ごろ。寺泊の先輩のつてで、寺泊の花柳界に出ておられた、唄の藤ノ井月子さんと、三味線の大矢千代栄さんにお目にかかることができたのだ。
この唄以外にも《越後追分》《塩たき節》等、いい曲を伝承しておられる。この《おけさ》は、三味線の残響を右手の親指で弾く瞬間に消していく「三枚撥」という弾き方が特徴。

そのヒミツを探るべく、寺泊に行ったのだ。



○厚司ヤー エヤー縄帯腰には矢立ヨ 伝馬通いがヤーレ止めらりょか 

○佐渡へヤー エヤー八里のさざ波越えてヨ 鐘が聞こゆるヤーレ寺泊

○行こかヤー エヤー出雲崎帰ろか新潟ヨ ここが思案のヤーレ寺泊

○十七島田 しらはの娘 晒手拭ふわりとかぶり 寺の大門すたばた行けば
 寺の和尚はそれ見るよりも 
 こたえられぬ  られないけれども 和尚の身なら
 呼ぶに呼ばれず 手にゃ招かれず
 崖の桜でヤーレ見るばかり

○かけたヤー エヤーかけたよ佐渡まで橋をヨ 天の川原のヤーレ橋かけた

○朝なヤー エヤー夕なの神信心をヨ 一つぁ身のためヤーレ主のため

○佐渡のヤー エヤー島から 日にちの便りヨ 行かざなるまいヤーレ金堀に

○隠すヤー エヤー話も いつしか外へヨ もれて差し込むヤーレ窓の月

○オヤオヤオヤオヤ 瓜瓜 茄子茄子 ヨウガの手 
 土手まま這い出す南瓜の手 垣根に絡みつく糸瓜の手
 川から手を出す河童の手 寝ていて手を出す兄ゃさの手 
 その手を引っ張る姉さの手 手と手と手
 後は野となれヤーレ山となれ

○西行ヤー エヤー法師は 山見て勇むヨ わたしゃ主見てヤーレ気が勇む

○あらし畑のさやまめは ひとさや走れば皆走る 私ゃお前さんについて走る
 酒飲みなんぞはおいて走る 

この時、ご両人とも70代だったように記憶している。
三味線担当は千代栄さんだが、唄の月子さんも三味線をよく弾き、やはり「三枚撥」をやっておられた。
このワザはなかなかうまくいかない。自分も結構練習したが、かなり厳しかった。

その後、月子さんは亡くなられたが、千代栄さんはお元気で、何回かおじゃまさせていただき、習った。うまくいかないが、それでも何となく、そんな感じになったかな?という感じ。

しかし…まだまだだ。こんな音楽に浸るのもいいなーと、ふと思い出した。ちょっと三味線さわろうっかな!
コメント
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