自分の妻をなんと呼ぶか、案外むずかしい。
うちのやつとかツレアイとか、少し間違えるとツレナイになってしまうから注意しないといけない。
ごく平凡無難に奥さんとか嫁さん、家内、なんていう人もいる。
「テキ」なんていうのが面白くていいかもねぇ。
「うちのテキが今朝茶碗を投げてきてよぉ、何とか身をかわして生き延びてきんだけどなぁ‥」なんて臨場感がある。
そんな敵、じゃなかった同居人と、ときどき一緒に外食することもある。
定番の店もあるが、新規開拓の店の方が何となく心も踊り楽しみだ。
中華なら、街のラーメン屋さんという感覚ではなく、もう一歩上の中華小料理屋と言う感じがベスト。
小さな店で、たいてい席が空いていて、生ビールがある。
アタクシはそれだけで文句ありません。
イタリアンやフランス系は全体的にお洒落だが、若者のカップルが多く滞在時間が長い。
「愛しあっていると、いつまでも一緒にいたいの」という古典的な法則に忠実だ。
彼らの愛の邪魔をしたくないのだが、彼らがずっといるとなかなか席が空かなかったりするので、こういう店はだいたいパスする。
じじばば夫婦の外食というのは、家ではまずつくれないものを頂くことができて嬉しい。
会話は食事を美味しくする重要な法則だが、長年連れ添った夫婦は向かい合っていても互いに黙っている法則に従い、殆ど会話というものがないという問題もかかえている。
これはフレミングの電磁力左手の法則と同様に、世の中のどこでもで確立しているのであった。