いつの頃からか「スイーツ」という言葉が流行りだした。
若い娘があっちでもスイーツ、こっちでもスイーツと言って喜んでいる。
なにがスイーツだ。
「甘いもん」でいいじゃないか。
日本には昔から「甘いもん」という伝統と歴史を誇る立派な言葉がある。
スイーツの連中はなんかキザなのだ。
気取っているし、チャラいし、考えが甘い。
考えが甘いから甘いもんをスイーツなんて言い出すのだ。
それにスイーツの連中は、日本の甘味系を小馬鹿にしているところがある。
え? 大福 え? 饅頭 え? 羊羹 え? 鯛焼き え? どら焼き え? ぼた餅 え?最中 え? みたらし団子 え? 柏餅
などとスイーツの連中に言われたりすると口惜しいけれど、何となく俯いてしまう。
何しろテキは全員カタカナ。
ティラミス、バウムクーヘン、ガトーショコラ、モンブラン、シュークリーム‥
カタカナでもって漢字の一派に嫌がらせをしているのだ。
日本の甘いもんの根底を成しているのはアンコであることは万人の認めるところである。
先述の漢字の一団の誰もが、みたらし団子を別にしてアンコと何らかの縁を持っている。
日本の甘味はアンコによって成り立っていると言っても過言ではない。
オールジャパンはそのアンコを内包したのである。
覆い隠したのだ。
大福がそう、最中がそう、鯛焼きもそう、饅頭もそう。
どら焼きも自慢のアンコを人々に誇りたい、どうしても見てほしいと言って、最終的にチラ見せという形になったという逸話が残っている。
ぼた餅はもともと問題児だった。
思春期にグレて、周囲の習俗に反抗して、わざとああいう形になったという噂がある。
スイーツの連中は色とりどり、ここぞとばかりに見せびらかせる。
うけ狙い、物欲しげ、媚び、というところが好きじゃないなぁ。
などと思う昭和30年代生まれのじじであった。
旬の甘いもんの王者「さくら餅」
葉っぱを一緒に食べるか、それとも剥がして食べるべきか?
こんなくだらないことで、いつも悩むじじでもあった。