10代、20代の頃と違い、徹夜ができなくなったとか、疲れが取れなくなったとか、30代になって年齢というものを感じるようになったりしたものだ。
還暦を過ぎると、そういったことを改めて言うほどでもなくなった。
当時は無理すると、その後の体調変化に驚いていたが、この歳になると無理をすることすらできないので、ただただ毎日がフラットな感じになっている。
そのなかで体調が今一つの日や、元気な日もあるといった感じなのだ。
高齢者の室内での死亡事故が、年間で交通事故死よりも多いと聞いたとき「へえ、そんなことがあるのか」と半信半疑だった。
でも還暦を過ぎると「そうかもしれない」と深く納得した。
何もない平らな場所でつまずいて転ぶのである。
それで膝や胴体を打ちつけたりする人も多く、今は打ち身程度で済んでいるけれど、タイミングが悪かったら一大事になるかもしれない。
加齢とともに反応が鈍くなり、想像もしていなかったアクシデントに見舞われる可能性も高くなった。
外に出るよりも家の中のほうが、危険がいっぱいなのである。
歳を重ねて一番衝撃だったのが、本来ならばリラックスできるはずの室内の生活が実は危ない、ということだったかもしれない。
外見、記憶の老化については理解していたが、こうなってしまうとは知らなかった。
ショックは受けたけれど、現実なのだから仕方がない。
何事があっても「なるほど、気をつけなければ」
とうなずく、対処法はこれしかないと淡々と受け入れ続けるいるのである。