会社人間として全うしたつもりでも、いざ会社を離れるとそれまでの役職など一つも通用しない。
世間とはそんなものだ。
個人的には継続雇用という形でいまだ仕事は続けているが、一業種しか知らなかった身にできることは限られる。
高い給料などもちろん望めず、下働きしかないのは覚悟だ。
老後とはこういうことだったのか。
忙しかった頃が懐かしい。
これからどうなるんだろうな。
しかしここからが大切だ。
一度自分をゼロにして、再出発するチャンスと考えたらよいのではないか。
過去を捨てるのは痛快ではないか。
本当になりたかった自分、になってみるのはどうだろう。
それは「しゃれた紳士」であり、「男らしさを通す男」であり、「まわりを明るくする人」であり、「気前のいい奴」だ。
成功も失敗も、陽の当たらない苦労も、そこからの立ち直りも、甘いも酸っぱいも知った長い人生経験の知恵の使いどころだ。