最後の台詞が潔く清々しい…
誰の人生も、どんな人生も、愛おしく、かけがえのないもの…
例えば、「殺すのは誰でも良かった」と加害者がのたまう通り魔事件の被害者の、本来ならばもっとずっと続いたであろう人生を想う。
或いは、いつもの美容室で初めて言葉を交わした、名も知らぬ若いインターンの、かいがいしい働きぶりを見て、彼女の”今”を想う。
片や報道で知った、片や美容室でのほんの数時間の関わりで、 . . . 本文を読む
畏れを知らぬ者たちには恐れを
沖縄に住んでいた時に何が気になったかと言えば、有刺鉄線で囲まれた米軍基地内に広がる青々とした芝生だった。油断すれば強靱な雑草が伸び放題の亜熱帯の沖縄で、あの端正な芝目を維持するのは並大抵のことではなかろう。
かつて「銃剣とブルドーザーで地元住民から土地を強制接収した」と言われたように、あの青々とした芝生は米占領軍の、ひいては米国の征服欲の象徴として見てとれた。 . . . 本文を読む
楽しいと言うより、ほろ苦い。温かいと言うより、切ない…かな
若くして亡くなった長男の命日に、老親の住む実家に集った次男家族と長女家族。ある一家のほんの2日間(正味24時間?)の出来事を綴った物語なのだが、予告編を見る限り心温まるホームドラマかと思いきや、意外にそうでもなかった。映画館の後方の席で、やたらと大笑いをしている年配男性がいたが、私は笑えなかった。何気ない家族のやりとりの中に、身につ . . . 本文を読む
戦争がもたらす残酷な運命と、それに対峙する人間の勇気
幼い頃、親に連れられて見たヴェトナム戦争写真展の、泥まみれの黒人米兵の屍がいまだに忘れられない。生前の彼は、よもやこのような自身の最期を想像していなかっただろう。たとえ地獄の戦場から生還を果たせたとしても、帰還兵の心身には深い傷跡が残っている。彼らはおろか、彼らを迎え入れる家族や友人やコミュニティにとっても、戦争がもたらす惨禍は計り知れな . . . 本文を読む
人は人によって傷つけられ、人によって救われる
私たち夫婦とほぼ同時期に結婚生活をスタートさせた一組の夫婦の、10年間に渡る絆の物語。それは必ずしも順風満帆なものではない。新たな家庭を築く過程での心を通じ合えないもどかしさや(それはそうだ。元々異なった環境で生まれ育った他人同士なのだから)、埋めようのない喪失感に心を病む苦しさや、その苦しみや哀しみを分かち合う優しさ、そして固い絆によって立ち直 . . . 本文を読む
フランスのパリには何度か訪れていて、芸術の都はそりなりに堪能できたのだが、いろいろ嫌な目にも遭った。メトロで夫がスリに狙われたり、どこに行ってもお釣りがないと言われ少額紙幣を使わされた挙げ句に、オペラ座で受付嬢にお釣りがないからと入場拒否されたり…旅先で出逢う人々によって、その街、ひいてはその国全体の印象も大きく左右されるものだと思う。それでも文化大国としてのフランスには一目を置いているから、 . . . 本文を読む
ケイト・ボスワースはすんごくカワイイんだけどね…
天才的な数学の才能を持つMITの学生。ハーバード医科大への入試にパスしたが、母子家庭で家計は楽でない為、30万ドルにも及ぶ学費が工面できない。そこで迷いつつも、彼の数学の才能に目をつけた教授の怪しげな誘いを受けてしまう。教授は彼をプレーヤーとして迎え、他4人の学生メンバーとチームを組ませて、カードゲームのブラックジャック必勝法を指南して、大 . . . 本文を読む
存分に騙されてください(笑)
愉快!痛快!最後までなかなか読めない展開!…そして騙される喜び!
今年見た邦画の中で、現時点ではダントツに面白い!
常々、映画の”肝心要”は、監督の演出力、魅力的なキャスティングもさることながら、 脚本の面白さだとコチラでも訴えているけれど、本作はまさに練りに練られた脚本の良さで、最後まで私(だけではないはず!とにかく場内が沸いていた!)を飽きさせないどころか、 . . . 本文を読む
スタバで初会合!
ウィットと含蓄に富む台詞に、登場人物6人のアンサンブルが素敵♪
ついでに異文化観察も!(笑)
ふとしかたきっかけで、英国の女流作家ジェイン・オースチンの6作品を、男性1人を含めた6人で読み進めて感想を述べ合う読書会が始まった。
メンバーは旧知の間柄の女性達に、偶然出会った男女2人が加わった形だ。その中心となるのは離婚歴6回の、個性的なファッションが印象的な50代女性。そ . . . 本文を読む
これまで見たジョージ・クルーニー出演作の中では一番面白い。邦題は弁護士事務所で面倒な事案を処理する(劇中では度々”清掃人”と自嘲ぎみに自称している)”もみ消し屋”を意味する「フィクサー」となっているが、原題はクルーニー演じる主人公の名前である。
「フィクサー」と言ったら日本では”黒幕”的意味合いが強くて、私などコダマヨシオ、オサノケンジ、ササガワリョウイチらの名前が浮かんだりするのだが( . . . 本文を読む