はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

先日、門司港に行って来ました(その4)☺️

2023年07月09日 | 国内旅行(旅の記録と話題)
昼食後、「旧門司三井倶楽部」を訪ねました。入場料大人150円。

ここは大正10年(1921)に三井物産の接客・宿泊施設として建設されたものです。その翌年には、日本を訪問したアインシュタイン博士ご夫妻が最後の訪問地として門司を訪れ、ここに1週間宿泊したと言われています。そして、2階にある部屋の一部は「アインシュタイン・メモリアルルーム」として一般公開されています。

【追記】
建物は「ハーフティンバー様式」と呼ばれるヨーロッパ伝統の木造建築工法で造られたもの。木造の骨組みの間を漆喰やレンガ、石などで埋めて壁を造り、木造の骨組みがそのまま外観デザインのアクセントに。ドア枠、窓枠、大階段の親柱には幾何学模様のアールデコ調の飾りがされて、大正モダンの香り高い建築になっています。国の重要文化財に指定されています。

博士は門司に滞在中も研究に勤しみながら、近くの大谷山に登ったり、海峡を船で遊覧したり、石炭の積み込み作業を目の当たりにしたり、出発の日、途中で遭遇した正月の餅つきに飛び入り参加したりと、門司滞在を満喫されたようです。


アインシュタイン博士ご夫妻の写真。フランス・マルセイユ出帆の日本郵船「北野丸」で訪日の途上、大正11年11月12日、香港から上海への船中で、「1921年度ノーベル物理学賞」受賞の電報を受けた折に撮影されたもの。博士の実直さと奥様の飾り気のなさ。ご夫妻の人柄が垣間見える1枚。


応接室。茶を基調とした落ち着いた雰囲気の部屋ですね。


これらの調度品を100年前に揃えたと言うのがね…凄い(財力)です(一応、現在の展示は、当時の設えを再現したもののようです)


こじんまりとした寝室。壁と床の小花模様が可憐ですね。


当時としてはかなり珍しい?タイル貼りの浴室。左奥にバスタブ。しかし、浴室にカーテンとは、今の感覚だと奇異ですね。


アインシュタイン博士直筆の日本滞在の思いを綴った「覚書き」。「文字は人なり」「文は人なり」と言われますが、端正な文字でびっしりと書かれたメモからは、博士の実直さと几帳面さが窺えます。原文はドイツ語ですね。


上掲覚書の翻訳です。日本に対する博士の率直な思いが綴られていて、興味深い内容です。当時の欧米人からしたら、日本は「未知なる神秘の国」だったんですかね?


同じフロアの廊下を隔てた数室は当地出身と言われる作家、林芙美子さんの「記念室」になっており、彼女に纏わる文献資料が豊富に展示されています。この記念室は撮影不可なので、代わりに先の展望室にあった林芙美子さんのアクリルパネルをご紹介。背景にある色鮮やかなオブジェは彼女愛用の万年筆をモチーフにしたオブジェらしいです。

「記念室」では彼女の複雑な生い立ちから、文豪、川端康成氏との公私に渡る交流(川端氏は作家の浅田次郎氏が尊敬して止まない作家なんですよね)、そして恋愛遍歴まで網羅されていて、見応えがありました。帰り際、受付の方に「なぜ三井倶楽部に林芙美子さんの記念室があるのか」尋ねましたら、特に三井物産自体が林芙美子さんとゆかりがあるわけではないが、林さんが当地出身と言うことで、記念室が設けられているとのことでした。

【追記】
建物は元は別の場所にあったものが現在地に移築されています。GHQの「財閥解体」政策によるものなのか、1949年には三井財閥から当時の国鉄に所有権が移譲されています。その後、国鉄清算事業団から北九州市へ寄贈され、「林芙美子記念室」は北九州市立文学館の分室と言う位置づけでしょうか?



「旧門司三井倶楽部」の敷地から歩道に伸びた木々の枝の新緑が美しいです。


門司で購入したお土産の数々…まずは「バナナ叩き売り」発祥の地に因んで作られた「門司港バナナブッセ」。味や食感はちょっと想像と違いました😉


なぜか「金平糖」。先日、大河ドラマで金平糖が登場したのを思い出し、つい購入💦。ほのかな甘みで美味しかったです。


ちょっとコレクションになりつつある💦スノードーム。「関門海峡」と言うことで、門司下関両方の観光名所が球体の中に納まっています。


林芙美子さんの著書は高校生時代に「放浪記」を読みましたね。あの頃は自分も思うようにいかない進路に悶々として、他に宇野千代さんの「生きて行く私」山本有三氏の「路傍の石」等、恵まれない境遇の主人公が逞しく生き抜く物語を読んで、自分を鼓舞していたように思います。

「記念室」を訪ねて気分が高揚したので、旅の記念にと博多駅ビルの丸善で2冊購入。折しも、今年は林芙美子生誕120周年で、新著が何冊か刊行されているんですね。今回初めて知ったのですが、林芙美子さんと私はちょうど60年違いの生まれ。私はちょうど今年は還暦だし、このタイミングで林さんと約40年ぶりに再会したことに、勝手にご縁を感じました😊


門司港レトロ地区は、あたかも100年前にタイムスリップしたかのようなレトロ感満載で、港町ならではの開放感も相まって、その散策をとても楽しめました。訪問した日が月曜日と言うこともあり、博物館や美術館施設が休館のところも多く、また機会があれば是非、再訪したいと思いました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
(了)


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6 コメント

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Unknown (さくらもち)
2023-07-10 10:38:44
門司港懐かしいです!随分前に下関からフェリーで二度ほど行きました。
返信する
「下関」 (はなこ)
2023-07-10 11:29:37
さくらもちさん、こんにちは。

さくらもちさんも、門司港に行かれたことがあるのですね。私のブログで懐かしんでいただけたのなら嬉しいです。

私は下関にいつか行ってみたいですね。下関港から韓国プサンへのフェリーも出ているそうですね。山口はツアーで秋吉台に行ったぐらいで…

日本には実にさまざまな見どころがあり、国内旅行でも未だに"驚き"があります。
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Unknown (さくらもち)
2023-07-10 13:24:25
私は幕末長州の高杉晋作という人物が好きなこともあって、以前はよく萩・下関へ行きました。萩から下関まで列車で日本海沿いを走るのも良いものですよ。当時は東京在住でしたので、萩まで行くだけでも大変でしたが。。。今は神戸在住で近くなりましたので、また行きたいと思っています。
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こんにちは~♪ (ma16rira(まーこ♪))
2023-07-10 16:45:41
門司に最近 漫画家の陸奥A子さんのギャラリーが
出来たと知りました。

アインシュタイン博士が滞在していたとは 知りませんでした。

関門海峡を 歩いて渡りました。あれは 遠足だったかな?懐かしいです。
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Unknown (hanakonoantena20220612う to)
2023-11-20 23:01:30
さくらもちさん、いまさらですが拙ブログにコメントをありがとうございました。

数年前から続く手指の不調(関節痛)でブログをしばらく控えておりました。

ご紹介の萩・津和野はツアーで一度行ったきりですが、テーマのある旅って良いですね。私は美術館巡りが目的で旅をすることが多いです。

私もいつか日本海沿いを列車で旅してみたいです。
返信する
Unknown (hanakonoantena20220612う to)
2023-11-20 23:13:11
まーこさん、いまさらですが、拙ブログにコメントをありがとうございました。

手指の不調(関節痛)でブログの更新を控えておりました。

私のブログ記事で懐かしい記憶が蘇っていただけたなら嬉しいです☺️。
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