お掃除

母校の小学校へ
桜に囲まれた校庭を
見ようと足を運んでみました。
家から４５分。
あの当時も
歩いて通ったものです。
桜は見事でした。
この間
改装された
校舎に
もう昔の面影は
みじんも残っていません。
二宮金次郎も
姿を消していました。
ちょっと感傷的になって
目を閉じると、
脳裏に浮かんできました。
木造校舎で
学んだ日々の情景が……。


ガタガタと
椅子を机にのっけて後ろの壁際へ。
さあ掃除当番の出番。
黒板消しに飛びつく子は
大体決まっている。
ぱんぱんとたたき合わせると、
チョークの粉は窓の外へ。　
箒で床を掃く。
生真面目な女の子をよそに、
男の子たちは遊びの延長。
遊び道具は箒だ。
拭き掃除は、
みんなの顔が引き締まる。
広い教室の床は板張り。
雑巾がけは大変だった。
怠けたら
いつまでたっても終わらない。
放課後の遊び時間のため
男の子は必死。
雑巾を絞るのがいい加減だと、
床はビショビショ。
やり直しだ。
ワイワイガヤガヤと
掃除を楽しむ子供たちの声が、
放課後の教室を占領する。

「よっしゃ。
きれいになったな。
教室も喜んでるわ。
ご苦労さん！」

先生の点検は、
いつも褒め言葉で終わった。
いまも板張りの教室は
残っているのかな？