稲刈りが終わると恒例の行事が待っていた。
ため池の水を干上がらせての『ジャコ(雑魚)獲り』だった。肌寒い早朝から池の周りに村総出で集まった。それぞれ竿竹に網をくくりつけたのを手にしている。
時間が来ると太鼓が打たれた。一斉に池の四方から土手を走り下りる。あとは無礼講で魚を救って取り合う泥まみれの競争だった。鮒が主で鯉やウナギ、泥鰌などが獲物になった。時々大物が揚がり歓声が起きた。
獲物は各家で焼かれて干された。貴重な蛋白源としての保存食だった。
『雑魚獲り』はため池の保全と、村人の食料の提供と二重の目的があった。もちろん村人がともに楽しめるイベントでもあった。
『雑魚獲り』行事がいつ行われなくなったのか、よく覚えていない。ため池の保全方法の進歩や食糧事情の好転により、その必要性がなくなったからだろう。平成を迎え、いまやあのお祭りめいた記憶も薄れてしまった。
ため池の水を干上がらせての『ジャコ(雑魚)獲り』だった。肌寒い早朝から池の周りに村総出で集まった。それぞれ竿竹に網をくくりつけたのを手にしている。
時間が来ると太鼓が打たれた。一斉に池の四方から土手を走り下りる。あとは無礼講で魚を救って取り合う泥まみれの競争だった。鮒が主で鯉やウナギ、泥鰌などが獲物になった。時々大物が揚がり歓声が起きた。
獲物は各家で焼かれて干された。貴重な蛋白源としての保存食だった。
『雑魚獲り』はため池の保全と、村人の食料の提供と二重の目的があった。もちろん村人がともに楽しめるイベントでもあった。
『雑魚獲り』行事がいつ行われなくなったのか、よく覚えていない。ため池の保全方法の進歩や食糧事情の好転により、その必要性がなくなったからだろう。平成を迎え、いまやあのお祭りめいた記憶も薄れてしまった。