こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

記憶の風景・そら豆

2017年04月27日 00時25分54秒 | Weblog
小学校への通学路は農道で、
両側に田んぼが広がっていた。
田植えで
田んぼは見事な緑の絨毯に覆われる。
水が張られた田んぼには
いろんな生き物が生息して、
子供たちの興味を引き付けた。
田んぼは

子供たちのユートピアである。
ハラハラドキドキの連続だった。

田植え前の田んぼは、
豆畑だった、
こちらは淡い薄緑の絨毯を描いた。
その下に実るのはそら豆。
ふくよかな緑のさやが
子供たちを誘惑する。
さやの中に美味い豆が隠れている。

友達との学校帰り。
豆畑に差しかかると、
示し合わせて、
薄緑の絨毯の下にもぐりこんだ。
七十センチは
伸びた空豆の枝葉に、
子供の体は、
すっぽり隠れた。

天に向いて実るから、
そら豆というらしい。
もぐりこむと
目の前にそら豆が連なる。
上向きだったさやが
下へ下がると食べごろを迎える。
手当たり次第にむしりとった。
さやを剥くと、
大粒の緑の豆が
行儀よく三粒並んでいる。
これを口に放り込む。
噛みしめると、
自然の恵みを
たっぷり含んだ美味さが
口いっぱいに広がる。
かすかな生くささが
新鮮さを教えてくれている。

サツマイモや柿などが
おやつ代わりの時代だった。
飢えている子供たちに、
そら豆は特別なおやつだった。
食べ始めるとやめられなくなる。
抜け殻となったさやは
パラパラと足元へ散らばった。
コメント
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