朝から暑い。
生ごみをコンポートへ運んだが、
玄関を出たとたん、
耳に蝉の声!
ここしばらく聞いていない。
立ち止まって蝉の声に耳を傾けた。
我が家のシンボルツリー、
桜の大木から蝉の声が届けられている。
昔はうるさいほど鳴いていたのに、
最近は蛍同様希少そのものだ。
田舎の夏は虫の夏でもある。
アリやゴキブリなどは御免だが、
蝉、カブトムシ、クワガタ……は大歓迎。
子供時代は毎日捕りまわっていたっけ。
二人きりで年子の兄弟だったが、
兄は季節を問わず、野外を遊びまわり、
一方の私は部屋に閉じこもって、
絵を描いたり、本や漫画を読みふける子供だった。
「カブト捕りにいくぞ~!」
そんな弟に有無を言わさず誘い出す兄だった。
夏休みに入ると、
朝早く引っ張り出された。
林と山すそを回って、
クワガタやカブトムシを捕獲するのである。
野人(?)の兄は、
虫のいる木のあり場所を熟知していた。
人より先に行かないと、
もうカブトムシは取られてしまう。
しかし兄の野生のカンと敏捷性は
誰にも劣りはしなかった。
ただわたしという金魚の糞的お荷物付きだったが、
それをものともしない兄だった。
蜜が豊富な木を見つけると、
ハチがブンブン飛び回っていても意に介さないからすごい。
私といえば根っからのおびんたれ。
兄の背中の後ろに隠れてやり過ごしたのだった。
あの頼れた兄は、
43の若さで逝った。
私の厄を身代わりで受けてくれたのだと、
今も信じてやまない。
蝉が鳴きながら、
桜の木から飛び立った。
また暑さが半端じゃなくなろうとしていた。
生ごみをコンポートへ運んだが、
玄関を出たとたん、
耳に蝉の声!
ここしばらく聞いていない。
立ち止まって蝉の声に耳を傾けた。
我が家のシンボルツリー、
桜の大木から蝉の声が届けられている。
昔はうるさいほど鳴いていたのに、
最近は蛍同様希少そのものだ。
田舎の夏は虫の夏でもある。
アリやゴキブリなどは御免だが、
蝉、カブトムシ、クワガタ……は大歓迎。
子供時代は毎日捕りまわっていたっけ。
二人きりで年子の兄弟だったが、
兄は季節を問わず、野外を遊びまわり、
一方の私は部屋に閉じこもって、
絵を描いたり、本や漫画を読みふける子供だった。
「カブト捕りにいくぞ~!」
そんな弟に有無を言わさず誘い出す兄だった。
夏休みに入ると、
朝早く引っ張り出された。
林と山すそを回って、
クワガタやカブトムシを捕獲するのである。
野人(?)の兄は、
虫のいる木のあり場所を熟知していた。
人より先に行かないと、
もうカブトムシは取られてしまう。
しかし兄の野生のカンと敏捷性は
誰にも劣りはしなかった。
ただわたしという金魚の糞的お荷物付きだったが、
それをものともしない兄だった。
蜜が豊富な木を見つけると、
ハチがブンブン飛び回っていても意に介さないからすごい。
私といえば根っからのおびんたれ。
兄の背中の後ろに隠れてやり過ごしたのだった。
あの頼れた兄は、
43の若さで逝った。
私の厄を身代わりで受けてくれたのだと、
今も信じてやまない。
蝉が鳴きながら、
桜の木から飛び立った。
また暑さが半端じゃなくなろうとしていた。