こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

デビュー

2016年09月20日 01時22分45秒 | 文芸
お昼の二時に開演となった。
明石フィルハーモニー管弦楽団(通称たこフィル)の
創立10周年記念第20回定期演奏会に出向いた。

1時半開場だが、すでに行列ができていたのに驚いた。
無料ではない。1500円チケットでの入場だ。

客席に落ち着いて見上げた舞台に椅子がずらりと並ぶ。

第1ブザーで、黒の衣装で統一された演奏者が上手下手から現れる。
総勢69人の演奏なのだ。ヴァイオリンは、コンサート・ミストレスを含めて16名。
その中に娘がいる。感無量である。

ただ、この間、眼科で発覚(?)した白内障の影響もあり、
舞台上で位置に着いた演奏者の顔がはっきりと見分けられない。
「あそこにいるよ」
妻と長女が教えてくれるが、やはりよくわからない。無念だ。

入団して3か月に満たないキャリアの娘は、おとなしい性格もあるので、第2ヴァイオリンを担当しているらしい。

最初は『くるみ割り人形』。指揮者のタクトで、演奏が始まった。生のライブは、やはり迫力が違う。

プロかアマかは知らないが、それぞれが自分の演奏にかけた魂を吐露する姿は心惹かれるものがある。

娘がいるあたりに意識を集中させて、ヴァイオリンの音に耳を傾ける。

激しく動く弦の群舞(?)娘の演奏姿が幻影のように浮かぶ。

ほぼ一時間演奏は続いた。そのスタミナと技術を目の当たりにして、頭が下がる。

シンバルが打たれ、オケのアンサンブルが絶頂を生み出す!

娘が一員として立派に通用している。
目頭が熱くなるのは、娘が、1年のブランクを経て復活なったからである。

後半、ブラームスの曲になると、やっと娘を発見した。すこし太って見えるのは、彼女の進化の現れだ。

終演後、ロビーで見る娘の明るさに、それでいいのだと確信した。

職業演奏家と違う娘がオケに参加する意義は、明るく楽しくである。

さあ、再度、娘が演奏にチャレンジする、それが嬉しくてたまらない。

とにかく続けることが大事だ。娘に「俺がついている!」と、発破をかけるかな。







写真は娘のヴァイオリン・デビューの記念すべきものです。写りが悪いのは、ご愛敬ということで、ご容赦を。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2005年度作品・犬死に

2016年09月19日 00時08分44秒 | 文芸
明日は娘の演奏会。そして大雨。
落ち着いて、ブログが書けないので、
旧作をアップしました。申し訳ありません。



「チリチリチリ…」 
どこかはるか遠くから伝わってくる。夢見ごこちで聞いている。
 いきなり体が激しく揺り動かされた。
「おとうさん、おとうさん」
 耳元に飛び込む声。現実に引き戻されるには充分過ぎる。目を開くと、ぼんやりした人の顔が真正面にあった。輪郭までぼやけて、誰が誰だか分からない。狼狽して枕もとに手を伸ばす。近眼者の本能みたいなものだ。
「はい、メガネ」
 妻の声だった。手に、馴染んだメガネのツルの感触が戻った。急いでかける。目の前が鮮明さを回復する。妻の顔を確認すると、やっと落ち着いた。
「電話よ」
「俺に?」
 めったに受話器を握りはしない。無類の電話嫌いだった。よほどのことがなければ電話口に立たない。「おとうさんは?と聞かれたら、いまいません、言うとってや」と家族にきつく言い聞かせている。それが、わざわざ寝入っているのを起こすぐらいだから、大ごとなのかも知れない。
「会社の人からよ」
「会社?いったい何やねん」
 心当たりは全くない。夜勤専門で弁当会社に勤めている。もう十年近く勤めているが、電話連絡があるなんて滅多になかった。といって無視するわけにはいかない。
「はい、杉崎ですが」
「ああ、杉崎さんか。わし、野呂木や。他でもないねんけど……」
 同じ部署で働いている野呂木は、ちょっと言い淀んだ。それがいきなり大声になった。
「吉森はん、知ってるやろ。あの人、仮眠してたんや、車でなあ」
 要領を得ない。やはり同じ部署で働いている吉森は、よく知っている。野呂木に聞き返した。
「誰も気がつかなんだんや。そいでな、吉森はん、死んではったんやと」
「……?」
 野呂木が何を言いたいのか、まるでピーンとこなかった。起き抜けのせいでまだ頭がぼんやりとして、働くまでにいたっていない。
「一緒に働いてはった、吉森はんなあ」 
 じれったそうに野呂木は繰り返した。
「車ん中で死んではったんやわ。警察も来てなあ、もう大騒動やがな」
(吉森はんが死んだ!)ようやく頭は正常に働きだした。人の好さを丸出しにした吉森の笑顔が急に思い浮かんだ。(まさか……?)
 今朝方まで杉崎の仕事をサポートしていたのに、それがなぜ?手近な時計に目をやった。昼の一時。わずか半日しか経っていない。
(何で?)
 全く要領を得ない。頭が混乱していた。
「ちょっと疲れましたわ。悪いでっけど、はよ帰らせてもらいますわ」
 吉森の最後の言葉だった。確かに顔色は決してよくなかった。しかし、それはいつものことだった。だから気にもならずに、いつもの軽口で応じた。
「ええよ。はよ帰って休んだ方がええわ。お互い歳やから、無理は禁物やでな」
 それが、いつも通りに終わらなかった。最悪の結果が、いま手元の受話器を通してもたらされている。
「はよ伝えよ思たさかいに……」
 野呂木の言葉の最後の方は耳に飛び込む寸前に消滅したかのように聞こえなかった。
「何やったん?」
「アルバイトのおっさんが死んだんやて、会社の駐車場で」
「まあ。きのう一緒に仕事してはったんでしょ」
「ああ。ほんまに信じられへんわ」
 思わずため息が口を吐いて出た。
「人間手えらい脆いなあ。いやんなるほど」
 妻の言葉には実感がこもっていた。
 無理はない。昨年の後半から、立て続けに身近な人の死に遭遇している。それも信じられない若さで亡くなったのが二人もいる。十八歳の女子高校生と、十九歳の浪人生。どちらも交通事故の犠牲者だった。杉崎が済む町の右隣に位置する分譲団地の住人の女子高校生は長女の同級生だった。浪人生は長男が所属したバレーボール部の先輩で、こちらは左隣の町の住人だった。どちらも自宅から百メートルも離れていない道路で、勿体な過ぎる尊い命を一瞬にして亡くした。
 通夜も葬儀も足を運んだ。通夜の席で放心状態だった親たちは、葬儀では懸命に気丈さを演じているのがわかった。思わず目頭が熱くなったのは、憐憫の心情きあらではなく、同じ子供を持つ父親の非情の境遇に自然と入り込んでしまったからだった。
「杉崎はんも来てたんかいな」
 車を臨時の駐車場に入れて、降り立ったところに野呂木の姿があった。過酷といっていい、厳しい職場環境の夜の仕事だった。そこで働く顔ぶれを見ると、まるで人生の吹き溜まりといった感がある。昼勤務には普通の会社のように若い世代が活躍しているが、夜は社員になれない中高年の天下だった。しかも半数以上は日系ブラジル人や中国研修生が占めている。残る日本人の六割は保証のない時間給で働くアルバイトかパートだった。
 同じ境遇の吉森はコンビニで働いた後、夜中の十二時から明け方の五時、六時までの勤務だった。そのコンビニもアルバイトだと聞いている。深夜の時間給千円を得るために疲れ切った体に鞭打っていたのだろう。
「実は吉森はん、死ぬ前の日にメールいれてくれとんや」
「マール?」
「最初で最後のメールになってしもうたわ」
 そういえば、吉森は仕事中しょっちゅうパソコンの話をした。唯一の趣味道楽らしかった。
「パソコン教室に勤めてる娘直伝なんやで。分からんことがあったら、何でも聞いてや。ただで教えますさかい」
 誰彼なくそう吹聴する吉森の姿を憶えている。
「メールのやり方を教えてくれてはっててな。もうすぐ孫が出来るんや。そやけどおじいちゃんなんて、年寄りくそうてかないまへんわ。そないなメールで、おどけてて……」
 小倉の言葉は詰まった。感極まったに違いない。身近な人の死は、現実的な生き方を選択している人間をも感傷的にさせてしまう。
「おはよう」
 ドヤドヤと他のスタッフが姿をあらわした。もう仕事を始める時間だった。フライヤーにしろ、魚焼き機にしろ、いったん機械を始動させると、コンベヤーを止めるわけにはいかない。人間が人間であることを一時忘れて、機械の部品にならざるを得ない。そんな仕事をやっているのだ。
 夜中の十二時。吉森の出勤時間だ。思わず外部に通じるスイングドアに目を向けた。
「おはようさん!今日は仕事ありまっかいな」
 底抜けの笑顔。抱えている事情のかけらすら感じさせない張り切りように、スーッと疲れが抜ける。すかさず応じる。
「おはようさん。ちゃんとおまはんの仕事残しとるで……?」
 スイングドアは開かない。
 目を戻した。手元に柵取りしたマグロがある。あと五百切ればかり、刺身をひかなければならない。そして盛り皿を用意する。二時過ぎから刺身の盛り付けだ。今日は二百五十の会席に配膳する皿盛りとオードブル。
 助っ人の吉森は、もう来ない。そう永遠に。
「お疲れさん」
 六時過ぎに仕事場を出た。もう誰も吉森の噂話をしない。明日には、あえて思い出しもしないだろう。そして、忘れていく。
(死んだら、おしまいなんやで……)
 頭の中で誰かがささやいている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

タコ・フィル

2016年09月18日 00時47分30秒 | 文芸
「アワーズホール」へ行く道検索しといてよ」
「え?」
わけのわからない顔をすると、すかさず第二弾が。
「明石フィルハーモニーの定演があるの」
「定演?」
まだピント来ない。
「自分の娘の初オケ、忘れたの。もう呆れるわ」
忘れたの?も呆れるも心外この上ない。
娘のオケデビューを知っていれば、忘れるはずがない。
パソコンの前や掲示板、カレンダー……ありとあらゆるところにメモを貼って健忘対策も立てる。

つまり、私のもとに情報伝達がなされていないということだ!

最近はこういう展開が多くなった。
妻も子供たちもスマホでline家族をやっている。
父親はガラケーで、メールと電話機能だけ。つまり仲間はずれ(?)
今回も父親まで情報は回ってこなかったのだ。
文句を垂れると、あっさりあしらわれる。、
「そんないまいわんでもええやん。娘の演奏聴きとうないんか」
そんなはずはないでしょうが!愛娘の記念すべき演奏会、ひとりでも飛んでいく~~!
結果、アワーズホールのアクセスをせかせかと調べる。そしてプリントアウト。

これで19日の演奏会はバッチリ!
もうさっきの腹立つ妻の対応への怒り(?)頭から消え去っている。

考えてみれば、35年間培われた夫婦関係を、いまさら改められるはずもないのだ。幸せなら、それでいいと自分に言い聞かせる私。

学生時代のオケは鑑賞しているが、社会人オケの鑑賞は初物だ。早くも楽しみでワクワクする愚かな父親である。

妻との関係ではなく、娘の演奏を聴ける幸せ感なのだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

秋到来

2016年09月17日 00時34分12秒 | 文芸
村の共同作業の草刈りが来週に迫ってきた。
稲刈りはその前に終わりそうである。
主目的は秋祭りだ。

秋祭りは10月。
我が家の裏手にある高峰神社に、

近在の氏子村から五つの祭り屋台が奉納される。

その巡幸の道の整備を兼ねた草刈り作業である。

秋は共同作業が目白押しだ。
老人会の高峰神社周辺の整備と草刈り。
村では、前述の作業に加えて、
『歴史の道』(林道)の整備まである。

域内に三つの大きなため池があり、
その土手堤の草刈りまである。

年々、共同作業参加者の高齢化は進む一方だ。
都会に出る若者たちは、ふるさとに帰ってこない。
田舎の現実だ。山奥の村でなくても、
近い将来、

限界集落はよそ事ではなくなるかもしれない。

共同作業は、かなり体力を必要とする。
果たして、

この先いつまで継続できるか、心配になる。

祭りの主役、

豪華絢爛の祭り屋台も

担ぎ手が不足の一途だ。

田舎に住む覚悟を新たにさせられる秋が、
またやってきた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

は・は・は…

2016年09月16日 01時16分45秒 | 文芸
残念!
今宵の十五夜お月さんは、
月に叢雲状態。
おぼろに見えたかと思うと、
すぐ黒い雲にさえぎられる。
地団太踏む思いです。

なんか自分の半生を
見せられているような。

悲しい(?)ご報告を
しなければなりません。
あの一匹メダカが
大往生してしまいました。
赤目高の群れの中では
生きていけなかったようです。
気ままに暮らしていたのを
環境一変でストレスに襲われたのでしょうか。
これまた、わが半生を垣間見せられた思いです。
でも、わたくし、まだ生きております。
ストレスを抱えて、
毎日ぎりぎりの絶壁生活を
強いられておりますが。(笑い)

『はははの会』の案内ハガキが届きました。
何を隠そう。
歯医者さんのデンタルケアを
三か月に一度うけているのです。
予防歯科ですが、
わたしの場合、
必ず虫歯治療につながってしまいます。

可能な限り
『削らない診療』を進められている歯医者さんです。
それが、
しょっちゅう削られている私はなんなのだろう?

歯医者はあちこち、手を変え品を変え、治療を受けてきましたが、どこも帯に短したすきに長し。
そして最後にたどり着いたのが、いまの歯医者さん。
虫歯は患部に薬を注入して削らず治すという。
ネットで見つけて、飛び込んでみました。

時すでに遅し。
私の歯はすでにボロボロ。
虫歯を中から治すなんて悠長な状態ではなかったのです。
「歯はご本人が大切に考えない限り、
治療しても無駄です。一生使うためにも、
歯をもう一度振り返って大切にしてあげてください。
お手伝いしますよ」
院長先生の言葉が、グッと歯にしみました。(?)
以来、
この「歯医者命」で来ています。

歯性の悪さは今更どうしようもないが、
「はははの会」は癒し空間で、
最高ですね。

個室でBGMを聞きながら、
専属のお若い歯科衛生士さんのケアを受けるのです。
歯石クリーニングに歯磨き。歯と口中のチェック。
歯茎のマッサージに、
時には凝った体をほぐしもして貰える。

そして悪い部分が見つかれば、そのまま治療へ。
いや~!至れり尽くせりなのです。

自分に合った、
いい歯医者さんを見つけるのは、
至難のわざ。
しかし、私は、とうとう遭遇できたのです!
健康な歯は残り少なくなったのですが、
なんとか間に合ったのです。

この幸運に感謝感謝です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

紅葉の効用

2016年09月15日 00時10分41秒 | 文芸
例年、

梨狩りに出かけていた。
家族六人、

出かける前も後も大変。
子供の思い出作りだからと

頑張った。
昨年は子供たち三人が抜けて、
残る一人も

友達と行動する方がいいらしく、
結局夫婦ふたりだけ。
「栗ご飯食べに行こう」
と妻が言い出した。
「出かけるなら

紅葉がきれいなところだな」
 ふたりの希望はわかれた。
 結局紅葉見物に決まった。
丹波市青垣町の高源寺まで出かけた。
夫婦水入らずの観光旅行は

数十年ぶりだった。
紅葉に染まりながら、
久しぶりに弾んだ会話は楽しかった。
 食事は栗ご飯。
地元産の栗を使ったものらしく美味い。
季節の味を、

たっぷり堪能した。
 仕事と子育てに追いまくられ、
行楽シーズンを楽しむ余裕をなくしていた。
それが人並みに紅葉の名所を訪れ、
季節を味わえた。
そのおかげで夫婦仲は
不思議に昔に戻った。
 今年は
夫婦で

栗三昧の旅行を考えている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ススキ

2016年09月14日 00時38分35秒 | 文芸
「ああー!なにしてんのよ」
 妻の素っ頓狂な声に、

私の手はハタと止まった。

庭の草刈り中だった。
「……ススキ、ススキを刈ってしまってる」
 妻が指し示す先にあるのは、

ススキの株。
昨年、

妻がホームセンターから買い求めてきたのを

丁寧に植え、

水やりも欠かさなかった。
「子供たちもいなくなって

静かになったんだから、

日本の情趣を楽しまなくっちゃ」
 そういう妻が最初に思いついたのは、

お月見だった。

庭先から空を眺めるのに

ぴったりの場所がある。

視界に建物など邪魔者がないので、

星空なんか絶景だ。

それでお月見の発想が。

当然ススキがなくては

絵にならない。
 妻が大切に育てたススキの葉を

きれいさっぱり刈り取ってしまったわたし。

うっかりミスでは済まされそうにない

妻の権幕だ。
「ああ、

虎刈りのススキでお月見?

なんで?」
 妻の毒がある皮肉を

十五夜を過ぎるまで聞かされる。

ミスの重みをヒシヒシと感じる。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

娘のビールデビュー

2016年09月13日 01時14分08秒 | 文芸
崩れた石垣の修復に今日もアタック!
夕方6時ころにひと段落がついた。
続きは明日以降も、気の長い話です。

シャワーを浴びて汗を流してホッとしたころに、
娘と妻が帰って来た。
今日は仕事が休みとかで、
知らない間に出掛けていたらしい。

「おとうさん、ビール会しよ」
ビールを飲もうというわけだ。
娘が北海道旅行で土産に買ってきたビール。
網走ビールの発泡酒が二本ある。 
赤いラベルのは桜桃の雫(チェリービア)
青ラベルは流氷ドラフト(オホーツク海の流氷が使われているとの表示)の小びんだ。
「ほら、ご馳走買ってきたから」
握り寿司のパックとプルコギ肉。
どちらも半額値引き品だ。

プルコギをフライパンで痛めて、食卓へ。
「はい、乾杯しよ」
娘がはしゃいでいる。
7月に20歳を迎えた娘の初ビールだ。

我が家ではアルコールは一切おいていない。
妻も私も、あえて飲みたいほうではない。
必要があれば、その時に買ってくる。
だから、娘は父親は酒をたしなまないと思い込んでいる。
「はい、お父さんは、これぐらいでいい」
娘がグラスに三分の一ぐらいついでくれた。
「いっぱい次いでいいのよ」「でも飲めないのに」
「馬鹿ね。お父さんはすごく飲むのよ。
いくら飲んでもケロッとしてるの」

そう。わたしは飲むときは徹底して飲むタイプ。

結局、娘と妻はグラスに半分ぐらいで「もういい」
残りはわたしに回って来た。

スナックや居酒屋をはしごして、
若い仲間と深夜アスファルトの道に寝転がったりしたのを思い出す。(ちなみに人がいると、そんな思い切った行動はできない小心者が私の正体)

久しぶりにおいしい酒を飲んだ。たかが発泡酒だが、娘と初めて飲んだ分、最高の気分だ。
氷結のレモンをひと缶開けて、今日はおしまい。

しかし、若い時のあの飲みっぷりは何だったのだろう?ふと疑問に思ったりする。

この間の入選作の講評をコピー。データー保存をブログにやって貰うようにしている。10に変更してデータを失った経験からブログ保存が一番確実な気がするからです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

これでいいのだ

2016年09月12日 00時43分36秒 | 文芸
3日ぶりのイオン。
しばらく顔を見なかった、また従兄弟の顔が。
訊けば、体調が急に悪化して寝込んでしまったそうな。
彼は独り暮らし。
買い込んでいた半額の弁当や惣菜を冷凍保存しておいたので糊口をしのいだという。

実は彼はがんの手術を受け、現在も月に一回の通院検査を受けている。
3年と宣告されていた生存年齢を2年先送りにしている。
しかも現役の庭師で仕事をこなしている頑張り屋だ。

そのさなかの体調悪化に、死を覚悟したという。
2週間余り寝込んでいたが、孤独な時間の中、
人生を冷静に振り返れたという。

私と一つ違い。人後には思えない。

「好きなもん食うて家に帰るわ」
そういいながら、彼はサービスデーで格安の空揚げを食べていた。うん。貧しいものはこれが一番なのだと納得した。

スタバのコーヒーを飲みながら、語らった二人。周囲から見れば、胡散臭い年寄りに見えたことであろう。

カウンターの向こうには、娘が久しぶりの仕事に追いまくられている。
北海道旅行の経費は、ここのバイトで貯めたものだ。
つぎにたまったら、沖縄か海外か……娘の巣立ちも、もうそう遠くはないかもしれない。

夜。
妻と娘に海鮮どんぶりをつくってやった。
わたしは、ホッケとナス、ピーマン、キノコなどを炒めてみそ味に仕上げたのを食べた。
ウニを食うよりはいい。それに口に合う。うまい!

海鮮どんぶりを平らげた二人は、
私のおかずに箸を伸ばてきた。

ははーん。あいつらも、もしかしたらウニは苦手なのかも。しかし、きれいに平らげている。
(無理しやがって)
自分勝手な憶測をして、悦に入っている自分に、あきれてしまった。(笑い)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

天国と地獄のはずが

2016年09月11日 03時41分51秒 | 文芸
涼しくなったのを見計らって、
庭の石垣の崩れを修復することにした。
この間の雨でえらいことになってしまっている。
それでも、まだ日中は暑い。
すこし時間をずらして夕方4時ごろから始めた作業。
崩れた石を、まず取り除く。
これが想定外に大変。

胸に抱え込んで運ばなければならない大きさの石。
「ヨイショ!」
と抱え込んだのを持ち上げる。
(あれ?)
腰に来る重さだ。

30数年前、ひとりで積み上げた石垣。
みようみまねで、大きなのを積み重ね、
石と石の隙間に
小石や割れ石を詰めて安定させる。
姫路城の石垣を観察して得た知識をフル動員だ。
二段目、3段目と上がるにつれて、
思い石を積むのは力とコツがいる。
それでも、あの当時の石の重さと、
修復にかかった石の重さは同じか、
風化して軽くなっているはず。
それが、やけに重たい!
二個も担ぎ上げると息を吹き、小休止だ。
腰への負担はかなりある。体の筋肉もきしんでいるかのよう。

ハタと思い当たった。
石の重さに変化はなくても、
作業する当人は年を食ったのだ。
こりゃ、つらい。
しかし、やらなきゃならない。

6個大きな石をわきにのけたところで、もう駄目!

無理をしたら、石垣の修復は実現しない。
体への負担を頭にしながら長丁場でいくしかない。

いまさらながら、若さがほしい!

夕食は娘が見つくろった北海道土産のオンパレード!
大きな殻が豪華なホタテ貝を焼き、
生ウニと味付けいくら……こりゃまた贅沢だ!

3人分は有にあるサイズのホッケは、明日に食べることにした。

すこしもち米を加えた飯を炊き上げたふっくらご飯。
娘と妻は豪華な海鮮三昧に舌鼓を打つ。私は……?

実はウニは苦手。いくらもそう好きじゃない。
調理師にあるまじき(?)好き嫌い。

結局焼いたホタテと、地ビールをグビリ。

ああ、辛子明太子と佃煮海苔がほしい。
暑いごはんには、海鮮より、そっちの方がいい。
我ながらそう思う。
このバチアタリめ!(大笑い)

娘に感づかれぬように、
ウニにもちょっと箸をつけてみる。いやはや!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする