難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

難聴に関するワシントングループの質問票は不適当!

2010年09月20日 21時58分49秒 | 障がい者制度改革
ハワイの風さんから、ワシントングループのレポートの問題点が指摘された。

この文書の中で、補足質問の例が出されているが、これが総合福祉法部会の実態調査項目に入っているのかどうか、未だに聞かれていないところを見ると入っていないのだろうか。

i. Do you have difficulty hearing someone talking on the other side of the room in a normal voice?
部屋の反対側から誰かが普通の声で話して聞こえますか。
ii. Do you have difficulty hearing what is said in a conversation with one other person in a quiet room?
静かな部屋で一人の人と会話で言われたことが分かりますか。

こうした質問で、聞こえの問題を調査をすることが必要だ。

一般質問の
2. Do you have difficulty hearing, even if using a hearing aid?
は、単純に「人の話や電話などが聞こえなかったりしますか」にすべきだろう。

「私たち抜きに私たちのことを決めないで」のスローガンが泣く。


ラビット 記
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ところで、例のワシントン・レポートですが、英語の原文を見たところ、日本語の訳は正確だと思います。
http://www.cdc.gov/nchs/data/washington_group/meeting5/WG5_Appendix7.pdf

経済事情で補聴器を買えないといったような、社会的障壁まで考慮に入れて英文の質問が作成された感じではありません。
1)めがねをしても見えない 

2)補聴器をしても聞こえない 
というのが全く同等の障害であるかのように並列されています。
ひょっとしたら英語の作成者たちも、めがねと補聴器が同じ修正機能を持つ完璧な補正機器と思っているのかもしれません。
聴覚障害、特に難聴の専門家が質問作成チームにいないんじゃないでしょうか。国連の専門家間でさえ、難聴に対する真の理解はうすいということですかね。
難聴者が補聴器をしても完全な聴者になるわけじゃもともとない、ということを理解していない視点です。
補聴器をしてもよく聞こえないのは使用している人全ててじゃないですか。
めがねとは全く反対ですよね。これが世界中の国々で使われることになる質問表になるにしてはお粗末かなと思います。質問の解釈に幅が出すぎますね。

同じ人でも環境によって障害者である度合いが変わるというような視点も欠けています。
例えば、私が無職の時は特に聴覚障害者であることを意識していませんでしたが、復職してみるといかに様々な細かい音を理解しなければならないか、より重度の難聴者になった気がします。

だからある意味では機能(医学)的なレベルでの測定よりも、周りの環境によって感じられる障害の重さ、障害の度合いを測るという社会環境要因を踏まえた質問も加えたら、ワシントンレポートを越える日本独自の質問表ができますね。がんばりましょう、というかがんばって主張していただきたいです。

7月総合福祉法部会でいきなり登場!ワシントングループ。

2010年09月20日 21時11分43秒 | 障がい者制度改革
2010年7月の総合福祉法部会の資料が下記にある。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sougoufukusi/2010/07/0727-1.html

上記で、下記のurlが指定されている。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000nbcn.html
全国障害者(児)の実態調査ワーキングループの第5回資料だ。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sougoufukusi/2010/07/txt/0727-1_09-3.txt

この資料に、ワシントングループというのが出てきます。
実態調査のもとにワシントングループというのが作成した調査方法を採用することが書かれている。

<例>
・眼鏡等の機器を使用しても、見ることに困難(difficulty) を伴う
・補聴器等の機器を使用しても、聞くことに困難を伴う
・歩行や階段の上り下りに困難を伴う
・思い出すことや集中することに困難を伴う
・入浴、衣服の着脱のような自身で行う身の回りのことに困難を伴う
・話し言葉を使用して、意思の疎通(例えば、理解したり、理解してもらうこと)を行うことに困難を伴う
・もの(2キロ程度)の持ち上げや小さなものをつまんだり、 容器の開閉をすることに困難を伴う
・疲れやすさや痛みがある
・金銭管理や日常の意思決定に困難を伴う
・幻覚・妄想、そう・うつ、けいれん、薬物などの中毒その他の精神の障害がある
・対人関係やコミュニケーションの困難さ、パターン化した興味や活動、読み書き能力や
・計算力などに特化された困難さ、不注意、多動・衝動的な行動のいずれかがある
・児童の場合は、発達状況などからみて特別の支援や配慮をしている

【参考2】
 上記の例示は、ワシントングループが障害統計に関し国勢調査用等に作成した質問内容(six question set)等を参考に例示した。なお、ワシントングループは、「国連障害測定に関する国際セミナー(2001年6月)」において障害データが国際比較できるような統計的・手法的作業が国際レベルで必要とされたことから、非公式・一時的に組織された市民の集まり(CITYGROUP)であり、会合はこれまでに9回行われその概要が国連統計委員会に報告されている。

この「・補聴器等の機器を使用しても、聞くことに困難を伴う」が難聴者の実態を把握するものにはならない。

眼鏡はかければすぐに視力が調整されるが補聴器は付ければすぐに聞こえるものではない。
補聴器を付けて言葉が聞き取れるようになるまで数ヶ月から1年かかる。言葉は脳で聞いているからだ。

敬老の日で補聴器業界団体が合同で広告を出しているが難聴者人口を1900万人としている。そのうち900万人は難聴の自覚がない人だ。

そもそも「補聴器をかけても」としたら補聴器をかけているかいないかで難聴者が対象から漏れてしまう。国際的な評価方法というがこの世界で補聴器を手にすることのできる難聴者、難聴児がどのくらいいるのか。

実態調査は当事者を入れて設問項目を作るべきだ。そうでないとその調査の目的であるこれまで支援の谷間にいた障害者の発掘にもならない。


ラビット 記

新羽田空港のユニバーサルデザイン化

2010年09月20日 13時20分44秒 | バリアフリー
昨日のNHK「ろうを生きる、難聴を生きる」は新しく開港する羽田空港のユニバーサルデザイン化の取り組みだった。
昔懐かしいM君も登場しちょっと年をとっていたが元気そうだった。

空港側が障害者当事者と施設のユニバーサルデザイン化に取り組んだのは素晴らしい。
ぜひとも各施設やデベロッパーは見習ってほしいし法制化してほしい。
番組に登場した松森果林さんのコメントでも、このことを最初に挙げていた。

また、ハードとソフトの両方が充実することもその通りだ。ADA20周年の米国で、補聴援助設備や字幕表示装置の貸し出しが義務付けられてもその施設のサービス員がそうした設備の使い方も設備のあることも知らなかったり
したことがバリアーになっていることをスミソニアン博物館や国会議事堂で実際に体験したばかりだからだ。

エレベーターの聴覚障害者用の非常ボタンの設置は音声の聞こえない、または日本語の分からない利用者のためと思えば必要なものだ。
障害者権利条約は社会のユニバーサルデザイン化と合理的配慮の両方を求めていることに注意したい。合理的配慮は個々のニーズに対応することだ。聴覚障害者に対応することは必要なのだ。

ただ、実際に行かないと分からないが音声を利用する難聴者のためのユニバーサルデザイン化はどう対応しているのか気になる。
たとえば、アメリカや英国では空港の磁気ループの設置が取り組まれているが新羽田空港には一カ所もないのだろうか。

非常ボタンのマークについても検討に参加した難聴者たちが全難聴や東京都中途失聴・難聴者協会に空港チェックに声をかけて欲しかった。
耳マークの標識版を空港内の全店舗、窓口に設置するように取り組もう。


ラビット 記

「さんふらわあ」に簡易筆談器。

2010年09月20日 10時30分00秒 | 日記(つぶやき)

ハーマイオニーさんから情報提供。
ありがとう。
「さんふらわあ」号って、苫小牧に行くんですよね。
http://www.sunflower.co.jp/ferry/plan/index.shtml


ラビット 記

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茨城県大洗港のフェリー「さんふらわあ」乗り場に、簡易筆談器配置のお知らせがありました。
搭乗手続き窓口と船内に、簡易筆談器が設置してあるそうです。o(^_^)o
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~商船三井フェリーからのお知らせ~
お客様にご利用頂いております当社窓口には【簡易筆談器】をご用意致しております。
また、ご乗船中も快適にお過ごし頂く為に『さんふらわあ』船内にも配置しております。
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補聴器の新聞広告 難聴者の目から

2010年09月20日 02時35分36秒 | 日記(つぶやき)
9月20日の敬老の日の特別企画として、補聴器業界共同の全面カラー広告がでた。

日本補聴器販売店協会、日本補聴器技能者協会、日本補聴器工業会の合同広告の上下に各補聴器メーカー、補聴器店の広告が配されている。

日本補聴器工業会の赤生秀一理事長の写真が笑顔なのがよい。
歌手の松崎しげるさんも補聴器ユーザーとして何度も登場している。

この広告はいろいろなことを示唆している。
広告のタイトルが「聞こえ変われば人生は変わる」だ。
これは逆に難聴になって人生が暗くなってしまう問題があることを示しているが、難聴が聞こえの障害ではなく、関係性の障害であることを補聴器業界が打ち出したのは画期的ではないかと思った。

赤生理事長は冒頭で難聴者は1900万人もいること、大半が難聴を自覚していないことを指摘している。
1900万人というのは、難聴を自覚していない、従って補聴器も装用していない900万人と補聴器を持っていても日常的に使っていない人、使っている人をあわせて1000万人いることを示している。国民的な障害だろう。

赤生理事長は補聴器を装用する意義に関して、難聴になると周囲の人が話しかけるのがおっくうになって話しかけない、本人も疎外感を感じて人付き合いを減らしてしまう、とまさに関係性の障害であることを力説している。

松崎さんは補聴器装用は眼鏡のようなもの抵抗はないと話しているが、これは高齢者の心理的抵抗の問題を和らげようとしたのかもしれないが補聴器は付けたらすぐ聞こえると誤解されかねない。
「補聴器を使うことは眼鏡をかけるようなもの」と大きな見出しにもなっているだけに問題だ。デメリットを隠してはいけないという広告審査機構の基準にも反するのではないか。

各広告のキャッチフレーズは「ピーピーしない」、「あの日の音風景」、「話そう。楽しもう。」、「アフターサービス万全」、「心あたたまるサービス」、「もっとつけたくなる」など今の補聴器と販売の問題が何かが伺える。

組織された補聴器装用者団体の声も取り上げてほしいところだ。


ラビット 記