銅像の王子さまが眼球の宝石を
ツバメにあげる物語を読んでみたいと思って、
図書館に行った。
子供が絵本で読む本で、
ボクの様な80過ぎの爺さんが読む本ではないはず。
でも、作者が耳慣れない名前だったので妙に覚えていて、
図書館のコンピューターで検索した。
作者の名前は、サン・テグジュペリと入力したら、
物語の題名「星の王子さま」がヒットした。
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本を借りて、読み始めて、
少し不審を覚えた。
題名の「星の王子さま」であるが、
表紙には、別の行に「Le petite prince」とある。
作者はフランス人と聞き及んでいたので、
フランス語で読めば「ル・プチ・プラン」、
ボクの乏しいフランス語の知識からだと、
日本語に直訳すれば「小さな王子さま」なんだけれど、
訳すなら「可愛い王子さま」
くらいが良いだろうと最初は思った。
読んでいくうちに「星から来た王子さま」の話だと言うことが解って、
「星の王子さま」の題名をつけた翻訳者の見事な日本語訳に感心した。
所が、念のためと思い、ネットの仏語翻訳で、
「Le petite prince」で日本語に翻訳すると、
なんと「星の王子さま」と出て来たではないか、
これには驚いた。
「Le petite」まで入力すると「小さな子」と翻訳されるのに、
「Le petite prince」は「小さな王子さま」なら解るのだが、
「星の王子さま」に翻訳される。
「Le petite prince」は日本人にとって、
固有名詞の「星の王子さま」になって居るのだ。
そしてもう一つ、作者の名前だ。
表紙にフランス語で「Antoine de Saint-Exupery」とあり、
その下に「サン=テグジュペリ」と書いてある。
ボクが聞いた発音は「アントワーヌ ド サンテグジュプリ」に聞こえる。
フランス語ではSaintの「t」は、口の中で発音の形はとるが、
音は聞こえない。
しかし、「t」に続く音が母音(*)であると「t」の発音が聞こえる。
(*)母音はア・エ・イ・オ・ウの音
解りやすいのが「Mont Blanc」=モンブランで、
あるいは有名な観光地モンサンミシェル=Mont Saint-Michelで
いずれも「t」は口の中で「t」の発音の形はとっているが聞こえない。
これが「t」の後に母音「e」が続くと、
「Saint-Exupery」は「サンテグジュプリ」のように「テ」と発音される。
つまり「t」の後に「i」が続くと「ティ」に聞こえ、
「t」の後に「e」が続くと「テ」に聞こえる。
良く似た話にある、
英語の「Hot」の「h」の発音と似て居る。
英語の「h」の発音は、寒い日に窓ガラスの汚れに気が付いて、
汚れを落とそうと、「ハー」と息を吹きかけて、窓を拭くが、
その時の口の形が「h」の発音である、音は出ない。
インド旅行をした時、衛生上の問題で水道から出ている水でも、
「水は決して飲んではいけません、お湯が冷めたのは大丈夫です」と、
口酸っぱく教えられていた。
朝食の時、今日一日の水を水筒に入れて置きたいツアー客が続出した。
ボクはさっさと水筒にお湯を貰ったが、
他の人達は「Hot water」とウエイターに言っても通じない。
ある人がボクに聞きに来た。
「お湯が欲しいの「お湯は」英語で「Hot water」
(ホットウオーター)で合って居ますよね」と。
それで上記の「h」の発音について話をした。
その発音方法で話が通じたと見えて、
水筒にお湯を貰ったとのこと。
(「h」の発音については「発音」の欄を見てね)
本題に戻る。
「Saint」はフランス語では口の中で「t」の形はとるが、
発音は聞こえない。
但し、この「t」の後に母音が続く時は「t」が発音して聞こえる。
つまり「Saint-Exupery」は「サンテ グジュペリ→サンテグジュペリ」
に聞こえるのだ。
これを「サン=テグジュペリ」と表記するのは少し怪しくて、
「サンテ=エグジュペリ」=「聖エグジュペリ」の表記が正しそうだ。
フランスの有名な観光地「モンサンミシェル」がある。
フランス語では「Mont Saint-Michel」なのだ。
「モンサンミシェル」を日本語に翻訳するならば、
「聖ミシエルの山」または「聖ミカエルの山」や
「セント・マイケルの山」が正しそうだ。
外国語と日本語の翻訳は元をたどって行くと面白い。
作者の名前で、話が反れてしまった。
ボクの読みたい本は、
銅像の王子さまが眼球の宝石を
ツバメにあげる物語の本だ。
つづく