楽しんでこそ人生!ー「たった一度の人生 ほんとうに生かさなかったら人間生まれてきた甲斐がないじゃないか」山本有三

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大学での授業ー訳読

2021年08月17日 04時10分00秒 | つれづれなるままに考えること
先回、「Saint-Exupery」は「サン=テグジュペリ」でなく、
「Saint」の次に「-」が、
次いで「Exupery」が入って居るのだから、
「サンテ=グジュペリ」が正しそうだと話をした。

しかし「Saint-Exupery」を発音して貰うと、
聞こえてくるのは、
「サンテグジュペリ」なのだ。
「t」の後に「e」があるので「テ」に聞こえるだから、
翻訳としては「サン=テグジュペリ」
で正しいということになる。

その後、星の王子さま」で無く、
ボクが探していた本は「幸福な王子」であることが解った。
オスカー・ワイルドの英語の翻訳書を読みながら、
学生時代の昔を思いだしていた。

外国語の翻訳は大変難しく、
原語は勿論のこと、
変換される言葉(日本語)にも詳しく、正しく、
知って居ることが大切である。

学生時代、
英語の「訳読」(=英語を翻訳して読む)の授業が有って、
英語の時間であるが、英語は読むのは教科書だけで、
この時間はすべて日本語の時間であったと、
記憶して居る。

教授は元東大の文学部長で、
55歳で退官後の再教鞭であった。

ボクは大学に入学して最初の授業で、
教室に教授が入って来るなり、
先ず、一人づつ生徒の名前を読み上げて出欠を取り、
次に、英文の教科書を開いて、
「3ページから翻訳してください。」と言って、
「最初の文章から日本語に直していきなさい」と、
まず、アトランダムに一人の男子学生が指名された。

普通なら、初めての授業であるから、
まず教授が自己紹介などして、
自分の教育にかかわる考えなど話をして、
授業本番に入って行くのであるが、
いきなり授業に入って行った。

高校生から、
大学の授業に変わる最初の時間だったので、
学生たちも面食らった。

英語は読むでなく、
初めから日本語に翻訳して行く授業であった。
当てられた学生は、自分のプライドもあって、
知って居る範囲で日本語に訳していく。

当時ボクの印象では、
比較的易しい英文であったように思う。
大学受験をくぐってきた人なら、
多少間違っていても、
日本語へ訳して行けた。

そこで、生徒が翻訳する日本語の、
助詞(て、に、を、は)の使い方が日本語になって居ないと、
教授から酷評される。

そして、
「こんな日本語を使って、あなたが馬鹿なのは、
あなたを育てた親が馬鹿だと言うことですよ」
くらいのことは平気で教授は言った。

高等学校では、こんな授業がある時は、
まず先生が課題の英文を読みあげて、
単語の意味を一つ一つ日本語にして、
そこにある一行の文を日本語に直していくのが普通である。

初めからいきなり英語の文章を日本語に翻訳するなんて、
予期していない生徒がほとんどで、
最初に指名された学生も立ち上がって、
本を見ながら、

「出来ません」と答えた。

次にだれだれ君、誰さん、と五人くらい指名されたが、
誰も予習して来ている人は居なかった。

女子学生にいたっては、
自分の知識の範囲で日本語に直していくが、
最初からしどろもどろで、
例えばの話であるが、

I am a girl.

のような文章でも、
「私は、です、少女 」のような訳になってしまう。

すると教授は、
「それが日本語ですか?
    幼稚園の子供でもこんな話はしませんよ」
と評価する。

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、
文章は英国人のエッセイスト:ロバート・リンド
(Robert Lynd)のエッセイだったように思う。

こんな状態で120分の時間は過ぎていく。
中には、きちんと予習してきた学生も何人か居たが、
日本語として意味を成しているかの授業で、
翻訳する日本語について、
徹底的に訂正されて行った。

ボクに言わせれば、
英語の授業でなく日本語の授業であった。

話が変わって、自分のことで恐縮ですが、
高校生の時でも、ボクの勉強は、予習が全てで、
授業の時間は復習の時間で、
先生の説明とボクが理解したこととに違いがあると、
手をあげて質問をして、ボクの考えを正していく、
と言う方法であったので、
この授業は難なく切り抜けていた。

翻訳とは、著者の文章に表現された意図を、
如何に解りやすく日本語にして行くか、
に尽きると思った。

そこで思いだすのが坪内逍遥が訳したシェエクスピアである。









コメント (6)
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