楽しんでこそ人生!ー「たった一度の人生 ほんとうに生かさなかったら人間生まれてきた甲斐がないじゃないか」山本有三

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     ・おくのほそ道を歩く

遊行柳(芭蕉の道を歩く 33)

2012年12月23日 10時49分25秒 | 芭蕉の旅
(遊行柳)

(那須・芦野)
国道294号線は一面の田畑の中を行くが、
芦野に入ってすぐ左側に、空に向って一握りの柳の塊あるのが見える。
「遊行柳」云われるもので、芭蕉は「清水流るるの柳」といっている。
「清水流るるの柳」は、思慕する西行の歌、

・道の辺に 清水流るる柳蔭 しばしとてこそ 立ちどまりつれ

から取ったものだ。

(西行法師の歌碑)

一方で「遊行柳」は謡曲「遊行柳」から出たものといい、
謡曲史跡保存会の説明によると、
(その昔、諸国巡歴の遊行上人が、奥州白河の関のあたりで、
老翁に呼び止められ、「道のべに清水流るる柳かげ」と西行法師が詠じた、
銘木の柳の前に案内され、
そのあまりに古びた様子に、
上人が十念(念仏)を授けると老翁は消え去った。
念仏を唱え回向を続ける上人の前に、夜更け頃、
烏帽子狩衣の老翁が現れて、
「遊行上人の十念(念仏)を得て、
非情の草木ながら極楽往生が出来ました」と喜び、
幽玄の舞を通して、念仏のご利益を見せる名曲。
-中略―
星移って遊行十九代尊皓上人巡化の折、
老翁姿の柳の精が出現して、
上人を案内したとのいわれから、
やがて「遊行柳」と呼ばれるようになったと言う。
 柳は以来何代にも渡って植え継がれてきた。)
とある。

国道294号線を行くと、左手に「遊行庵」があり、
無料休憩所、駐車場も完備されているので、
ここに車を止め、200mほど田んぼの中を歩く。
「那須町指定史跡 遊行柳」の標柱がある。

(遊行庵)

(遊行柳への道案内)
(田圃の中の道の標柱)

「おくのほそ道」の原文には、

(芦野の里にありて、田の畦に残る。
このところの郡守戸部某(とべなにがし)の、
 「この柳みせばや」など、折々にの給ひ聞こえ給ふを、・・・)

とあるように、今でも田の中の畦道を行く。
柳は石の鳥居に沿って植えられており、
鳥居は奥に見える大銀杏の木に囲まれた
温泉神社の参道に植えられたものである。

(石の鳥居の向こうにある温泉神社の大銀杏)

この原文にある「この所の郡守戸部某」は、
この地域を所領にしていた領主、
19代芦野民部資俊(あしのみんぶすけとし)を指しており、
芦野氏の菩提寺である建中寺は遊行柳の近くにあり、
山上の立派なお寺の墓地に、
石垣に囲まれ苔むしたお墓が現存している。

(建中寺の本堂)


(建中寺の鐘楼)
(芦野民部資俊の墓がある丘の紅葉)

(芦野民部資俊の墓)

また、この柳の下に芭蕉句碑、

・田一枚 植えて立ち去る 柳かな  芭蕉

があり、
その反対側に西行法師の「道の辺に清水流れる・・・」の歌碑がある。
そして、この歌碑の背後には与謝蕪村の漢詩仕立ての句碑

・柳散清水涸石処々(やなぎちり しみずかれいし ところどころ

の俳句がある。

(芭蕉の句碑)

(与謝蕪村の漢詩風の句碑)

車を停めた遊行庵にもどり、家路に付いた。
PM15:30で帰京したのが18時であった。

(墓地のある芦野の丘の紅葉)

・招かれし 芦野の丘に 落ち葉かな  hide-san


(*)この後、東北は雪のため、「芭蕉の道を歩く」のは、
2013年春の雪解けを待って再開したいと思います。

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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
大阪は晴れたり曇ったりのお天気です~♪ (鉄ちゃん爺や 黒田)
2012-12-24 16:38:53
西行が晩年を暮らした弘川寺とお墓は内の奥さんの
実家の近くにあります。

2~3度は訪れているんですが「カイドウ」の花が
咲く頃にもう一度行ってみたいですな。

遊行柳の地を興味を持って拝見させて頂きましたよ。
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鉄ちゃん爺やさん コメント有難うございました。 (hide-san)
2012-12-24 19:49:07
黒田さんに興味を持ってご覧いただけるとは、
嬉しいですね。
書き続けるのに力がわいてきます。
有難うございます。
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楽しみ (conparu2)
2012-12-24 23:19:08
那須降ろしの凍えるような寒風とともに
今頃は横殴りの吹雪に
遠く白河の関も霞んでいることでしょう。
芭蕉の行跡楽しく拝見しました。
行間に曽良の忠心も見えていましたから
一幅の絵のようでした。
来春を楽しみにしています。
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conparu2さん コメント有難うございます。 (hide-san)
2012-12-25 17:14:19
「芭蕉の道を歩く」は来春3月頃になりそうですが、
それまでは、今までの歩き旅の感想などを綴りたいと思っています。
よろしくお願いします。
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こんばんは (ytakei4)
2012-12-25 20:46:55
柳にもいわれがあるのですね。
歌に詠まれて歴史を感じます。
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雪で薄暗い日 (abms4144)
2012-12-26 10:20:11
子供の頃に遊んだ河原の堤防にも柳がいっぱい
中に住む虫を餌に川釣りしたこともあります。
「清水流れるところ」とか「田の畔道」とか、
水に縁の深い木とおもえますね。
〔切ったり折り曲げたりすると水分が多いような気が〕

柳の大木は余り聞いた事ありませんが「銘木の柳」とは
今も現存?。柳は建築資材とか利用価値は少ない木ですが
シダレヤナギとか、風流を感じさせる木かもしれませんね。
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ytakei4さん コメント有難うございます。 (hide-san)
2012-12-26 10:55:20
芭蕉は歌枕のたびをしました。
そこに出てくる場所を尋ねています。
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abms4144さん コメント有難うございます。 (hide-san)
2012-12-26 10:58:13
東京では「銀座の柳」が有名ですね。
左右に埋立地を流れる運河に沿って植えられたようですね。
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