彦根の歴史ブログ(『どんつき瓦版』記者ブログ)

2007年彦根城は築城400年祭を開催し無事に終了しました。
これを機に滋賀県や彦根市周辺を再発見します。

前田慶次が渡った琵琶湖(2)

2015年03月08日 | ふることふみ(DADAjournal)
 慶長6年(1601)10月24四日に伏見の上杉屋敷を出発し、翌25日に堅田から沖島東の「弁財天嶋の世渡」を過ぎ薩摩港で餉を済ませた前田慶次の旅を前稿で紹介した。
 今稿ではその続きを見て行くが、実はこの先は「さほ山のあなたなる前原の湊につく」としか書かれていない。つまり佐和山の向うの米原に到着した記録だけで次には「是ヨリ美濃也」「廿六前原ヨリ関ケ原へ五里」と近江を越えた記述となる。このことから、26日は慶次が米原で一泊して東山道(中山道)を関ヶ原に到り近江を抜けたことが読み取れるのだ。
 では、薩摩港から米原港までは、どのような道を辿ったのか?
 前稿でも触れたとおり、慶次は政治的な事柄について『前田慶次道中日記』で一切触れていない。26日の関ヶ原でも主である上杉家やその盟友である石田三成の思い出を書いても良さそうなものだがそこには触れず、従者として同行してきた高麗人父子三名(父は名は未記載、子は「楚慶」と「隺人」)の誰かが病に倒れたために、すぐ近くの菩提山城主竹中重門に文を認めて3名を預けたことを記したのみだった。
 ここで深読みをするならば、従者が病に倒れたのは本当に関ヶ原での出来事だったのか? という疑問だ。もし伏見から発つ前、もしくは逢坂の関を越える辺りから体の不調を訴えていたならば慶次一行が東海道や東山道といった陸路を使わずに琵琶湖上を舟で渡った理由の一つになる。と、するならば、薩摩港で餉を済ませたあと米原港までも舟で移動したと考えるのが自然だ。
 薩摩から米原まで慶次が使ったであろう舟の道は大きく二通りに分かれる。一つは琵琶湖を松原まで進んで松原内湖から入江内湖を抜け米原港まで進むコース。もう一つは薩摩港から小さい内湖や運河で繋がった今の湖岸道路に重なる水の道をゆっくり進み松原内湖まで出るコースだ。私は湖岸道路沿いのルートをゆっくり通ったと考えたいが、この答えは資料の中から導き出すことはできず、永遠に謎のままとなりそうだ。どちらにしても、松原内湖から佐和山城の無残な姿を見て百閒橋も過ぎたことになる。
 入江内湖に入ると、その湖岸は現在の国道8号線とほぼ重なり、米原駅の東側が米原港だった。この地を訪ねると、今も不自然な高低差や湾曲の道に出会うが、これはこの地が港であった時の地形をそのまま伝えたものなのだ。そしてこの米原港のどこかで前田慶次は一晩を過ごしている。
 前田慶次の近江の旅は、10月24日に逢坂の関を越えてから、26日に関ヶ原に到るまでの2泊3日を擁している。特に25日は、ほとんどを琵琶湖の上で過ごした日となった。この内で堅田から薩摩港までは、舟でなければ慶次が観た風景を観ることは難しい。しかし、もし薩摩港から内湖や運河を伝って米原まで進んでいたら、湖岸道路で浜御殿の辺りまで進み、ここから近江高校の前あたりから県道329号線に出て米原駅まで進み、東口に回って、国道8号線から21号線を関ケ原に向かえば、前田慶次が見た近江をいつでも追体験できる。私たちが見慣れた光景は天下の傾奇者にどう映ったのかを考えながら『前田慶次道中日記』に記されなかった慶次が見た物を探すのも面白いかもしれない。


米原湊のモニュメント(米原駅)
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白駒妃登美さんの講演受講

2015年03月08日 | 講演
ひこね文化プラザで、「博多の歴女」白駒妃登美さんの講演がありました。


井伊直弼・石田三成・中江藤樹・木村重成・蒲生氏郷と、近江に関わった人物のエピソードから経済と人情から見る日本史を話されたり、宇喜多秀家と豪姫、そして明治まで続いた宇喜多家と前田家の繋がりから報恩感謝の歴史、日本人の役割や平等ということは?
というお話をよく知られたそれぞれのエピソードを交えながらお話しされました。僕はどうしても男性目線で見てしまう物を、女性からの目で、感情が入りながらもしっかりとした論理を持って見ると、視点が増えた気がして面白いですね。

日本人の役割に上下卑賤はない。
平等に意味は権利であり、役割が平等ということではない。
・お父さんは「尊い」
・お母さんは「愛用のような人」
という意味で、それぞれの役割を、お互いが良さとして発揮することが大切。
女性のしたたかさ、しなやかさは女性の特権である。

そして日本人の精神は、「公に生きる」ことこれは「思いやり」と「恥を知ること」である。


とっても勉強になる言葉でした。

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