彦根の歴史ブログ(『どんつき瓦版』記者ブログ)

2007年彦根城は築城400年祭を開催し無事に終了しました。
これを機に滋賀県や彦根市周辺を再発見します。

『琵琶湖周航の歌』の原曲

2015年10月11日 | ふることふみ(DADAjournal)
 2017年、『琵琶湖周航の歌』が誕生して百年となる。森繁久彌さんや加藤登紀子さんがこの曲を世に知らしめた頃、『琵琶湖周航の歌』は小口太郎の作詞作曲と思われていた。しかし後の調査で作詞は小口太郎に間違いないが曲は吉田千秋という青年が発表した『ひつじぐさ』が原曲だったことが判明し、今では作曲者は吉田千秋と記されている。『ひつじぐさ』は大正4年(1915)に『音楽界』に掲載された曲だったので、2015年は『ひつじぐさ』百年の記念年になるのだ。そんな吉田千秋がどのような人物であったのか?
 明治28年(1895)千秋は新潟県中蒲原郡小鹿村(現・新潟市)で誕生している、その生家は今も「吉田家住宅」として国登録文化財に指定され残っている。歴史上、吉田家は千秋ではなく父親の東伍の方が有名な人物で、『大日本地名辞書』を著した歴史地理学の権威だった。東伍は前出の地誌を千秋誕生の年から13年をかけてまとめたが、その間に新潟や東京を行き来し千秋もこれに同行したために幼い時代のほとんどを東京で過ごすこととなった。千秋はとても多彩な文化人だったようで絵や詩を始め音楽にも興味を持ち、そして語学にも堪能であったそうだ。それに反して体はとても弱く幼い頃から肺結核を患っていた。18歳で私立東京農業大学に入学し級長を任され、翌年から音楽に関する投稿を雑誌に行うが肺結核が悪化して新潟へ帰郷。二年後の大正四年、英詩『WATER―LILIES』を日本語の詩にして曲を付けた『ひつじぐさ』を雑誌『音楽界』に発表した。ひつじぐさとは睡蓮の一種で水面に浮かぶ小さな白い花が印象的である。その姿は琵琶湖に浮かぶ小さなボートにも重なる。そして専門家の意見では『ひつじぐさ』には讃美歌の要素があるらしい。千秋はキリスト教や仏教などに深く影響を受けたが、『琵琶湖周航の歌』も湖東湖北地域を歌った四番以降の歌詞には仏教の影響を感じる場面もあり、この曲と詩は必然的に結ばれたと感じるのは言いすぎであろうか?
 千秋は『ひつじぐさ』が『琵琶湖周航の歌』として曲が使われたことを知らないまま大正8年に24歳の若さでこの世を去る。
 未年に生まれ、『ひつじぐさ』を発表し、未年に亡くなり、百周年となる2015年も未年という羊との縁に結ばれた吉田千秋が眠る地は生家に近い場所で滋賀からは離れている。いずれ墓所に線香を立て「滋賀県に素晴らしい曲を残していただいて感謝しています」と、伝えたいと思っている。
 また、現在の研究では『琵琶湖周航の歌』に関わった人々の最後の瞬間に直接立ち会った飯田忠義氏の著書に頼るのが望ましい。私もその著書を主たる資料としたが、このような研究を関係者が生存されている間にまとめられたことは詩と曲の出会いと同じくらい奇跡に近いのだ。

ひつじぐさ(琵琶湖周航の歌資料館前)
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『佐和山城伝西の丸下段曲輪範囲確認調査』現地説明会

2015年10月04日 | 史跡
佐和山城の山中の曲輪における発掘調査が初めて行われ、その結果、彦根藩の古地図で西の丸とされている所(塩硝曲輪とされている場所)で新たな発見があり説明会が行われました。


今回の調査で大きな成果は
・曲輪形成のために土を切り、外側に盛り土をして曲輪を形成したこと
・その外郭部分に土塁のような盛り土をしているが、石垣の形跡は無いこと
・曲輪の北西端に大きな窪み(人工的に作った地下室遺構)があること
とのことです。

集石遺構


盛り土の土塁(左側が曲輪内)


特に地下遺構に関してはしっかりとした礎石跡がある遺構で、底辺部分にも加工が施されていたとのことです。そして瓦建物だったとのことでした。
 
どんな用途で、いつの時代に作られたのかはまだわからないとのことでした。
織豊期の山城城郭に例がなく、地下に行く階段のようなものも発見されていないそうですので真相解明にはまだまだ時間がかかりそうです。


さて、今回の説明会ではマナーに大きな問題がある人がいました。
立ち入り禁止のロープを越えて注意されても出ることもなく「見えへんから」と主張した人です。
写真撮って「ネットに流す」と当人には伝えましたので、そのまま公開します。
ちなみに帽子をかぶっている方は見やすくするために勝手に木の枝を折ったりもしていました。
 

 
こういう危険なマナー違反がなくなり、みんなが気持ちよく見学できる日を願います。
 
あと、現地では寒さで元気がない蜂も一緒に説明聴いていましたので、ご愛嬌で…
暑い季節でなくて良かったです。
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