●今日の一枚 45●
The Return Of Bud Powell
土・日仕事だったので今日は休みだ(といってもこれから部活動につきあわなければならないが……)。平日で妻や子もいないので、本当に久しぶりに音楽聴き放題だ。
晩年のバド・パウエルの作品をもう一枚。バドの遺作だ。彼はパリで生活した数年間で精神的な不調からかなり立ち直り、1964年、ニューヨークに戻って早々に録音されたアルバムだ。
全盛期のような聴くものの意表をつく閃きはない。指が遅れがちのところも多い(録音もあまり良くない)。パリ滞在中の作品 In Paris に比べても元気がないような気がする。にもかかわらず、不思議な安らぎに満ちたアルバムである。② Someone To watch over me と⑥ I Remember Clifford 、⑧ If I Loved You は、とくに気に入っている。非常にゆっくりとしたテンポで、一音一音噛み締めるように丁寧に演奏されるこれらの曲は、往年のスピード感溢れる神がかり的演奏とは違った形で、バドの精神の深遠を垣間見せる演奏だ。
バドは、この作品から2年後に亡くなった。
Bud Powell In Paris http://blog.goo.ne.jp/hiraizumikiyoshi/d/20060911