●今日の一枚 59●
The Best Of AOR ”Melodies”
たまにはこんな音楽を聴くのもいいのではないか。懐かしのAORだ。AORとは、Adult Oriented Rock = 大人向けロックのことだ。
コンピレーション・アルバムである。私はコンピレーション・アルバムをほとんど買わない。主義というほどのものではないが、演奏者が意図したちゃんとした作品を聴きたいと思っているからだ。にもかかわらず、このアルバムを購入したのは、数年前の長期出張の際、あまりの退屈さに辟易して、ふと見たスポーツ新聞にこのCDの宣伝が載っていたことがきっかけだ。マイケル・フランクス、クリストファー・クロス、アル・ジャロウ、シカゴ、ボビー・コールドウェル、リー・リトナー、ドナルド・フェイゲン、J.D.サウザー、TOTO、エア・サプライ、ボズ・スキャックス、アース・ウインド&ファイアー、プレイヤーズ……、懐かしく魅惑的な名前がならんでいた。すぐさま夜の街に飛び出し、CDショップを探し、このCDを手にいれた。そのCDは、主張中、パソコンのCDドライブでかけられることになった。
私がAORに出会ったのは、ちょうどロックやブルースからジャズを聴き始める過度期だ。もしかしたら、AORがなければ、私の音楽生活はロックやブルースなど重くて暗いタイプの音楽に塗りつぶされていたかもしれない。硬直した思考や感性からも脱出できなかったかもしれない。その意味ではAORは「恩人」である。今、AORを聴くことはほとんどないが、だからこそAORは私にとっての青春の音楽なのかもしれない。今でも私の中では、AORは、ほらもっと肩の力をぬいて感じていいんだよ、といっているようだ。
それにしても、プレイヤーズの「ベビー・カムバック」。いいですねえ……。