プーチン大統領と金総書記は、ボストチヌイ宇宙基地で対面し、笑顔で握手を交わした。
金氏は「お忙しい中、私どもをご招待いただきありがとうございます」とプーチン氏に声をかけた。
プーチン氏は「お会いできてうれしい」と述べ、ロシアの先進的な宇宙基地に金氏を迎え入れた。
2人の対面の様子の動画は、クレムリン(ロシア大統領府)の公式テレグラム・チャンネルで公開された。
記者団から、会談の議題に北朝鮮との武器取引は含まれるのか問われると、ドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、公にすべきではない「センシティブな分野」で両政府は協力していると答えた。
プーチン氏は、金氏と武器供給や軍事技術協力について協議するのかとの質問に対し、「我々は全てのトピックについて話し合うだろう」と述べた。
国際的な制裁を受けている両国をめぐっては、北朝鮮がロシアに武器を提供し、その見返りに人道支援を受ける合意を結ぶとの見方がある。
ロシア政府はウクライナ侵攻で使用する武器、とりわけ弾薬と砲弾を切実に必要としている。北朝鮮政府はそのどちらも多数保有している。
他方、国際的な制裁に苦しむ北朝鮮は、資金と食料を切望している。また、2019年にドナルド・トランプ米大統領(当時)との非核化交渉が決裂したことや、新型コロナウイルスの流入防止のための3年以上にわたる国境閉鎖によって、北朝鮮はかつてないほど孤立している。
金氏がロケット工学に「大きな関心」
会談に先立ち、プーチン氏は金氏を宇宙基地内に案内し、「ここが私たちの新しい宇宙基地だ」などと説明して回った。
プーチン氏は金氏との会談場所に同基地を選んだ理由について、金氏が「ロケット工学に大きな関心を示している」からだと明らかにした。
北朝鮮は「宇宙開発計画も進めようとしている」とし、ロシアは北朝鮮の人工衛星開発を支援する方針だとした。
プーチン氏は、会談では衛星技術についても話し合う、そのために「我々はボストチヌイ宇宙基地に来た」と述べたと、ロシア国営のRIA通信は報じた。
北朝鮮はこれまでに2度、偵察衛星を軌道に乗せるのに失敗している。そのため、ロシアに宇宙開発計画の支援を求めるのではないかと盛んに憶測されている。
2019年以来の会談
プーチン氏と金氏との会談は、2019年4月にロシア極東ウラジオストクで対面して以来、約4年ぶり。
クレムリンは会談の冒頭約20秒間の映像を公開した。
プーチン氏は「親愛なる委員長、あなたにロシアでお会いでき、お迎えできてとてもうれしい。今回は、2人で合意した通り、ボストチヌイ宇宙基地で会うことができた」と述べた。
また、「我々は多くの問題を抱えている」とし、「招待を受けてロシアに来てくれてありがとうございます」と述べた。
金氏は、「私たちのロシア訪問にこのような関心を寄せていただき、とても感謝している」とプーチン氏に伝えた。
そして、「私たちは帝国主義との戦いで共にあり続けると、確信していると述べた。
ウクライナ侵攻でロシアを支持すると
金氏は、ウクライナ侵攻を続けるロシアを支持すると伝えた。
「ロシアは主権と安全を守るための、覇権主義勢力に対する神聖な戦いに立ち上がった」とし、「我々はプーチン大統領とロシア指導部の決定を常に支持し、帝国主義との戦いで共に戦っていく」と述べた。
ロシア国営テレビの映像によると、金氏は会談前に、北朝鮮はロシアとの二国間関係を「最優先事項」にすると記者団に述べていた。
「我々は北朝鮮とロシアの関係を優先し、今後、我々の外交政策上の最優先事項とする」
国連制裁は両国関係を「妨げることはできない」
ロシア国営タス通信によると、ペスコフ報道官は会談に先立ち、長年にわたる対北朝鮮制裁について尋ねられた際、こうした制裁が北朝鮮との関係を妨げることはないと強調した。
「ロシアは国連安全保障理事会での立場を維持しているが、(制裁が)ロシアと北朝鮮の関係のさらなる発展を妨げることはできないし、今後もそれはできない」