16日の記事です。
「鉄くずとして処理されるはずの自衛隊車両が海を渡り、タイにあった」と読売の記者は書いています。
車両は陸上自衛隊の装備品として転売が禁じられた高機動車だったそうで、他紙の情報と併せると耐用年数(14年)を過ぎて自衛隊が売却処分する際、再使用できない様、車体を破砕する契約だそうですが、買取業者が海外での再使用を念頭に「最小限の部品外し(バックミラ・ライト類)輸出している様です。
陸上幕僚監部の通達は、建前だけで事後の解体確認もしていない様で、その様な実態の中でが海外で使用の実例が有り、17日今朝の同社の記事では、日本に再輸入され高値で(1500万円とか3500万円とかで)売買されている例を報じています。
自衛隊の耐用年数切れの武器や装備を野放しに売却するのはどうかと思いますが、自動車で使用に耐えるなら公にしてオークションに掛けるほどの思い切りが必要でないか? と思います。陸自の関係部署と買取業者の癒着が気になります。決めても守れない通達を改めないといけませんね!!
写真:民家の車庫に駐車された高機動車(7月、タイ北部で)=画像は一部修整しています
(読売新聞)
鉄くずとして処理されるはずの自衛隊車両が海を渡り、タイにあった。現地で本紙記者が確認した車両は、陸上自衛隊の装備品として転売が禁じられた高機動車だった。所有者のタイ人男性は日本の業者から買い取って解体、輸出した経緯を語り、「陸自のルールは知らなかった」と戸惑い
読売新聞オンライン:
鉄くずとして処理されるはずの自衛隊車両が海を渡り、タイにあった。現地で本紙記者が確認した車両は、陸上自衛隊の装備品として転売が禁じられた高機動車だった。所有者のタイ人男性は日本の業者から買い取って解体、輸出した経緯を語り、「陸自のルールは知らなかった」と戸惑いを見せた。(河津佑哉、丸山一樹)
ルール知らなかった
7月下旬、バンコクから車で5時間余りの農村部。民家の車庫にその車両はあった。一見してピックアップトラック風。だが、飾り気を排した外観から、素人目にも自衛隊か軍隊の車と分かる。
車内のダッシュボードには「高機動車」「操作要領」「タイヤ交換について」などと日本語表記の古びたシールが貼られていた。
「ボディーもエンジンも自衛隊の時のままだ」。日本から帰郷中だった所有者のタイ人男性が言った。
村の有力者の家に生まれた50歳代男性は、35年ほど前に日本へ渡り、今は関東地方で自動車解体部品の販売を手掛けている。2018年頃、関東の業者が陸自駐屯地から落札した高機動車2両を計約90万円で買った。雇ったタイ人にドアやタイヤ、エンジンなどを外させてコンテナに詰め、タイへ輸出した。
実家そばの敷地に運び入れ、数人がかりで元通りに組み立てた。ねじを締めるだけで溶接もいらない簡単な作業だった。折れたサイドミラーは新しく用意した。1両は親族が乗れるように地元で車両登録してナンバープレートを付け、別の1両はタイで車のバイヤーを営む知人に約100万円で売ったという。
軍用車然とした外観のため、運転中に警察官に止められたこともあったが、車検証を示すと通してくれた。男性には自慢の車で「見た目がいい。だからタイに輸出して再生した」と語る。
悪路を自在に走り、男性はタイに帰るとこの車でキャンプなどを楽しんだ。今年3月、村長だった父が亡くなると、ボディーに白と黒の布を巻き、ひつぎを寺に運んだ。
男性は、陸自が高機動車を再利用できないよう、破壊して鉄くず処理することを求めたルールについて「知らなかった。落札業者からは何も聞いていない」と、困惑した表情を浮かべた。輸出の際、車両を入れたコンテナ内部の写真を日本の税関に送った、と説明。「国も分かっていたはず。自分は悪くない」と繰り返した。
男性と取引があり、過去に自衛隊車両を多く落札した関東地方の業者は、取材に「18年頃まで外国人業者らに高機動車などを転売した。外国人業者は、再び組み立てるのを前提に、簡易に解体した状態で輸出した」と証言した。
陸自の資料によると、高機動車の重量は約2・7トンで、そのうち鉄やアルミなどリサイクルできる金属は約2トン。複数の解体業者らによると、国内で鉄くずや自動車部品として売った場合の相場は30万円前後となる。一方、海外で再び組み立てた高機動車の場合、日本円換算で500万円を超える高値で販売される例もあるという。
処分完了までの管理 不十分
高機動車が転売されて海外に流出した背景には、陸自の管理が行き届かなかった実態がある。処分が完了するまで厳格な管理が必要だ。
陸上幕僚監部の通達は、売り払い時に破壊する必要性を強調する一方、部隊の負担を軽減するため、作業を業者に行わせることができる、とも明記している。
通達に沿って、売り払いの前に陸自が行う作業は、部隊標示を外すなど最低限の作業にとどまる。業者の破壊工程を職員が確認することは原則なく、業者が工程を撮影した画像や書類の提出を受けるだけだ。
陸幕は取材に、「契約に基づき、高機動車は適切に処理されている」との回答を繰り返してきた。だが、今春以降、国会で転売、流出の可能性が指摘され、防衛省側もようやく実態把握に乗り出す姿勢を示した。防衛装備品の輸出制限緩和の議論が進む今こそ、早急な検証と実効性のある防止策が求められる。(沢本浩二)
(引用終わり)