王様の耳はロバの耳

横浜在住の偏屈爺が世の出来事、時折の事件、日々の話、読書や映画等に感想をもらし心の憂さを晴らす場所です

国家の品格論 第六章 上

2006-05-07 08:30:20 | 国家の品格論
   第五章 からの続きです
ようこそ 第六章へ ここで藤原先生は「情緒」と「形」という(素晴らしいものは)日本に限定すべきでなく普遍的価値(世界でも通用する価値)がある その大切な理由を6つ上げます

その1:普遍的価値である
イギリスはここ1世紀の間は斜陽でした GDPは日本の半分ほどそれでも日本の言うことは聞かなくともイギリスの言うことに世界が耳を傾けるのは何故か それはイギリスの生んだ「普遍的価値」に世界の人々が尊敬の念を持っているからである 例えば議会制民主主義、文学のシェイクスピア・ディケンズ、力学のニュートン、電磁気学のマックスウェル、進化論のダーウイン、経済界のケインズ コンピューター,ジェットエンジン、レーダーもイギリス発です 逆に言えば(日本の様に)経済的繁栄だけでは尊敬されない それ故「普遍的価値」を生まないといけないのです

(爺の注釈:ここでも藤原先生は混乱したか意識的に間違えをしています 「普遍的価値」の解説に世界に例の無い四季、神道、もののあわれ等の日本固有であり常夏・常冬、砂漠,雪原、一神教では成り立たない(第四章)物を挙げているのです これ等が「普遍的価値」である事を証明しなければならぬのにその理由の1に「普遍的価値」は大切であるとだけ言っていては説明になりません でも先生は理論に理論は解決にならないとのご主張ですから次に移りましょう)
  
(先生は続けます)日本でも普遍的価値を生み出していた 例えば文学の紫式部、俳諧の芭蕉、数学者の関孝和 この様な「普遍的価値」は生み続けねばならない

心の奥底に訴えるもの
そしてなにも大発見大発明に限らない 例えば「親孝行」アメリカで日本人の留学生が国の年老いた両親を思い涙を浮かべたらその人は信頼尊敬される 「親孝行」はアングロサクソンの間では流行らないが心の奥底では非常に似ている 心の奥底に訴える物は辺鄙な地で生まれた物でも「普遍的価値」と言える
日常生活での素晴らしい仕組み・知恵
交番・豆腐・布団も「普遍的価値」である 欧米人の間で理解や愛好者が増えている

そして「普遍的価値」の最大のものは「もののあわれ」跪く心、懐かしさ、自然への感受性といった「美しい情緒」 その「美しい情緒」からうまれた神道 それに加えるに武士道精神という日本独特の「形」である

(爺の注:ここでも先生の断定が繰り返される なぜそれが「普遍的価値」なのか説明抜きで)

さてお話変わって 跋扈するグローバリズム
20世紀の最後の頃から跋扈し始めてグローバリズムはアメリカの戦略に過ぎない
冷戦後にアメリカ式市場経済、リストラ自由のアメリカ式経営、株主中心主義、アメリカ式会計基準等を各国は半ば強制されてきました どの国でも極端な貧富の差がついてしまった アメリカの中産階級さえも 世界はこれに断固戦いを挑まねばならない

画一化する世界
かくして経済に発したグローバリズムは社会を少数の勝ち組と多数の負け組み分け広く社会、文化、教育を腐食させる最大の問題はグローバリズムが社会,文化,教育も画一化してしまう 

21世紀はローカリズムの時代
グローバリズムのもたらす効率性はある意味で素晴らしい でも経済的な意味その他でこの効率化をすすめるなら赤子に世界中で英語だけ教えれば英語で意思疎通の出来る 政治や経済始め素晴らしく効率的な世界が出来る しかし私(藤原先生)に言わせればそんな世界/地球は無くなってしまえばよい 緒各国、各民族、各地方に生まれた「美しい文化・伝統・情緒」等は能率・効率より遥かに価値が高いのだ

チューウリップは美しい でも世界中をチューリップ一色にしてはいけない 信州にはコスモス、千葉では菜の花、他ではユリやヒマワリ これが美しい地球である チューリップ一色で統一・画一化を進めてはいけない 
21世紀は各国、各民族、各地方に生まれた「美しい文化・伝統・情緒・文化・型」を多義に尊敬しあい育ててゆく このローカリズムの中核が普遍的価値であり日本では「美しい情緒」と誇るべき文化や伝統なのだ

(爺のぼやき:最後の2項目ローカリズムとグローバリズムもやはり「情緒」や「型」が普遍的価値である事の説明になっていない 先生が関連付けてそうだと断言しているのは分かるが

そして地方には地方の良さを認めれば認めるほどそれを世界に広めようとの発想が自己矛盾を起こしていないだろうか? 先生のお言葉を借りれば日本ではチューリップ一色にする必要は無い 美しいユリ、菜の花、ヒマワリ、コマクサ等が咲いていれば良いのでなかろうか チューリップを麻薬販売、人身売買、公営賭博、消費税等の言葉に置き換えればどんなものであろうか 日本は欧米のカスはいらない そういう国でありたい 他国の人の頭のハエまで追えない
 
第六章 上 はここまで 第六章 下 に続く



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6 コメント

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新しい本が出ましたね (ハチミツ二郎)
2006-05-07 13:51:28
文藝春秋から、藤原先生の新しい本が出ました。といってもエッセイ集ですが。国家の品格がメチャ売れしたので、各書店とも平積みでどっさり置いてあります。



内容的には、国家の・・と似てます。

この方の意見には確かに「テキトー」なというか、やっつけというか無理矢理なという部分はあります。



しかし、歪んだ市場原理主義や自由競争(実は自由でない)が日本を破壊してしまったという警鐘については同感です。

特に竹中バカボンのパパ大臣の傍若無人ぶりは目に余ります。彼の「私的懇談会」は、企業に優しく人に厳しい法律を次々作り、まさにやり放題。



メガバンクも大企業も、躍起になって空前の利益をあげてますが、一体何が目的でだれが美味しい目にあうのか、サッパリわかりません。少なくとも国民に還元はされませんねぇw

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また出ましたね (浜の偏屈爺)
2006-05-07 16:27:56
ハチミツ次郎様 今日は お立ち寄りとコメント有難う御座います 藤原先生の新書「この国のけじめ」の大広告を連休中に新聞の広告欄で見ました 広告の見出しだけ眺めると「国家の品格」と似ていますね 情緒と形 惻隠の情と武士道精神でやって行けるでしょうか

今度は1250円なので当分読まない積もりでいます ブロガーはいじ(女性)様が女性の品格はどうするか鋭いご指摘でした 女性の賛同を得られなければ世界はおろか日本でも精神を発揮するのは難しいのではないかと納得した次第です さて竹中先生ですが金のある奴から無い奴へ上手に戻すのが上策です 今度は住宅ローンの返済を国が肩代わりするくらいの事を考えなければいけません 10年で300兆円も預金金利を国に貢いで来たのですから 又お立ち寄りください



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すっきり (千織)
2006-05-07 20:17:28
コメントをいただいたので私もお邪魔してみました。

爺様の投稿に気分すっきりです

また来ます。続きも楽しみにしてます。



新刊の発売、確かに各書店で平積みですね。

私も書店でアルバイトをしているのですが

いやはや、複雑な心境です。あはは。
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TBありがとうございました (カオス)
2006-05-08 00:44:54
『国家の品格』にとても詳しい分析されているので、読み応えがあります。私ももう一度読み返したいと思わされますね。私は、『祖国とは国語』の方が空きなのですが・・・先日も、藤原先生のエッセイが平積みされていましたが、どれから読めばいいのか迷ってしまって、結局、いまさらながら『竿竹屋は~』を勝ってしまいました。(苦笑)お勧めがあったら教えてくださいね。

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お勧め本 (浜の偏屈爺)
2006-05-08 07:24:57
カオス様 お早う御座います お立ち寄りとコメント有難うございます 年金暮らしなもので新刊書を次々と買って読むことが出来ません 勢い図書館に頼ることになります 藤原先生の“国家の品格”も予約が半年も先になるので買った次第です 最近読んだ本では“食品の裏側”が良いですよ 東洋経済新報社 安倍司著です 藤原先生の毒気を払うには山本七平氏の1990年の日本、私の中の日本軍、下級将校の見た日本軍、裕仁天皇の昭和史等が読みやすくて良いと思います

又おたちよりを

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又出ましたね (浜の偏屈爺)
2006-05-08 07:48:31
千織様 当方へお立ち寄りとコメント有難う御座います 先生はというか出版社が柳の下のどじょうねらいで“この国のけじめ”を出しましたね 小見出しを見ると“品格”と趣旨は同じようです もう十分しかも今度は1250円ではないですか!

爺の論も間もなく最終章です 目下書上げ中です 又お立ち寄りを

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