湯めぐり四方山話 & 和の音

湯めぐりは 人・風物との出会い

自炊の達人に出会う?「国見温泉・石塚旅館」 (岩手県)

2015-02-11 | 湯めぐり四方山話
岩手県国見温泉「石塚旅館」・湯治棟に泊まった時のことだ・・

我々は自炊棟に泊といっても「一から食材を自炊する」ことはほとんどなくて
たいてい途中のスーパーで「お惣菜・刺身・お寿司・インスタント汁もの」等を購入し
自炊棟に入り、レンジやガスでの温め作業や汁もののお湯を沸かすことが多い。

しかし、
この「国見温泉・石塚旅館・湯治棟」には自炊の達人?がいた。
その人は、我々がチェックインした30分後に自炊棟に来た地元の60代の男性だった。

玄関に横付けした車の荷台から大きなダンボール箱を
「よいしょ」の掛け声で玄関口にドンと勢いよく降ろした。
我々の部屋は 玄関の斜め前(すぐ近く)なので、この音にびっくりして
玄関に様子を見に出た覚えがある。
男性が降ろしたダンボールには「大きな鍋・野菜や魚・肉ほか鍋料理用の食材?がどさっり」
ちょっとびっくりしたが、この人と目があったので「こんにちは」と声をかけると
無言で軽く会釈された。

「玄関での大きな音の正体」がわかってホッとし、自分の部屋に戻って寛いでいたら・・
その後がすごい~展開で・・
今度は「トントントン」と非常に軽快な包丁音が 隣の自炊用台所から響いてきた。
どうやら さっきの男性が、すぐに調理を始めたようだ・・
あまりに手際のいい~包丁音で・・びっくりした~

「明らかに 私のほうが負けている包丁音だ」
包丁音以外にも、何やら洗ったり煮たり 手際よく調理している音が聞こえる。
すごいです。到着したらすぐに調理に取り掛かることも・・
まあ考えてみたら
地元の常連さんなら「勝手知ったる石塚旅館・自炊棟の台所」なのでしょう。
あっと言う間に夕食の準備も終わったみたいで・・
自炊棟の台所は 急に再び静かになった。

その後、我々は、石塚旅館・本館のお風呂に入りに行った。
そして お風呂上りに またまた ゆっくりと部屋で寛いでいたら・・
先ほどの地元男性が後から来た知り合い男性と二人で お風呂上りの晩酌を始めた。
それが、我々の部屋の前のちょっとした寛ぎコーナーで始まった。
(そこには、ミニテーブルと2つの向かい合わせの椅子があった。)
とっても楽しそうに湯上りのビールを楽しんでいる。
と・・「トントン」と今度は我々の部屋のドアをノックしてきた。
「一緒にどうですか? ご主人はビール飲まれませんか?」
え~晩酌のお誘い?・・うれしいような・・

後から来た男性は、どうやら
本館の受け付けで入館手続きをした際に 女将さんから
「きょうは自炊棟を始めて利用する客(我々)が遠方から来ているので
いろいろと台所の使い方など教えてお世話してあげて~」と頼まれたらしい。
その人はとても話好き・世話好きな人で、
この自炊棟の使い方などいろいろ教えてくださった。

たとえば、お部屋を暖房していると・・
だんだん暖かくなってくると「カメ虫」が出てくるので・・
その時はこのガムテープで「カメ虫」をくっつけて捉えたらいい~と
ガムテープを一つ渡して下さったり・・

この男性と向かい合ってビールを飲んでいる男性は
自炊棟に先に到着して、すぐに調理を始めた人だった。
あの見事な?包丁さばきの人だ。
この人は もう一人とは全く別で 大人しくてほとんど喋らないが・・
お風呂上りのこのミニ酒盛りでは
自分の手作りおつまみを食べながら 超ご機嫌で 非常にいい笑顔だった。

その お風呂上りのビールのおつまみとは・・
ここら(東北の)名物か?
いんげん豆(通常のいんげん豆よりうんと長い)を湯がいたもの・・

それと 漬物(たぶん自家製と思える)だった。
さっきの軽快な包丁音は、この漬物を切る音だったみたい・・
きれいに切られたおいしそうなお漬物がお皿に2種類並んでいた。

しばらく夫ともどもお二人と会話して・・
このあたりの お得な温泉宿情報など しっかり教えてもらった。

さすがです。
到着したら すぐに黙々と 風呂上りの晩酌の準備や料理をする男性と
後から来て 何も調理しなくてお風呂上りのビール・おつまみから参加する男性の二人
とても いいコンビです。
彼らは地元の農家(りんご農家)の人だった。
役割分担が決まっているの??

この二人と話しているうちに我々も すっかりお腹が空いてきたので・
ここへ来る前に立ち寄ったスーパーで買ってきた食材を
冷蔵庫から出して(お刺身や寿司、お惣菜など)
お湯を温め、インスタントみそ汁、スープ、お茶などを入れて
部屋食をした。

そののち、再び 本館のお風呂に行って
またまた 部屋で寛いでいたら・・
さっきの男性2人のところにはさらにあと2人の男性がやってきて
(2人とも最初にお風呂に入って温まったところでのお食事会合流らしい)
人数も4人になったところで 自炊棟の中の一番広い奥の部屋では
今度は ビール+日本酒+お鍋料理の本格的な宴会が はじまった。
すき焼きか何かしているのか・・
美味しそうな あったか鍋の匂いが廊下まで漏れてきていた~
ワイワイと地元の仲間(男性4人)で入りたい放題の良質温泉+食事・団らんは
非常に楽しそうで・深夜まで続いていた・・・

とっても不思議なのが・・
廊下の突き当りの一番広い畳の部屋でこの宴会をやっているのだが・・
10月末なのに「寒くないのか?」部屋のドアを開けっ広げにしてやっているのだ・・
どうぞ、見てください。自由にご参加ください・??風なのだ・・
石塚旅館のお風呂に入り(本館に2つ。露天風呂一つ)
・・・写真は混浴露天(実際は ほとんど男湯状態)・・・

お酒も入っていて、ましてグツグツとお鍋料理
気の置けない仲間との会話が休むことなく続きで、全く寒くはないのだろうね・・
家から卓上ガスコンロも持参してきているようだし・・
気のせいか?お部屋の電気(豆電球)もワット数の高いのを家から持参し
宴会用にと明るいのに 付け替えてない??
妙にあの部屋だけが明るいんだけど・・

まあ これは
「自炊棟の常連さんたちの 定期?お決まりミニ宴会??」かな??
温泉地の男たちの密やかな楽しみなのかも(男たちの隠れ屋?)
それにしても 一人は料理担当もいるし・・ばっちりいいじゃないですか!!
それぞれの家も 夫たちだけで温泉湯治に行ってくれると
妻は その期間は ご飯作らなくてよくて なんて気楽なんだろう・・

「素晴らしい男性だけの自炊・温泉・湯治!!」
あっぱれ!!

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする