長野県の「霊泉寺温泉」を出て
同じ長野県だが、北部の「野沢温泉」に行った。
「野沢温泉」は、
東日本大震災の起こる前には、1年に2回くらい行った温泉地。
震災後は、今回が初めて訪問になる。
震災の影響が心配だった。
東日本大震災の翌日に長野県の「栄村」で大地震があった。
野沢温泉は、そこにとても近い。
道の駅「花の駅 千曲川」から野沢温泉への道すがら
懐かしい山々と「菜の花」の薄黄色の畑が続く。
九州では、3月に見た「菜の花」
西日本では、4月に咲いていた。
そして、信州では、5月に見られる「菜の花」
今年は3回も見られて得した気分だ・・
野沢の街に着くと 今度は
大きな「ぼたん桜」が我々を出迎えてくれた。
同じ長野県の南部の丸子温泉郷「霊泉寺」の
境内でも「ぼたん桜」を見た。
野沢のほうが、北部なだけに
ぼたん桜は、より花盛りかな??
野沢温泉では、
温泉街の一番下の地域の「熊の手洗湯」に行くことにした。
町役場の駐車場に車を停めて行く途中、
ゴウゴウと大きな音を立てて
雪解けの水が町中の水路を流れる。
すさまじい勢いの水流で、いつもながら圧倒される。
この時期は、特に雪解けで水量が多い気がする。
水の音に気をとられていたら
野沢温泉の独特の急な坂道に入った。
やっと「熊の手洗湯」についた。
2年前と変わらない姿で、建っていた。
施設の前の「卵湯」設備も健在だ。
入口のトビラを開けて中に入ると
あ~あ 変わっていない。
一安心・・
さて、一番気になる浴槽は・・
よかった~変わってない。健在だ。
一安心し、ゆっくりと久々の「熊の手洗湯」を楽しんだ。
うれしさ~が体中に温泉成分と一緒にあふれてくる感じだった。
先客が一人おられた。
60代かな?
この湯の常連さんだった。
彼女は、若いときから毎年スキーでこの地に来られていて
冬はスキー・春~秋は野沢温泉の山々をトレッキング・・と
温泉だけでなく、
野沢の自然をほぼ1年中 全身で満喫しておられた。
お話を聴くと、
非常に活動的な人で60代に思えないから驚く。
それが、昨年、左足を故障してしまい・・
ついにスキーは当分お休みになり・・
野山のトレッキングもできなくなり・・
今は、温泉のみの付き合いになった野沢温泉らしい。
要するに「湯治中」の身なのだ・・・
湯の中で左膝の下の部分をしきりに摩っておられる。
きっと「早く治れ、早くよくなれ~」と心の中で叫んでおられるのだろう。
こんな彼女を見ていたら
10年前、左膝を故障して、しばらく歩くのもままならず
運動ができなくなり、すっかり落ち込んでいた自分を思い出す。
あの頃は、同じように すがる思いで温泉療養していた自分がいる。
しかし、
故障して間もない彼女に
「そのうちこの不自由な状況にも慣れますよ」
「簡単に膝は治りませんから、長くお付き合いしてください」
などと軽がるしい言葉は、とてもかけられない。
まして、スポーツ大好きな人だからショックはどれほどだろう。
「お大事にしてください」としか言えなかった。
真剣湯治中の彼女だが・
「一つだけ 足が悪くなって気が付いたことがあるの・・」
と微笑んで話されたのは、
今まで足がいい時は、道端の小さい野草などゆっくり見たこともなかったが、
足が悪くなって、ゆっくりゆっくり野沢の街を歩いていると
「季節ごとの小さい野草が、美しく、とても可愛くてね・・」
「面白いのよ~ 蕗の薹は、雪が解けた場所から一直線になって咲くのよ」
キラキラ輝く瞳でこの話をされる彼女に
この人は野沢温泉の自然が大好きなんだと、感銘をうけました。
もちろん私も
湯からの帰りは、道端の花を楽しみながら坂道を下りました。