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栗東新幹線新駅、建設中止決定

2007-10-28 20:17:26 | 鉄道・公共交通/交通政策
栗東新幹線新駅、地元協議決裂で建設中止確定(朝日新聞)

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滋賀県栗東市(りっとうし)に計画された東海道新幹線新駅の建設中止が24日、確定した。県と関係6市が話し合う新駅設置促進協議会の会合がこの日、県庁であり、凍結・中止を主張する県と、推進を求める栗東市などとの対立の根は深く、合意に達しなかった。歩み寄りがないまま、合意期限の31日を迎える見通し。昨年7月に「新駅凍結」を掲げて当選した嘉田由紀子知事の最大の公約が実現する。

 県と関係6市は今年4月、JR東海と覚書を締結。10月末までに推進か中止かの結論を出すことになっており、それまでに結論が出なければ工事協定などは解除され、新駅事業は自動的に中止されることになっていた。

 この日の会合には嘉田知事と国松正一・栗東市長ら6市長が出席。県側は、中止に合意しないとする各市の意向を踏まえ、31日に協定は終了する▽土地区画整理事業は栗東市と協議する場を設ける▽同市が負担した工事費の精算は県と市で協議する――などとする報告案を示した。

 しかし、国松市長は「いかなる案でも(凍結・中止となる)報告は了としない」と発言。最後まで両者の歩み寄りは見られず、結論を出す期限の31日を待たずに中止が決まった。

 新駅は事業費約250億円のうち240億円を県や栗東市などが負担する請願駅。昨年5月に着工されたが、同7月の知事選で凍結を訴えた嘉田知事が当選。推進を求めてきた県議会自民党が今年5月、「知事の解決策を支持する」と転換し、中止の流れになっていた。

 中止決定で今後の焦点は、新駅設置を前提とした予定地周辺の土地区画整理事業の見直しや地域振興策などに移る。

 嘉田知事は「土地区画整理事業など残された課題について、誠意をもって対応していきたい」とコメント。一方、国松市長は「私の力不足で県の方針転換をさらに転換させることができなかった。市民におわびしたい」と話した。JR東海関西広報室は「正式な話は来ておらず、現時点でコメントすることはない」としている。
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嘉田知事の当選はもちろん建設凍結へ大きな1歩となったが、その後も建設推進派だった県議会自民党が、県議選で27議席から16議席へと大きく議席を減らした挙げ句建設中止へ方針転換したこと、新駅建設のための栗東市の市債発行が最高裁で差し止められたことが決め手となったようだ。
地元の栗東市長選では推進派の国松市長が当選したが、建設反対派が「中止」を訴える候補と「一時凍結」を訴える候補の2人に分裂、2人の反対派候補を合わせた得票では推進派市長を上回っていたから、選挙結果から見る限り地元の意思は建設中止だったことになる。

鉄道ファンの立場から見ても、地元に利益がある新駅建設だとはどうしても思えなかった。第一こんなところに新駅なんて作って、どうやって列車を停めるのだ?

どう考えても停車するのは「こだま」のみ。
その上栗東新駅は駅の位置が最悪だ。京都、米原の両駅に近すぎ、ここに駅を作ってしまうと駅間距離が近すぎる京都~米原間では「こだま」は最高速度ではまず走れない(駅間距離が20~30km程度しかない名古屋~岐阜羽島間、熱海~三島~新富士間などを見ればそのことは理解できる)。「こだま」はさらに遅くなり、足を引っ張られて「のぞみ」「ひかり」の速度も低下する。
新駅が草津駅に併設される形であれば、草津線方面への乗換回数が減り、利便性が増すメリットもあるだろうが、栗東新駅にはそれすらなく、草津線方面へ行くのにも乗換回数は現行と変わらない。さらに、「こだま」が最高速度で走れないこと、「こだま」の本数が1時間1本であること等を考えれば、駅での待ち時間、通過列車の待避時間等も含めた実質的な所要時間では、120km運転の新快速が日中ほぼ10数分間隔で走る在来線のほうが早くなる可能性さえあるのだ。費用対効果でいえば、効果は限りなくゼロに近い。ハッキリ言えば「百害あって一利なし」。

こんなものに240億円もかけるなんて、血税をドブに捨てるようなものだ。嘉田知事ではないが、それこそもったいないの一言に尽きる。地元の面子のためだけの無駄な公共事業だということがこれほど露骨にわかる例もないだろう。

嘉田知事が以前、「ガイアの夜明け」(テレビ東京系)に出演したとき、地元の建設推進、反対両派の意見を聴いた後、司会者の役所広司が「(栗東新駅)推進派はオッサンばっかり」と言っていたのがなぜか今も印象に残っている。まるで田舎の土建屋政治と言わんばかりだが、事実なのだから仕方がないだろう。

当ブログ管理人は、建設中止決定を素直に喜びたい。

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