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日本の政治的空気を読み切った秀逸な外国記事

2009-07-14 22:42:31 | その他社会・時事
日本は自民党を負けさせる覚悟があるのか(英フィナンシャル・タイムズ社説)

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日本政治を長年ウォッチしてきた人なら、「あの強大な自由民主党は、次の総選挙で歴史的な敗北を喫するだろう」と言われても、やれやれといった様子で苦笑するかもしれない。それは仕方のないことだ。同じようなことはこれまでにも何度も言われてきたし、にもかかわらず自民党は(ほぼ)毎回、なんとか権力にしがみついてきたのだから。過去53年間というもの(わずか11カ月の例外を除いて)、自民党はずっと政権与党の座にあった。

けれども今の自民党はややもすると、太りすぎで年のいった相撲取りのようなもので、8月30日の選挙で何をどうすれば負けずに済むのか、土をつけずにいられるのかも分からない状態だ。自民党は、アイディアは枯渇し、リーダーになるべき人材も枯渇し、絶え間ない内輪もめにばかり汲々とする存在になり果ててしまっている。12日の東京都議選で、民主党に屈辱的な大敗を喫したのは、今後の展開の明らかな予兆だと目されている。

狭まる包囲網に取り囲まれている麻生太郎首相は、10月の期限ギリギリよりわずか数週間前に投票日を設定した。民主党が世論調査で大差をつけてリードしている状況をひっくり返すにはもはや手遅れというタイミングまで、決断を引き延ばしてしまったようだ。小泉純一郎元首相が途方もない地滑り的勝利で、衆院選に大勝したのは2005年。あれから総理大臣になった自民党総裁は麻生氏で数えて4人目。なので麻生氏は本来、昨年秋の就任直後に改めて、国民に信を問うべきだったのだ。13日には景気回復の兆しがわずかながらも明らかになったが(輸出持ち直しで景気判断を3カ月連続で上方修正)、だからといって、変化を求める国民の空気がそれで変わるとも思えない。

とは言うものの日本の国民は、ワクワクするような選択肢を与えられているわけではない。民主党もこのほど、ベテラン実力者の小沢一郎前代表が政治献金疑惑で辞任を余儀なくされるという、指導部の危機を切り抜けたばかりだ。後任の鳩山由紀夫代表は、立派な人物だが、カリスマ性に欠ける。そして麻生氏と同様、長い歴史を持つ政治一族の末裔なだけに、長く日本政界を牛耳ってきた支配層にすっかり辟易としている有権者にとって、麻生氏と大差はない。

さらに民主党はこれまで、世界的な経済危機の影響にどう取り組むのか、わかりやすい経済政策を明示できていない。思想的には自民党よりも左寄りで、福祉や社会正義を重視するが、民主党の本当の魅力というのは「自民党ではない選択肢」だという一点に尽きる。けれども今回は、それだけでも十分かもしれないのだ。

何らかの理由で政権与党に支持率がごっそり戻らない限り、民主党は選挙に勝つかもしれないし、もしかしたら衆議院で単独過半数をとる可能性さえある。すでに参議院では第一党なのだ。衆参の多数党がそうやって揃えば、もっと一貫性のある政府ができるだろう。しかし鳩山氏はまだ、明確な政策綱領を示していない。経済政策に限らず、日米関係の将来についてもそうだし、同じくらい重要な日中関係についても同様だ。真剣に政権をとるつもりなのだと、鳩山氏は示す必要がある。

(翻訳・加藤祐子)
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毎日毎日、自民党内の「内戦」を報じるばかりで、日本の危機の本質に迫ろうとしない国内メディアより、外国メディアのほうがよほど冷静で、日本の政治的空気を正確につかんだ報道をしている。いま、日本国民は外国メディアを通じてしか、自分の住む世界で起こっている事の本質や真実を知ることができない状況にあり、実はこれこそ日本国民を覆っている不幸の最たるものではないだろうか。

『とは言うものの日本の国民は、ワクワクするような選択肢を与えられているわけではない』『鳩山由紀夫代表は、立派な人物だが、カリスマ性に欠ける。そして麻生氏と同様、長い歴史を持つ政治一族の末裔なだけに、長く日本政界を牛耳ってきた支配層にすっかり辟易としている有権者にとって、麻生氏と大差はない』『民主党の本当の魅力というのは「自民党ではない選択肢」だという一点に尽きる』というのは、今まさに多くの日本国民が痛切に感じていることだろう。『けれども今回は、それだけでも十分かもしれないのだ』というのも、日本中を覆い尽くしている政治的雰囲気を誤りなく表している。

麻生首相が衆議院解散に踏み切ることができるとしてもできないとしても、もうすぐ選挙はやってくる。それに、この期に及んで解散の時期を云々すること自体、愚かなことだ。公職選挙法第31条の規定によれば、衆議院の任期満了による選挙は、任期満了日の30日前から行うことができる。9月10日が任期満了日である今回の場合、8月11日以降であれば任期満了選挙が可能となる。つまり、今頃になって解散を断行したとしても、投票日が8月11日以降となるならば、それは任期満了選挙と実質的に変わらないわけだ。麻生首相は自分の手で解散を行うことにこだわり続けるとの観測もあるが、もはや「実質的な任期満了選挙」とのそしりは免れないだろう。

それにしても、自民党の内紛はあまりにもお粗末で哀愁さえ漂っている。そこには、過去半世紀以上にわたって政権を独占し続けた党の威厳などひとかけらもない。敗戦間際の日本軍と同様で、敵と戦う前に自壊作用が始まったかのようだ。ひとつの組織が滅び行くときというのは案外こんなものなのかもしれない。

だが私には同情する気なんてこれっぽっちも起きない。自民党の今日の混乱は、自ら招いた結果なのだ。貧富の差が拡大し、若者は就職さえできず、女性は出産もできないまま病院をたらい回しにされる。お年寄りは後期高齢者医療の保険料さえ払えない。年間自殺者3万人が10年続いた結果、30万人を超える日本人がみずから命を絶った。1年間に3万人と言えば、1日換算で100人弱。これだけの人が毎日毎日みずから命を絶っている。イラクでは、60~70人の死者を出す自爆テロが時折発生しているが、それを超える人たちが毎日、生活苦で命を絶っているのが、私たちの住む日本なのだ。

誰が日本をこんな国にしたのか。それがバブル崩壊以降、15年にわたって強力に進められてきた新自由主義政策、市場原理主義政策の結果であることに気付いた多くの国民が、怒りを膨らませながら「審判の時」を待っている。それはおそらく自民党にとって「最後の審判」となるだろう。自民党議員達は、今頃になってその事態に気付いて恐れ、おののいている。最近の自民党の『絶え間ない内輪もめ』は、そうした根源的恐怖に発している。

くどいようだが最後にもう一度強調しておこう。自民党がいかに争点隠しを図ろうとしても、それらはすべて徒労に終わるだろう。なぜなら今回の選挙は「国民を苦しめる自公政権の是非」それ自体が争点となるからだ。国民に生きる権利さえ与えようとしない政党・政権など、さっさと歴史のゴミ箱に捨てられればいい。

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