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こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
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国は今こそ貨物列車迂回対策を!

フクシマ・アクション・プロジェクト報告~福島支配狙うIAEAに抗議行動

2013-04-09 21:51:13 | 原発問題/一般
(この記事は、当ブログ管理人が日本出版労働組合連合会発行「原発のない未来へ~出版に働くものだからこそ、できること~」No.18(2013.4.4発行)に発表した原稿を掲載しています。なお、掲載に際し、文字化けのおそれがある丸数字のみ、かっこ付き数字に改めました。)

 2012年12月15~17日にかけて、郡山市で日本政府主催の原子力「安全」に関する福島閣僚会議が「国際的な原子力安全の強化」と「福島の復興」を目的として行われました。117か国・13の国際機関が参加。私たちフクシマ・アクション・プロジェクト(http://npfree.jp/fukushima.html)は、15~16日、会場で、会議の目的およびIAEA(国際原子力機関)の福島常駐に対する抗議行動を行いました。

 それに先立ち私たちは、この会議に関して県民への説明を求めていましたが、ようやく12月9日に説明会が行われ、県民の声を伝える場の設置も実現させました。

 そもそもIAEAは、アイゼンハワー米大統領の提唱で1957年に設立された国際機関で、「全世界における平和的利用のための原子力の研究、開発および実用化を奨励し、援助する」ことを目的としています。日本では、核開発の疑いのある国に査察を行う組織という認識が一般的ですが、実際には「平和利用」の美名の下、国際的に原発を推進すると同時に、軍事面では核拡散防止条約(NPT)と合わせ、核保有国だけに核兵器独占の特権を与える役割を果たしてきました。

 IAEAはまた、1959年にWHO(世界保健機関)との間で「WHOとIAEAが活動する際の重要事項は、互いに相手側の合意を得る」との内容の協定を結びました。この協定により、WHOは放射能が人間の健康に悪影響を与えることを発見しても、IAEAの了解なしにそれを発表することはできないとされたのです。

 IAEAは、チェルノブイリ原発事故の際にも、被害の著しかった地域に調査団を派遣しましたが、この調査団は、原発事故による死者は50人、甲状腺がんで亡くなった子どもは9人とするなど、事故の影響を極端に過小評価する報告書をまとめ、事実上、チェルノブイリでの悲惨な健康被害をもみ消しました。

 IAEAが「福島県環境創造センター」(仮称)の名称で設置を予定している施設は、福島県三春町、南相馬市の2か所に置かれることになっています。福島県の「基本構想」によれば、IAEAから研究者を受け入れ、県内各地を早急に放射能汚染から回復させるため、除染と放射線に関する研究を行う拠点として、2016年度の全面開所を目指すとされています。福島県民のための研究施設を装っていますが、彼らの過去の行動を見れば、反原発の声を抑え込み、最も被害の酷い福島で健康被害をもみ消しながら、国際原子力ロビーおよび原発の生き残りを図るための「拠点」にするという彼らの目的は明らかです。

 この会議でIAEAと福島県立医立医科大学が結んだ協定書では、どちらか一方が秘密指定とした情報については秘密性を確保する、という驚くべき内容になっており、福島原発被災者の健康管理は、初めから隠ぺいを前提として進むことが危惧されます。また、IAEAと福島県が結んだ覚書は、除染、放射線モニタリング、放射性廃棄物の管理などの内容となっています(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/atom/fukushima_2012/fukushima_iaea_jp_1215.html)。

 閣僚会議の会場となった郡山市のビッグパレット周辺には、12月15日朝、フクシマ・アクション・プロジェクトが呼びかけた抗議行動に約100人が集まり、「IAEAは帰れ」「被災者の声を聞け」と声を上げました。「私たちを抜きに福島のことを決めないでください」と訴えると、参加者から「そうだ」のかけ声と拍手が起こりました。この行動には、ドイツ、フランス、オーストリアなど海外の市民団体のメンバーも参加、仮装したメンバーの多彩なアピールが見られました。

 会場1階の通路に並ぶ福島県作成のパネルは、津波・除染・心のケアを強調し、除染をしている、子どもたちは元気に過ごしているという内容。玄葉光一郎外相(当時)、天野之弥IAEA事務局長のスピーチは、福島のことをあまり心配せず、教訓を活かし事故の起きないよう安全対策して原発推進をという内容で、はらわたが煮えくり返りました。レベル7という最悪の事故を起こした福島でなぜ原子力「安全」に関する閣僚会議なのか。危険の間違いではないか、との声も聞かれました。

 15日11時半から、国の言いなりになり、IAEAを誘致した福島県に対し、フクシマ・アクション・プロジェクトから要請書を手渡しました。その内容は、(1)福島へのIAEAの進出をやめさせること、(2)汚染地域の住民避難と、避難に伴う損失を県の責任で賠償すること、(3)県外避難者の住宅補助の打ち切りなど避難者への非情な扱いを止め、支援をすること、(4)子どもたちの避難を実現するため、学校単位の疎開・保養を直ちに実施すること、(5)健康被害がないとの前提で進められている県民健康管理調査を根本的に見直し、科学的で客観的、公平なものとすること。併せて、健康被害の過小評価を目的とした検討委員会の議事進行や特定の方向への議論誘導などをしないこと、(6)「秘密会」の開催や健康被害のごまかし、隠ぺいを主導してきた責任者に対し、適正な処分をすること、(7)モニタリングポストによる測定を正しく行い真摯な情報公開を行うこと、(8)福島県民の共通の願いは核・原発の廃絶である。核推進機関を呼んだ国際会議ではなく、核・原発廃絶のための国際会議を開催すること、(9)これらの要請を受け入れ速やかに実行した後、今回の原発事故まで原発推進の立場を取ってきた知事として、辞任という形で県民に対し責任を取ること――の9項目です。

 また、ヒューマンライツ・ナウの伊藤和子さんは、国連人権理事会の「最高水準の健康を享受する権利に関する特別報告者」の勧告文をIAEA広報官に手渡し、IAEAが勧告に従って子どもの健康と人権を守るよう訴えました。同時にフクシマ・アクション・プロジェクトも要請書を手渡しました。

 その後、SPEEDIのデータ隠しや健康調査「秘密会」に続き、福島県による可搬型モニタリングポストによる事故直後の空間線量測定値データの廃棄がまたもや明るみに出ました。事故から2年経った今もやっていることはごまかしと隠ぺいばかりで、県民の行政不信は頂点に達しています。この上にIAEAの進出を許せば、こうしたごまかしや隠ぺいにますます拍車がかかり、県民の健康を守るためのデータは闇に葬られることになるでしょう。

 国際原子力ロビーの頂点に位置し、国家さえ超越する力を持つ巨大組織、IAEAに市民が対抗していくのは大変なことですが、最も悲惨な原発事故被害を受けた福島から核の時代に終止符を打つため、私たちはこれからも、あきらめず闘いを続けていきます。

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