安全問題研究会(旧・人生チャレンジ20000km)~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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<安全問題研究会コメント>高速バス新制度への移行を歓迎する~国交省は規制緩和と人柱行政の反省を~

2013-08-04 23:57:44 | 鉄道・公共交通/安全問題
1.8月1日、乗合バス事業の見直しに伴って、新たな高速バス制度が発足した。これにより、従来の高速ツアーバス制度は廃止され、高速乗合バスに一本化されたことになる。安全問題研究会は、新制度への移行を歓迎する。

2.今回のバス制度見直しは、昨年5月、関越自動車道で7人が死亡した悲惨な事故を契機とするものである。国交省は、この間、バス事業労使、旅行業界などの利害関係者および有識者、バス趣味雑誌編集長等からなる「バス事業のあり方検討会」を設置。事故が多発する情勢の中、新たな規制の方向性について、各界各層を代表する委員による真摯な議論が続いてきた。今回、検討会が一定の結論を得て、バス事業者間の際限のない競争に歯止めをかける新たな規制制度が発足したことは、検討会各委員の多大なる努力によるものである。当研究会は検討会各委員に対し敬意を表する。

3.新制度では、旅行業法の適用を受け、旅行業者が責任主体となって貸切バス事業者に運行を委託するツアーバスの業態を廃止。高速バスを運行するすべての業者に道路運送法を適用し、自社でのバス車両保有、バス停の設置、運行の事前届出を義務づけた。ワンマン運転についても、実車距離400km、運転時間9時間(夜間)、実車距離500km、運転時間9時間(昼間)をワンマン運行の上限とし、これを超える場合には乗務員2人以上による運行を義務づけた。また、乗務員の連続乗務も4夜までに制限された。

4.今回の規制強化により、ツアーバス事業者の大半が撤退を余儀なくされたが、この程度の規制で撤退せざるを得ないようなバス事業者は初めから参入させるべきでなかったものと当研究会は考える。乱立していたバス事業者が整理されることは、バス事業者の旅行業者に対する発言力を強化することにつながる。顧客としての優越的地位を利用して、旅行業者が常識では考えられない過密スケジュールでの運転をバス事業者に強いていた従来の悪慣行が大きく是正されるものとみられる。ワンマン運行の上限の強化も、乗務員が極度の疲労を抱えたまま乗務せざるを得ない状況に一定の改善をもたらすと予想される。

5.しかしながら、過当競争の中、バス事業者は間断のないコスト削減圧力にさらされている。この機会に、当研究会は国交省に対し、バス事業者に対する不断の検査、チェックの徹底を期するよう改めて求める。もしこの検査、チェックが有効に実施されなければ、今回のせっかくの規制強化も画餅に終わるであろう。

6.国交省が今回、バス事業の規制強化に踏み切ったこと自体は評価すべきものだが、関越道事故に先立つ2007年2月、大阪府吹田市で27名が死傷するあずみ野観光バス事故が起きている。本来であれば、そのとき速やかに対策を講じるべきだったにもかかわらず、国交省は有効な対策を取らなかった。その後、2010年9月に総務省行政評価局による「貸切バスの安全確保対策に関する行政評価」が行われ、バス事業者に対する指導監督の徹底が求められたにもかかわらず、ここでも有効な対策を取らなかった。こうした国交省の姿勢こそが関越道事故を引き起こしたのである。当研究会は、犠牲者が出なければ抜本的対策を講じない国交省の「人柱行政」の責任を問うべきと考える。

7.また、今回の関越道事故が明らかにしたことは規制緩和の失敗であり破たんである。2000年の道路運送法の改正により、バスを5台所有するなどの条件を満たせば誰でもバス事業に参入できるようになった。このことが過当競争を生み、バス業界のモラル崩壊につながった。ツアーバスに至っては、利用客に対する契約上の責任はバス事業者でなく旅行業者が負うこととした。しかし、バス車両を保有せず、運転手を雇用もしていない旅行業者が利用客に対する安全上の責任など負えるはずがなく、このような無責任体制を作り出した規制緩和の責任は重大である。

8.責任を取るべき立場にある国交省は、反省も遺族への謝罪もなく、なし崩し的に規制強化に梶を切っている。当研究会は、関越道事故で犠牲となった7名の無念に応えるためにも、上記の事実について国交省の責任を追及していく。そして、JR北海道のたび重なる事故、ボーイング787の発火などにより、全面崩壊の危機に瀕している公共交通の安全を再建するため、今後も奮闘する決意である。

 2013年8月4日
 安全問題研究会

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宮城中部で震度5強

2013-08-04 18:36:59 | 気象・地震
「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」について(第69報)-平成25年8月4日12時29分頃の宮城県沖の地震-(気象庁報道発表)

今日正午過ぎに起きた宮城県中部での最大震度5強の地震について短くコメントする。

地震の規模はM6.0と、東日本大震災の余震としてはかなり大きな部類に入る。震源深さが58kmあったからよかったが、3.11同様、10kmの浅い場所が震源だったらこの程度の被害で済まなかっただろう。地震の規模、震源地から見て、最大震度がよく5強で済んだと言えるケースだ。

発震機構(地震のメカニズム)はプレート境界より内側ということもあり、当ブログの予想通り逆断層型だった。圧力軸は東西方向で東日本大震災とは若干異なる。広い意味で3.11の余震とする気象庁の見解に異論はないものの、3.11以降の地震に誘発されて起きた北米プレート内部での関連地震とする見解も一定の説得力を持つように思われる。

リンク先のプレスリリース(9ページ中の4ページ)を見ると、今年以降、余震は徐々に少なくなりながらも、3ヶ月ごとに少し増える、というサイクルを繰り返しているように見える。また、5ページ目の余震発生状況を見ると、宮城県沖でM7以上の余震の震源が東西方向に一線に並んでいるのが気になる。この地域でプレートに強い力がかかり続けていることは明らかであり、今後もこの地域ではM6~7クラスの地震は充分あり得ると考えられる。震源地に近い地方では今後数日、震度4程度の余震にも注意してほしい。

危機的状況にある福島第1原発3号機の状況は、この地震でさらに悪くなったことは間違いない。地震発生後しばらく経ってから状況が急激に悪化する事態もあり得るので、福島原発に近い地域では念のため放射線量にも注意すべきと考える(当ブログ管理人が福島に残っていれば、放射線量の臨時測定を実施する基準に該当する)。

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