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(安全問題研究会コメント)28回目の「8・12」を迎えて~原因究明なきB787運行再開と空の規制緩和に抗議する

2013-08-13 21:05:59 | 鉄道・公共交通/安全問題
1.単独機の死亡事故としては世界の航空史上最悪となった1985年8月12日の日本航空123便旅客機墜落事故から28年を迎えた。安全問題研究会は、亡くなられた520名の乗客・乗務員に改めて深く哀悼の意を表する。

2.今年の御巣鷹山には、この事故の遺族のほか、東日本大震災に伴う大津波で我が子を失った親や、一昨年5月、関越道で起きたバス事故で重傷を負った男性の母親など、多くの事故・災害遺族や関係者が訪れた。日航社長も例年通り事故現場まで登った。御巣鷹の尾根は、公共交通の安全のシンボルとしてますます重要な位置を占めつつある。

3.当研究会も昨年夏、永年の悲願だった御巣鷹山への慰霊登山を敢行した。登山者を拒むかのような険しい山の尾根に立てられた無数の墓標に息をのんだ。このような険しい山中で散っていった520名の無念は察するに余りある。

4.日米航空当局は、燃料漏れやバッテリーからの発火などのトラブルが相次いだ新型機・ボーイング787について、今年1月、異例の運行停止命令を出したが、抜本的な再発防止策がとられないまま運行再開を認めた。ボーイング社は、NTSB(米国国家運輸安全委員会)が開催した意見聴取会で、バッテリーの安全対策について「日本のユアサ社が確認しているので問題ないと思っていた」と責任放棄ともとれる発言をした。事故後に講じた「再発防止策」も、バッテリー発火時に火が周辺に燃え移らないよう容器に密閉、排煙用の排気管を設けただけのものだ。

5.B787型機は、従来機より大幅に軽量化され、機体の製造コストや燃料費を大幅に削減できる(燃料費はB767の2割減といわれる)。ボーイング社や航空会社にとって大きな利益をもたらす機種であることが、日米航空当局が同機の運航再開を急いだ背景にある。

6.最近、日本政府が老朽化によって退役予定の政府専用機(1991年就航、B747型機)の後継としてB777型機を選定する方針であることが報道された。未曾有の財政危機の中で、経費が大幅に削減できるB787型機が政府専用機として採用されなかったことはB787の危険性の傍証だと当研究会は考える。政府要人が乗れないと判断した航空機に国民は乗れというのであれば、日本政府のしていることは事実上の殺人である。

7.このようなボーイング社、日米航空当局の姿勢には御巣鷹事故の遺族も懸念を抱いている。慰霊登山に訪れたある遺族は「安全が置き去りにされている」と国交省の航空行政を批判する。当研究会も、航空機メーカーと航空会社の利益を最優先し、人命を軽視する日米航空当局に強く抗議する。

8.同時に、当研究会は、2010年に不当解雇された日本航空労働者の解雇撤回を強く求める。すでにこの解雇が不要であったことは、稲盛和夫・日本航空元会長自身が明らかにしている。安全のため発言し、行動する労働者の不当解雇を放置すれば、必ず事故となってはね返るであろう。

9.当研究会は、B787の運行再開の撤回、無理な運行体制の問題が指摘されているLCC(格安航空)の見直し、不当解雇者の職場復帰を引き続き求めてゆく。当研究会が目指すのは空の安全であり、御巣鷹山はその原点である。昨年の慰霊登山で見た光景を胸に刻み、航空機事故による犠牲者をこの山で最後にするため引き続き活動していく決意である。

 2013年8月12日
 安全問題研究会

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