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驕り高ぶる安倍政権に痛打 滋賀県知事選で与党敗北

2014-07-13 23:32:18 | その他(国内)
<滋賀県知事選>前民主の三日月氏が初当選 自公が敗北(毎日)

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 任期満了に伴う滋賀県知事選は13日投開票され、無所属新人で前民主党衆院議員の三日月大造(たいぞう)氏(43)が、元経済産業省官僚の小鑓(こやり)隆史氏(47)=自民、公明推薦▽共産党県常任委員の坪田五久男(いくお)氏(55)=共産推薦=の無所属新人2人を破り、初当選した。集団的自衛権の行使を容認した閣議決定後初の大型選挙で与党推薦候補が敗北したことは、安倍政権に打撃となる。2期8年続いた嘉田由紀子知事(64)の路線は継承される。投票率は50.15%(前回は参院選との同日選で61.56%、前々回は44.94%)だった。

 集団的自衛権の閣議決定を巡って内閣支持率が低下する中、自民党の東京都議による女性蔑視のやじ問題も加わり、「1強」状態が続く政権への批判が直撃した。菅義偉官房長官や自民党の石破茂幹事長も応援に入ったが、及ばなかった。政権は原発再稼働や、消費税率10%への引き上げ判断などの課題を抱えており、敗北は今後の政権運営にも影響しそうだ。

 「もったいない」「卒原発」を掲げた嘉田県政の評価や安倍政権の経済政策、原発政策、集団的自衛権などが争点になった。

 三日月氏は5月、嘉田氏から後継指名を受けて議員辞職し、民主党を離党。段階的に原発を減らす「卒原発」を含む嘉田県政の継承を前面に掲げ、嘉田氏と二人三脚で無党派層への浸透を図った。

 小鑓氏は安倍政権の経済政策「アベノミクス」立案に携わった経験から、県の経済再生を掲げ、国とのパイプの太さを強調したが、支持を固めきれなかった。【加藤明子】
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滋賀県知事選で自公与党が敗北した。安倍政権発足後、沖縄・名護市長選を除けば、連戦連勝だった与党の大型選挙での敗北は初めてだろう。当ブログは、与党の敗因を以下の2つだと分析している。

1.驕る安倍政権への批判

最近の安倍政権の傲慢さには耐え難いものがあった。安倍首相はまるで全知全能の神にでもなったかのように、自分にできないことはないと暴走の限りを尽くした。集団的自衛権容認の閣議決定、消費増税、原発再稼働、NHKを初めとしてあらゆる組織・団体に「政治介入」し、周辺を「お友達」で固めるなどのやりたい放題に対し、ついに鉄槌が下ったのだ。

福井地裁で大飯原発運転差し止め判決が出され、反原発運動が活気づいているさなかに元経産官僚の小鑓氏を候補にした自民党の絶望的センスのなさも敗因として指摘できる。与党としては、元経産官僚の小鑓氏を当選させることで大飯判決の「悪影響」を打ち消し、原発再稼働に向け「中央突破」を図る戦略だったのかもしれないが、今回の敗北によってそのもくろみは挫折した。

東京都議会における女性蔑視ヤジにも適切な対応を取らず放置、女性「活用」の本質をさらけ出したことも大きかった。より端的に言えば、スカートを脱ぎ、女を捨て、男に率先して武器を取って戦場に赴く女性だけに「名誉男性」として人権をくれてやる、それ以外の「2級市民」の女性は黙って結婚して子どもだけ産んでいろ、というのが安倍政権の女性「活用」の本質であることがさらけ出されたのである。

これを象徴する「事件」が投票日直前に起きた。小鑓候補の応援に入った自民党女性市議・北村いすずさんに対し、街頭演説の際、同じ自民党の関係者が「お前がいたら勝てる選挙も勝てない」「議員は恥をかかせて育てるんだ」などと公衆の面前で罵倒する騒ぎがあったのだ(参考:こちら)。東京都議会に続く滋賀県知事選運動期間中の「公然パワハラ」は自民党のイメージを決定的に失墜させた。

「ケンカが弱くカネ持ちのせがれ、これがいじめられる」と、集団的自衛権行使容認論を子どものいじめになぞらえた麻生副総理・財務相の「失言」も、大津市でのいじめ自殺事件の記憶が生々しく残る滋賀県で住民感情を逆なでした。極論を言えば、「日本人」で「男」で「正規職」以外は人にあらずと言わんばかりの人権蹂躙、差別主義政党としての自民党が県民から拒絶されたのである。

この分析は、当ブログの「希望的観測」などではなくはっきりした根拠がある。朝日新聞が6月23日付で報道した世論調査の結果(こちら)だ。他メディアの世論調査と同様、ここでも安倍内閣支持率は急落したが、注目すべきは支持率の男女差である。男性の支持50%、不支持31%に対し、女性は36%対35%。特にこれまで安倍政権を支えていた50歳代女性の支持率が急落したとの非公式の分析もある。50歳代女性と言えば、10~30代の若者を子どもに持つ世代だ。福島を初めとする放射能汚染地では自分の子どもが甲状腺がんになるかもしれない。それ以外の地域でも、自分の子どもが「貧困の徴兵制」(他に就職がなく、生きていくためにやむを得ず自衛隊に入らざるを得ない状況に追い込まれること)により戦地に送られるかもしれないと、最も危険を感じている世代でもある。こうした世代を中心に「いのち」「子ども」を価値観の最上位に置く女性からの支持が事実上「崩壊」状態に至ったことは、「いのち」を滅ぼす戦争と原発に狂奔する安倍政治に対する女性からの明確な「拒否」回答である。

2.地域政党「対話の会」の三日月支援

これに対し、野党側が擁立、当選を果たした三日月氏も、小鑓氏ほどではないがお世辞にも適切な候補者とは言い難かった。嘉田由紀子前知事の後継指名を受けたとはいえ、元民主党国会議員で、原発輸出を可能とする原子力協定に賛成。「卒原発」を標榜する資格があるのかはかなり疑わしかった。出身はJR連合傘下の西日本旅客鉄道労働組合(JR西労組)。この労働組合には、JR西日本が福知山線脱線事故という重大事態を迎える中でも、安全対策で積極的な行動や提案はほとんど見られなかった。JR西日本では少数派組合である国労やJR総連系のJR西日本労働組合が安全問題で積極的に行動したのと対照的だった。

こうした状況の中でも三日月氏が当選できたのは、嘉田県政を2期8年にわたって支えた地域政党「対話でつなごう滋賀の会」(対話の会)が三日月氏を支援したことが大きい。1期目の嘉田知事が、県政最大の懸案だった新幹線「栗東新駅」建設を無駄な公共事業の象徴として公約通り「凍結」した後、県議会自民党が嘉田知事を支持するグループと不支持のグループに割れた。こうした経緯もあり、対話の会は保守からリベラルまでかなり幅広い層を含んでおり、その後の大津市長選で越直美氏を当選させるなど、隠然たる影響力を持っている。滋賀県にはこうした特殊な政治環境がある。

いずれにしても、安倍政権を支えていた追い風は今や完全に逆風に変わった。この「追い風から逆風へ」の転換の背後に、巨大な反原発運動、集団的自衛権行使「容認」策動に反対する反戦運動の力があることは言うまでもない。市民が自発的に参加した闘いの力が、国会の議席構成とは無関係に、現実の政治に影響力を及ぼす新しい段階に入ったと言うべきであり、今回の敗北が安倍政権の「終わりの始まり」を彩るものであることは疑いない。

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