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国は今こそ貨物列車迂回対策を!

【管理人よりお知らせ】安全問題研究会が12日、国土交通省申し入れを行います。

2014-09-10 22:41:55 | 鉄道・公共交通/安全問題
管理人よりお知らせです。

安全問題研究会は、来る9月12日(金)午後、JR北海道の安全問題やリニア問題、ローカル線対策について、国土交通省に申し入れを行います。

申し入れ・要請内容は以下の通りとなる予定です。

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2014年9月12日

 国土交通省鉄道局長 様

安全問題研究会


   JR北海道の安全問題、リニア中央新幹線問題等に関する要請書

 当会は、各鉄道の安全や地域公共交通の存続及び利便性向上のための活動を行う鉄道ファンの任意団体です。これまで、国内各地の鉄道を初めとする公共交通に乗車して点検を行う活動、鉄道事故の原因調査や学習会などを通じて安全問題や地方ローカル線問題の検討を行ってきました。その結果、日本の鉄道や公共交通を巡る政策について、改善を要するいくつかの事項が認められるに至りました。

 本日は、そのような改善を要する事項のうち、特に緊急を要するもの及び影響が特に深刻なものについて、下記のとおり要請を行うこととしました。

 当会としては2012年以来の要請となりますが、貴職におかれましては、本要請の趣旨をご理解の上、ぜひ実現していただくとともに、本要請書に対して、2014年9月30日までに文書による回答を行われるよう要求いたします。

   記

《JR北海道問題》
1.JR北海道の特別保安監査、刑事告発及び監督命令を受けた安全対策について

 国土交通省による特別保安監査、刑事告発及び監督命令を受けたJR北海道について、法令遵守意識の徹底をはかるとともに、安全確保に必要な増員等の措置を行わせること。

【説明】
 JR北海道では、2009年頃からレール破断や信号配線ミス、富良野駅における営業列車と保線用車両の衝突などの事態が相次いでいたが、ついに2011年5月には石勝線トンネル内での特急列車火災事故が発生。2013年にもエンジンからの出火による車両火災や貨物列車を中心とした脱線事故、レール保線データの改ざん問題が連続的に起きたことから、国土交通省は特別保安監査の結果に基づき、JR北海道に対する刑事告発を行った。また、これと並行してJR会社法(旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律)による史上初の監督命令が行われたことは周知のとおりである。

 JR会社法に基づく監督命令は、主として経営陣に責任を求めるものであると同時に、国として、JR北海道の企業体質を問題視した結果であると当会は受け止めている。実際に、保線データの相次ぐ改ざんや「野帳」の破棄、また以下の2で取り上げた車両検査体制等の問題は、同社に法令遵守意識が全くなく、また、法令遵守したくてもできないほどの経営効率化を迫られていることを示すものである。また、これは全国1社方式による「内部補助」(儲かる路線で儲からない路線を支える)を否定し、儲からない地方路線だけを集中的にJR北海道に背負わせる形で出発した国鉄分割民営化の明らかな帰結である。

 JR北海道の社員数が、営業キロ1キロメートルあたりで比較した場合、JR東海のわずか3分の1である事実をふまえると、JR北海道には鉄道部門(特に保線、施設、車両部門)の早急な増員とともに、技術の継承を困難にしている業務の外注化を中止することが必要と考える。外注化の中止と増員に向けた具体的な方策を明らかにされたい。

 また、昨年11月、山本太郎参院議員が提出した「JR北海道で発生した連続事故及び日本国有鉄道改革の見直しに関する質問主意書」に対する答弁書において、政府は「JR北海道における輸送の安全を確保し、利用者の安心を確保するため、鉄道事業等監査規則第7条に基づき平成25年9月以降JR北海道に対して実施した保安監査の結果の整理・分析等を踏まえ、引き続き適切に対処してまいりたい」旨を表明している。保安監査の結果を受けたJR北海道の安全対策について、現時点で国として取り組むことが決まっているものがあれば、併せて明らかにされたい。

2.会計検査院から指摘を受けた車両検査体制の改善について

  会計検査院から指摘を受けたJR北海道の車両検査体制の不備について、同社に必要な対策をとらせること。

【説明】
 2012年11月2日に会計検査院が内閣に送付した平成23年度決算検査報告において、JR北海道の車両検査・修繕に不備が指摘され、「是正改善の処置」を行うよう意見表示が行われた。

 具体的には、(1)自動列車停止装置(ATS)車上子の作用範囲を確認する応動範囲試験について、整備標準では交番検査の都度、装置が動作する距離を測定することとされているのに、実際には、3回に1回しか測定しておらず、残りの2回は目視による動作確認を実施しただけであった、(2)整備標準に基づく交番検査の検査項目のうち、測定を行うこととされている項目(測定項目)について、記録状況を5運転所等で共通して配置されている気動車1車種についての測定項目を確認したところ、測定を行うこととされている27項目のうち6項目において、運転所等により検査記録に測定結果が記録されていたり、記録されていなかったりしていて、検査記録が運転所等により異なるものとなっていた、(3)電車の交番検査を実施している2運転所等の検査記録を比較したところ、1運転所等では、測定項目以外の装置の作用及び機能を検査する項目についても記録しているのに、他の1運転所等では、測定項目以外の項目は自動列車停止装置に関するものを除き記録しておらず、検査記録が運転所等により異なるものとなっていた――等である。

 こうした事態は、JR北海道が自社の制定した検査マニュアルさえ遵守せず、日常的、全社的に「手抜き検査・修繕」がまかり通っていたことを示している。また、外部から指摘を受けるまで社内で自浄作用も働かなかったことを意味しており、同社の法令遵守意識を根本から問い直さなければならない深刻な事態である。

 JR北海道は、今後、是正改善の処置を執ったうえで、会計検査院に報告を行う義務が生じるが、監督官庁としても鉄道事業者が日常的に行う車両の検査修繕に対し、不断に検証・指導を行うことは当然である。貴局として今後、どのような対策を考えているのか明らかにされたい。

3.石勝線での列車脱線火災事故に伴う安全基準の見直しについて

  JR北海道・石勝線での列車脱線火災事故を踏まえ、特に車両火災に関する安全基準を強化すること。

【説明】
 当会が、2008年に情報公開制度に基づいて貴局から公開を受けた「鉄道に関する技術上の基準を定める省令の解釈基準」(平成14年3月8日付け国鉄技第157号)を、JR北海道・石勝線での列車脱線火災事故を踏まえて再確認したところ、新幹線と地下鉄以外の車両では座席の表地に難燃性の材料の使用を義務づけているものの、詰め物にはその義務が課せられていなかった。

 新幹線や地下鉄以外の路線でも最近は長大トンネルが増える傾向にあり、新幹線や地下鉄と同様の安全基準が必要であると考える。全ての鉄道車両で座席の表地も詰め物も難燃性の材料使用を義務づける方向で上記解釈基準の改正を行うよう、2012年にも当会として要請を行っている。その後の検討状況はどのようになっているのか明らかにされたい。

4.気動車の検査周期に関する規制緩和について

  国土交通省が2001年に実施した気動車の検査周期の緩和を見直し、元の基準に戻すこと。

【説明】
 国土交通省では、2001年9月、気動車の検査周期について大幅に規制を緩和し、従来「3年(新車は使用開始から4年)または走行距離25万キロメートルを超えない期間」としていたものを「4年または走行距離50万キロメートルを超えない期間」とした。

 一方、この間の新聞報道によれば、2013年4月に発火トラブルを起こした特急「北斗」用車両(キハ183系)は前回の検査からの走行距離は21万キロメートルであったほか、昨年9月にも同様に直前の検査からの走行距離が21万キロメートルでトラブルを起こした例がある。

 長距離列車が多く運行1回あたり走行距離が長いこと、力行運転の時間が多いこと、寒冷地であることなど北海道特有の事情があるにせよ、このようなトラブルの事例から、2001年に行われた検査周期の緩和は全く不適切であったものと当会は考える。この規制緩和を見直し、少なくとも緩和前の基準に戻すよう求める。

《中央リニア新幹線問題》
5.JR東海が進める中央リニア新幹線計画について

  問題だらけの中央リニア新幹線については、全国新幹線鉄道整備法に基づく整備計画の承認を取り消し、建設を認めないこと。

【説明】
 JR東海が進めている中央リニア新幹線は、確たる需要予測もないまま建設が進められており、失敗公共事業の典型である。東京~大阪間全通予定の2045年度における「需要予測」は2011年度における東海道新幹線の輸送実績(443億人キロ)の約1.5倍(年間675億人キロ)という非現実的なもので、2013年9月には山田佳臣JR東海社長みずから「(リニア新幹線は)絶対にペイしない」と発言している。1988年10月には、葛西敬之JR東海会長(当時)が「3分の1は国のカネが必要。ナショナルプロジェクトで推進しなければならない」と発言しており、初めから税金投入ありきでの建設というのがJR東海の認識である。

 JR東海は、建設の根拠として「建設から50年経過し老朽化した東海道新幹線に代替路線が必要」としているが、東海道新幹線の老朽化、代替路線の必要性は認めるものの、リニアの大阪開通が31年後では遅すぎて代替路線とならない。工費を減らし、工期も短縮して現在の新幹線方式で代替路線を造るほうが、現在の新幹線と乗り換えなしで直通でき、適切といえる。

 また、(1)全区間の71%をトンネルが占める状態で事故が起きた場合の避難・救助体制、(2)超伝導磁気浮上式で動くリニアの電磁波の健康への影響、(3)山梨実験線での走行実験で明らかになった騒音問題、(4)静岡県内の生活用水として利用されている大井川での水量の減少、(5)南アルプスの直下、日本有数の地震帯である中央構造線をトンネルで貫くリニアの地震対策…等々、リニア中央新幹線には問題が山積している。一方、リニアによる時間短縮等のメリットは現行の新幹線方式でも実現できるものがほとんどであり、あえてリニア方式で建設する必要性は認められない。

 日本と同様にリニアの建設計画があったドイツでは、連邦議会が特別法を制定して自ら厳格な事業評価を実施した結果、投資回収の困難性、深刻な環境破壊、他の鉄道との直通運転が一切できないネットワーク性の欠如などの問題点が明らかになり、2000年に計画は中止されている。現在、リニア方式による鉄道の建設を計画しているのは世界的にも日本以外になく、今後も見通しは明るくない。このような中でリニア中央新幹線の建設を容認すれば将来に大きな禍根を残すことになる。当会としては、リニア中央新幹線計画を中止すべきと考える。

《整備新幹線及びローカル線問題》
6.整備新幹線及び並行在来線の取り扱いについて

  整備新幹線開業時に並行在来線の経営をJRから分離することを取り決めた「整備新幹線の取扱いについて」(平成8年12月25日政府与党合意)を破棄し、並行在来線の安易な第三セクター転換が行われないようにすること。

【説明】
 この合意のため、過去、1997年の長野新幹線開業時において信越本線・横川~軽井沢間が廃止となったほか、信越本線、東北本線、鹿児島本線のそれぞれ一部がJRから経営分離され、沿線自治体が出資する第三セクター鉄道への移管を余儀なくされた。この移管によって沿線自治体は衰退し、沿線住民は運賃値上げや不必要な乗り換えを強いられるなど、明らかなサービスの低下が見られる。こうした並行在来線の分離は、JRの公益企業としての責任放棄である。

 とりわけ北海道では、2016年に予定されている北海道新幹線新函館開業を機に、並行在来線である江差線が第三セクターに移行することが決まっているが、JR北海道でさえ既存路線の維持に苦しみ、民営化以降すでに道内で10線区が廃止される中で、江差線を第三セクター化することは、事実上同線を即時切り捨てるにも等しい暴挙である。

 鉄道の先人たちが現在に残してくれた在来線鉄道ネットワークを破壊し、「線路はつながっていても一体運行が存在しない」姿に変えた政府与党合意を直ちに破棄し、これ以上の並行在来線切り捨てが行われないよう求める。

7.災害復旧費の国庫補助の拡大について
  黒字鉄道事業者に対し、災害復旧費の国庫補助を禁じている鉄道軌道整備法を改正し、JRにも災害復旧費の国庫補助が行えるようにすること。

【説明】
 自然災害で被災した鉄道事業者に対する国庫補助については、現在、鉄道軌道整備法第8条第4項において、「その資力のみによつては当該災害復旧事業を施行することが著しく困難であると認めるとき」に限って国庫補助を行うことができるとされており、事実上、JRを含む黒字鉄道事業者に対しては国庫補助の道が閉ざされている。

 一方、2011年7月の「福島・新潟豪雨」以来一部区間が運休したままになっているJR只見線(福島県)について、地元からは復旧への強い要望が出ており、今年7月には、自民党国会議員連盟が只見線復旧に対する国庫補助の道を開くため鉄道軌道整備法の改正を目指す方針を確認するなど、政権与党内部からも法改正への動きがみられる。

 国鉄改革関連法案が審議されていた参議院日本国有鉄道改革に関する特別委員会において、1986年11月28日、「各旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社の輸送の安全の確保及び災害の防止のための施設の整備・維持、水害・雪害等による災害復旧に必要な資金の確保について特別の配慮を行うこと」を含む附帯決議が可決されるとともに、当時の運輸相、自治相が「決議の趣旨を尊重する」旨を表明している。国民の公共交通としての国鉄を引き継いだJR線の災害復旧に国が責任を持つことは、国会からの要請であると同時に、国民の基本的人権のひとつである交通権を確保する見地からも必要不可欠のものである。

 東日本大震災という未曾有の大災害により、東北地方のローカル線の多くが被災しており、いまだ復旧に至らない路線もある。資金力を有するJRであっても、災害の規模によっては復旧費の捻出が困難な状況が起こり得ることを示しており、当会としても、国民の交通権を確保するため、基幹交通であるJRの災害復旧には、鉄道事業者の経営状態にかかわらず国が資金拠出の道を開くことが必要と考える。黒字鉄道事業者に対しても国が災害復旧費を補助できるよう必要な法改正を求める。

(以  上)

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