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大阪府北部で震度6弱の地震、大都市直撃で京阪神混乱続く

2018-06-19 21:56:15 | 気象・地震
平成30年6月18日07時58分頃の大阪府北部の地震について(気象庁報道発表)

すでに報道されているとおり、6月18日朝、大阪府北部を震源とする地震があり、高槻市など大阪府北部で震度6弱を記録した。

当ブログ管理人は、ちょうど、出勤のため札幌市営地下鉄に乗っていたところだった。さすがにここ北海道では揺れをまったく感じなかったものの、スマホにインストールしている「Yahoo!防災情報」の警報音がけたたましく鳴り響いた。このアプリは、自分のいる場所以外に警報対象地点を3か所まで登録できる。かつて住んでいた福島県西郷村の他、出かけることの多い東京、大阪を登録している。西郷村を登録解除しないのは、東日本大震災の影響を継続的に見ているためである。

「Yahoo!防災情報」は、バージョンアップによって地震の際の警報音として「NHKの緊急地震速報チャイム」を選択できるようになった。札幌転勤を機に機種変した際、面白半分でこれに設定しておいたら、地下鉄車内で鳴り出し、それを聞いた周りの人がいっせいにスマホを取り出した。さすがにこの警報音は利きすぎのような気がする。

さて、リンク先の報道発表を見ると、地震の規模はM6.1。当初発表の5.9から上方修正されたが、1995年の阪神・淡路大震災は7.3だ。当ブログでは毎度書いているが、マグニチュードで1の差は地震のエネルギーにして32倍に相当する。この記事を書いている時点で5名の方が亡くなっているが、(表現としていささか適切ではないが)これくらいの被害で済んでいるのは、地震のエネルギーが阪神・淡路の32分の1だからと考えていい。

一方で、マグニチュードの割には地表の揺れは6弱と大きかった印象があるが、これは震源深さが13kmときわめて浅かったためである。このため大きな被害を出してしまった。

発震機構(地震のメカニズム)について、報道発表は「東西方向に圧力軸を持つ型(速報)」とだけ述べている。圧力軸という表現になっているので、断層同士が内側に押し合うことで起きる逆断層型、横ずれ断層型のどちらも考えられるが、少なくとも正断層型の可能性はない。断層同士が外側に引っ張り合う正断層型の場合は「張力軸」という表現が使われるからだ。

気になる阪神・淡路大震災との関係だが、気象庁は現時点では否定的見解のようだ。確かにもう23年も前の震災であり、否定したい気持ちはわかる。ただ70億年といわれる地球の生命からすると23年は一瞬に過ぎない。今回地震を起こした「有馬―高槻断層帯」と阪神・淡路大震災を引き起こした「六甲・淡路島断層帯」は隣接しており、重なっている部分もある。完全に否定することは、当ブログとしてはできないように思われる。

また、遠くない将来発生が見込まれる「南海トラフ」地震との関係も気になる。慎重を期さなければならないものの、南海トラフ地震が起きた後「今思えば、あの地震も短中期的余震活動だった」と振り返られる地震のひとつには確実になるだろう。

気象庁は、震度6弱程度の余震に、今後1週間程度注意するよう呼びかけている。実際、余震活動は依然として活発だし、気になるのは1日半経った今も余震の規模がそれほど小さくなっていないように見られることだ(参考)。当ブログからも余震への警戒は引き続き呼びかけたい。特に、震度6弱を受けても倒壊しなかった建物や構造物の中に大きく傷ついているものがあり、そうしたものが強い余震があった場合、倒壊する可能性があることだ。

ところで、緊急地震速報は今回も間に合わなかったようだ。緊急地震速報の「打ち遅れ」がここ数年、続いてきたことで、「役立たず」などの批判の声が大きくなってきている(参考記事)。だが、この記事自身が明らかにしているように、緊急地震速報は伝播速度の速い縦揺れ(P波)と遅い横揺れ(S波)との差を利用して、P波観測段階で地震を予測するシステムである。震源から近ければ近いほど、また震源が浅ければ浅いほど、P波とS波の伝播速度の差は小さくなり、「打ち遅れ」が発生するのである。これはシステムの特性上やむを得ないものだ。

気象庁がこの緊急地震速報のシステムの開発に取り組んでいた10~15年くらい前までは、比較的深い場所で発生する地震が多く、このようなシステムも有効に機能すると考えられた結果、導入が決まった。だが東日本大震災を境として、日本付近ではほとんどの地震が20km未満の浅い場所で発生するようになった。これは気象庁にとって「想定外」だったのではないか。その意味では気の毒といえるが、地震の発生の仕方がシステム開発当時と大きく変わり、緊急地震速報が「打ち遅れ」ばかりになっている現状を見ると、そろそろ「次のシステム」の開発を検討すべき時期に来ていると当ブログは考えている。

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