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【金曜恒例】反原発北海道庁前行動(通算295回目)でのスピーチ/福島からの避難者の現在、そして未来

2018-06-22 23:57:46 | 原発問題/一般
レイバーネット日本の報告はこちら→「北海道のきれいな空気守ろう」「避難者支援を」~6/22北海道庁前反原発金曜行動レポート

 みなさんこんにちは。

 今日は、この道庁前行動では珍しく、福島からの避難者の現状についてお話ししたいと思います。

 避難者に関する報道は今や大手メディアからは完全に消えてしまいました。しかし報道は消えても避難者の存在が消えてしまったわけではありません。福島県から県外への避難者数は、福島県の「公式発表」でも5月現在で約33,800人に上っているのが現実です。

 そんな中、6月13日、水曜日に、東京都内である授賞式が行われました。「日隅一雄・情報流通促進賞」という聞き慣れない賞ですが、『表現の自由、情報公開、国民主権の促進に生涯を捧げた故・日隅一雄弁護士の理念を基に、公正な情報の流通を促進し、真の国民主権の実現に貢献している個人や団体』を表彰するもので、震災・原発事故後の2012年に作られた新しい賞です。

 その賞を、今年は福島県白河市から札幌への「自主」避難者が受賞しました。ラジオカロスサッポロというコミュニティFMで、毎週火曜日の夕方4時に放送されている「つたえるコトバ つながるミライ」という番組のパーソナリティーを務めている方です。原発事故のニュースを含めて一切のタブーを設けず、言いたいことは遠慮せずに言う。そうした「忖度なしのまっすぐな姿勢」が評価されての受賞となりました。番組の後半には、リスナーが気になるニュースについて質問できるコーナーもあり、よく原発事故のことも取り上げられています。2012年からもう6年近く続いており、先日、5月29日で放送300回を迎えました。この道庁前行動もあと5回で300回になります。統一前の旧東ドイツでは、一党独裁に反対する「月曜デモ」が1982年に始められ、7年経った89年にベルリンの壁が崩壊しました。毎週代わり映えがしないように見える行動でも、続けていればあるとき突然、社会を揺るがす力になることがあります。何事も「継続は力なり」だと思います。皆さんも、火曜夕方4時はぜひ、ラジオカロスサッポロを聴いてほしいと思います。

 一方、少し前の話ですが、5月26~27日に行われた「原発避難者の現在、そして未来」集会(主催:避難の権利を求める全国避難者の会)では、「これからの避難者に必要なのは楽しみながら生活を組み立て、足場を固めること。そうしないと国・東電に勝つことはできない」との発言が出ました。この発言をしたのは、福島県伊達市から札幌市への避難者で、雇用促進住宅桜台宿舎避難者自治組織「桜会」元代表の方です。この方の献身的努力により、桜台団地からは、2名の病死者を出した以外、幸いにも自殺者は出さず、今も1~2ヶ月に一度、避難者飲み会も実施し、つながりを維持しています。

 チェルノブイリ原発事故(1986年)以降、何度も現地に足を運び支援を行ってきたNPO法人「チェルノブイリへのかけはし」代表の野呂美加さんの講演では、汚染地に今も残った人が不安、アルコール依存症、経済不安といった問題に直面していることが報告されました。男性の平均寿命が50歳代に低下し、若者は全体の3割しか徴兵に行けないほど病気が増えているとの報告もありました。「だから私たちが生き残ることこそが希望であり、生きのびる必要がある」との野呂さんの言葉は、チェルノブイリを現地住民以外では誰よりも長く見てきた支援者から私たち日本の市民への警告として、重い迫力を持っています。避難区域を極力、狭い範囲に限定し、年間被ばく線量が20ミリシーベルトを超え50ミリシーベルト以下の「居住制限区域」さえ避難指示を解除して帰還を促す日本政府の政策がどのような厳しい未来をもたらすか改めて思い知らされました。

 「自分の意思ではなく、原発事故によって余儀なくされた避難なので“自主”避難という言葉を使いたくないという意見をよく聞くんですが、自己決定権、自分が健康に生きるために住む場所を自分の意思で決める権利の行使という意味で、私は誇りを持って“自主”避難の言葉を使っています」との話も出ました。健康で文化的な生活を営む権利(生存権)や、その前提条件としての居住・移転の自由を保障する憲法に魂を入れていく――そのような活動の一環として、こうしたポジティブな意味での「自主」避難があるということは、もっと強調されていいように思います。

 今回の集会には関わっていませんが、私が出会った別の札幌市への避難者の方は「大手メディアは避難者が避難先でうまくいかずに苦しんでいるという報道ばかり。そればかり見せられたら、自分も後に続こうと思っている人たちまで『そんなに苦しいならやめておこう』となってしまう。避難先で成功している避難者の姿を見せることが、ためらっている人たちへの後押しになる」として、避難者の元気な姿を発信することをメインに活動をしています。避難者が陥っている苦しい状況から目を背けてはなりませんが、それらは事実全体の一面であり、従来は苦しさだけがあまりにも強調されすぎていたようにも思います。

 原発事故から7年、困難な状況に置かれている避難者同士がつながりを維持しながら、いち早く生活の基盤を固めることに成功した人が、苦しんでいる人を助け、支える動きが出て、それが継続していることは重要だと感じました。原発事故という不幸がなければ決して出会うこともなかった人たちが、お互いにとって今、かけがえのない仲間になっている現実があります。避難者がこのつながりを大切に守り、たとえ小さくても火を絶やさず、避難という決断に誇りを持って楽しみながらこの先の人生を歩いていけるよう、支援を続けることが私たちに求められている役割だと思います。そのために、今ここにいらっしゃる皆さんも、どんな小さなことでもいい。避難者への支援を続けていただけたら幸いです。

 今日は以上で終わります。ありがとうございました。

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