人生チャレンジ20000km~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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JR北海道への「別れ」

2018-10-09 00:28:18 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
話は少し遡るが、2年前に受けた胃がんの手術後の診察を受けるため、9月11日、半年ぶりに病院を受診したときのことだ。

前回の受診は3月。今後は半年ごとの受診でよいとのことで、4月に現在の札幌の職場に転勤&転居してからは初めての受診だった。手術を受けた病院(苫小牧市)に引き続き通院したいので、道内の通院できる範囲にしてほしいとの異動希望はそれなりに考慮してもらえたようだ。転勤を機に札幌の病院への転院も考えたが、半年1回の通院ならあえて転院の必要もないと、今まで通りの病院に引き続き通うことにした。

新ひだか町時代は日高本線が長期不通になっていることもあり、片道2時間弱、車を運転して通院しなければならなかった。だがこれからは公共交通機関を使って楽に通院できる。朝9時半に診察開始だったので、9時前に苫小牧駅に着くように、特急「北斗」を使えば、特急料金が片道1,650円(通常期)かかるが、「すずらん1号」なら出発時間が少し早くなる代わり、「すずらんオプション特急券」を使えば料金が330円ですむ。少し早起きすることになっても「すずらん1号」を使おうと思い、準備を進めていた。

9月6日未明の北海道胆振東部地震はすべての計画を狂わせた。それでも、通院当日の11日には停電からも復旧。北海道電力からの節電要請こそ出されていたものの、JR北海道のダイヤも一部の列車が間引きされ、運行本数が減る以外、混乱は収まりつつあった。とはいえJR北海道のことだ。不測の事態もあり得ると思い、事前にJR北海道の公式サイトで確認したが、「すずらん1号」については節電要請に伴う運休の案内はなかった。何とか行けるだろう、と思い、乗車予定の駅に着いた。

だが、ここで不安が的中した。駅の発車案内表示板に「すずらん1号」が表示されていない。みどりの窓口の係員に尋ねると「運休」とのことだった。駅の放送案内を聞いたところ、動物との衝突による運休で、節電要請によるものではないとわかったが、運休は運休だ。自分のスマホで改めてJR北海道のサイトを確認したが、やはり「すずらん1号」については運休の情報はどこにも掲載されていなかった。

あまりに酷い対応に怒りが湧いたが、とにかく通院しなければならない。いったん自宅に戻って車で出直すか、と考えたものの、ここまで来て引き返すのも忍びなく、千歳線の快速「エアポート76号」で何とか千歳駅(8:19着)までたどり着く。しかし今度は乗り継ぐ予定の苫小牧方面の普通列車、2734M(千歳8:46発)がこれまた予告なく「節電要請」を理由に運休。次の列車を確認すると、なんと2738M(千歳9:26発)まで1時間以上も空く。2738Mだと苫小牧には9:49着。9時半開始の病院での診察にはまったく間に合わない。

もちろん、市域を越えて千歳市から苫小牧市まで運転される路線バスもない。空港行き高速バスは千歳駅前からは乗れない。新千歳空港まで路線バスで行けば、苫小牧に出られるバスはあるものの、それも9時半の診察開始までに着けないことが判明。千歳駅前で放り出された私は途方に暮れた。

もう、こうなったら仕方ない。私はタクシーを拾い、病院まで走ってもらった。ギリギリ、診察開始の3分前に病院に着き、何とか間に合った。しかし、タクシー代は7000円もかかり、痛い出費になった。

もちろん、震度7を記録した地震の直後という特殊事情であり、JR北海道を責めるのは酷かもしれない。自力で経営再建の見通しもないこのクソ会社が今さら列車をダイヤ通りに動かせないくらいで私は怒ったりなどしない。問題はホームページにも掲載せず、駅に張り紙すら出さず、こっそりと列車を運休させるという姑息なやり方をとったことだ。特に、今回の北海道大停電は北海道電力の責任が問われることはあってもJR北海道に責任はない。堂々と、電力不足を理由に運休と駅に張り紙くらい出せばよいのに、こそこそと列車運休の理由を隠す動機が私にはまったく理解できないのだ。

結局、この日、診察を終え札幌に戻ってくる際には、北海道中央バスの高速バス、苫小牧~札幌線を使うことにした。高速道路は幸い被災せず、バスは時間通りに運行。地下鉄、バス共通カード「SAPIKA」での運賃支払いもできるのだから、次回からもこれで行こうと心に決めた。

数日後、貨物列車を含め、ダイヤが完全に元に戻ったと聞いた私は、ただでさえ苦しい経営状態の上に停電による減収がのしかかるJR北海道を何とか応援しようと、貨物列車の撮影を兼ねて自宅最寄りの駅に出た。しかしそこでまた「信号トラブル」による運休。お目当ての貨物列車はもちろん、自分が乗る予定だった普通列車も千歳線全体が運休となったため、運休となってしまった。

運休のアナウンスを聴いた瞬間、プチンという音が自分の心の中から聞こえた。憤怒に近い感情が湧き、もう2度とJR北海道になど乗るものか、と思い、そのまま地下鉄で自宅に戻った。

プチンという音は、私の心の中で細い糸が切れる音だった。生まれてこのかた40数年、物心ついたときから鉄道ファンとして生きてきた。「民間企業が運行するローカル線に未来なんてあるわけがない」と、多くのファン仲間が見切りをつけ、国鉄分割民営化を契機に鉄道趣味界を去る中、それでも私はなんとかしてファンであり続けようと努力を続けてきた。JR7社のことも好きであり続けるためにエネルギーを注ぎ続けた。しかし、この相次ぐ「裏切り」に、ついに私とJR北海道をなんとか辛うじてつないできた最後の細い糸が、切れてしまったのだ。

北斗星、トワイライトエクスプレス、カシオペアなど写欲をそそる寝台特急列車が消え、すでに数年の歳月が流れた。ただでさえJR北海道を対象に趣味活動を続けていくモチベーションがなかば失われつつあったときにこの仕打ちだ。私はJR北海道を公共交通としてはもちろん、趣味活動の対象としてもまったく考えられなくなった。道内の移動でJR北海道以外の選択肢がある限り、私は今後、そちらを選ぶだろう。

路線を維持する活動だけは、自分のためではなく住民のためでもあり、またそれが住民が私に求めている役割である限り、続けることになる。だがもうこの会社を対象に趣味活動を継続していくというモチベーションは完全に失われてしまった。

2030年の北海道新幹線札幌延伸を、JR北海道の体制のまま迎えられるとは私は思わない。再国有化されるかJR東日本に吸収されるかして、いずれこの会社の名は消える。だがその前に、趣味活動の対象としては別れを告げるときが来たように思う。さようならJR北海道。多くの夢を見せてくれた栄光の過去だけは、忘れることはないだろう。

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