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2月13日23時08分頃の福島県沖の地震について

2021-02-14 10:21:29 | 気象・地震
令和3年2月13日23時08分頃の福島県沖の地震について-「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」について(第89報)-(気象庁報道発表)

衝撃的地震から一夜が明け、被害状況が次第に明らかになってきている。確認しておきたいのは、この地域での震度6強かつM7超えの地震は2011年4月8日に起きたもの(M7.4)以来、10年ぶりの規模であるという点だ。

気象庁報道発表を見ると、発震機構(地震のメカニズム)は西南西ー東北東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、方向まで含め、東日本大震災と同じである。地震の規模はM7.3で、1995年の阪神・淡路大震災とほぼ同じ。東日本大震災はM9.0である。マグニチュードが1大きくなると、地震の規模は約32倍になるので、今回の地震の持つエネルギーは、東日本大震災のほぼ1000分の1だったことになる。巨大津波が10年前は発生し、今回はしなかったのは、このエネルギーの差にあるとみてよいだろう。

気象庁は、今回の地震について、東日本大震災の余震との見解を示している。同じ震源域でもあるし、そうしておきたいという思惑のようなものも見えるが、当ブログはこの点に関してはやや見解を異にする。

今年1月、政府の地震調査研究推進本部(地震本部)が「長期評価による地震発生確率値の更新について」という資料を公表している。添付資料(PDF版)には日本周辺で発生の可能性がある海溝型地震、活断層型地震の発生予測が示されている。A4で34ページにも及ぶ膨大なものだが、この資料の32ページに注目すべき見解が示されている。大半の読者にとって探すのが面倒な資料だと思うので、当ブログが抜き出して示すと、以下の部分である。



M7.0~7.5クラスの「IIIランク」の地震について、宮城県沖では発生周期が「12.6~14.7年」、発生確率は10年以内に50%、30年以内に90%、50年以内では「90%以上」と示されている(赤囲み部分)。東北の太平洋沖は地震の巣であり、発生確実とされる地震の中にはこのような周期の短いものもある。東日本大震災からまもなく10年ということを考えると、発生周期が10年程度の短い地震の中から、そろそろ「次」が来てもおかしくない状況になっているのである。

気象庁の報道発表資料に戻ると、昨夜発生した地震の震央は、日本海溝(プレート境界)よりかなり西側になっていて、北米プレート内部で発生した地震と評価せざるを得ないようにも思える。海溝型地震とするには、震央が海溝から遠いようにも思われるからだ。だが、観測網の整っている直下型地震と異なり、観測網の脆弱な海底を震源とする地震では後日の調査・研究の進展の結果、震源の位置を含めて見直されることもある。後の調査・研究の結果、昨夜の地震が長期評価に示された「宮城県沖IIIランク地震に該当する」として、データが見直される可能性もあるのだ。

この意味で、当ブログは気象庁の昨夜の発表にある「東日本大震災の余震」との評価には直ちに同意できない。別の新しい地震の可能性もあるということは見ておかなければならないと思う。新たな別の地震の場合、昨夜の地震が前震で、この後に本震が来る、という可能性は捨てきれない。大きな揺れに見舞われた地域では、避難所や避難経路、非常持ち出し品、避難する場合は避難先でのコロナ対策も含め再確認をするなどして備えてほしい。

最後に、地震本部が地震の発生確率をどのような手法で予測しているのかについて、この際、少し述べておこう。簡単に言うと、震源域ごとに過去の地震を調査して、発生の周期性を割り出した上で、前回の地震発生から現在まで何年経過しているかによって今後の発生確率を予測するのである。

子どもの頃、縁日や祭りなどに出かけた際、露店で回転式のおみくじを回した経験は誰しも持っているだろう。白玉ならハズレ、赤玉が出たら当たりで景品がもらえる、というものだ。このおみくじで、例えば10個あたり赤玉が1個(白9、赤1)の割合で玉が入れられており、一度誰かが引いた玉はおみくじ機には戻さない、と仮定しよう。最初の段階では赤玉が出る確率は10%だが、5人引いた段階でいずれも白玉だった場合、その後くじを引く5人の間で赤玉が出る確率は20%に上昇する。8人まで引いても赤が出なかった場合、最後の2人の間では赤玉を引ける確率は50%まで上がる。地震本部の発生予測はこれと同じシンプルな考え方である。平均100年周期の地震が50年起きなかった場合、残り50年間で発生する確率はそれまでの2倍--という形で予測しているのである。それだけに、地震本部の発生予測は比較的よく当たっている。

地震本部がこうした予測確実な手法を用いているにもかかわらず、原発運転差し止めや福島原発事故の賠償を求めた訴訟で半分近い裁判所がそれを「信頼性がない」として採用しないのは謎である。おそらく、運転容認の結論があらかじめ決まっていて、地震本部の予測はその結論と矛盾するため採用できないのであろう。こうした非科学的な判決が続いているのは残念としかいいようがない。3.11からまもなく10年を迎える今、当ブログは、改めて原発は不要であり、全国全原発は廃炉にすべきと強く訴えたい。

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