安全問題研究会(旧・人生チャレンジ20000km)~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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JR脱線現場で速度超過 遺族ら改めて不信感

2010-10-28 23:19:09 | 鉄道・公共交通/安全問題
JR脱線現場で速度超過 遺族ら改めて不信感(産経新聞)

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JR福知山線脱線事故が起きた兵庫県尼崎市の現場カーブで、快速電車が速度超過で緊急停止しながら、JR西日本が公表していなかったことが27日、明らかになった。事故の遺族らは、同社への不信感を募らせる半面、改めて社員の意識向上を願う声も。専門家からは「きちんと社員教育につなげるべき」との意見が上がった。

 「幹部は安全対策に取り組んでいるのだろうが、現場の社員に意識が足りない」。事故で妻と妹を亡くした浅野弥三一(やさかず)さん(68)=同県宝塚市=は、快速電車の運転士の安全意識を問題視。次女が負傷した三井ハルコさん(54)=同県川西市=も「現場の人は、乗客すべての命を預かっていることを意識してほしい。JR西は対応策を考えてほしい」と訴えた。

 また、長男を亡くした木下廣史さん(52)=横浜市鶴見区=は「都合のいいことだけ公表し、後ろめたいことは隠すJR西にはあきれて言葉が出ない」と憤慨。長女を亡くした藤崎光子さん(70)=大阪市城東区=は「ミスをミスと認めて謝罪をしないと、次の事故につながる。隠蔽(いんぺい)体質を一掃し、安全第一にしてほしい」と強調した。

 一方、鉄道問題に詳しい関西大の安部誠治教授(公益事業論)は「快速電車の運転士のブレーキ遅れについては、JR西がきちんと原因を調べて運転士の教育につなげるべきだ」と指摘する一方、「今回の件については、重大な事故につながる事象ではなく、冷静に受け止める必要がある」とも話した。
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先日の記事でも少し触れたが、最大の問題点は速度超過そのものよりも事実を隠したことだ。JR西日本の隠蔽体質は未だ変わらないと受け取った遺族・関係者は多いだろう。

もちろん、速度超過は起きるよりは起きない方がいいに決まっている。しかし、事故現場には速照ATSが設置され、事故当時より安全性は飛躍的に向上した。人間は誤りを犯すとの前提に立った補完システムがきちんと機能したのである。当ブログは「重大な事故につながる事象ではなく、冷静に受け止める必要がある」という安部教授と基本的に同じ認識である(それをJR西日本側から言い出してはいけないが)。

何度も同じことを繰り返したくないが、JR西日本は「利用者・遺族とともに歩む鉄道事業者」にならなければならない。今回の事例はフェイルセーフが正常に機能したものであり、大事故につながる危険なものではないから、JR西日本はみずからの過ちをきちんと公表する勇気を持ってほしい。
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