管理人よりお知らせです。
昨年11月の大統領選で返り咲きを果たしたドナルド・トランプ氏の政権が日本時間1月20日に発足しましたが、トランプ氏の任期は今回が最後(米国の規定では大統領は「生涯で2期8年まで」とされているため、今回が2回目の就任であるトランプ氏の任期は今回が最後)であるせいか、1期目にも増して米国第一主義を強く打ち出しています。
すでに、「メキシコ国境に非常事態を宣言し、移民の入国を制限」「メキシコ湾をアメリカ湾に改名」「性別は男女の2つだけと規定(性的少数者の権利否定)」など、どこの独裁者かと思うような常識外れの政策を次々と打ち出しています。
米国では、連邦議会上下両院とも共和党多数で占められ、連邦最高裁判事も9人中6人が親トランプの保守派で占められています。このため、トランプ政権の政策が司法の場で覆されることにもほとんど期待できません。2年後の中間選挙で共和党が少数にならない限り、三権分立もまったく機能する見込みがありません。
(日本ではあまり知られていませんが、米国の連邦最高裁判事には任期がないため、一生続けることも法制度上は可能です。このため、共和・民主両党とも政権を獲得すると、できるだけ若い判事を任命することが通例となっています。現在の連邦最高裁判事は多くが第1次トランプ政権で任命された人たちです。)
トランプ大統領に近いITプラットフォーム大手各社は、利益のため露骨に政権に擦り寄る姿勢を見せており、X社(旧ツイッターを運営)、メタ社(フェイスブックを運営)はファクトチェックを廃止する方針を打ち出しています。
当初、ファクトチェック廃止は英語圏だけの話だと思っていましたが、日本にも及んでいます。レイバーネット日本の運営委員で、当研究会代表もよく知る人物が、先日、レイバーネット日本の記事「太田昌国のコラム : ドナルド・トランプの2期目を迎えるいま、思うこと」をフェイスブックに転載したところ、記事が削除されるという「事件」がありました。「根っからの男性優位主義に立つ、このマッチョな独裁者」「「帝国主義者然」とした貌」などの表現がメタ社の検閲基準に抵触した可能性があります。
たとえ合法的手続を経て選出された政権であるとしても、移民や性的少数者を容赦なく差別・排除し、自分に反対したり、自分を批判したりする言論を、理由の説明もなく封殺するようなトランプ政権を民主主義国家の政権とみなすことはできません。ある国のある政府が民主主義的だと認められるためには、単に成立過程が合法的であるという外形的要件を満たすだけでは足りず、その政府が市民の権利を守り、民主主義的な政策を民主主義的な過程を経て決定するという内実もきちんと伴っている必要があります。成立過程が合法的でありさえすればよいというのであれば、ナチス・ドイツもイスラエルのネタニヤフ政権も、すべて「民主的」に選挙で選出され成立しています。
その意味で、トランプ政権はまったく民主主義的な政府ではありません。その具体的な行動原理や行動パターンは、プーチン大統領や習近平国家主席、金正恩総書記とまったく変わりません。
したがって、当ブログと安全問題研究会は、トランプ政権が終わる2029年1月までの間、米国をロシア・中国・北朝鮮と同じ「専制独裁国家グループ」の一員とみなして言論・論評活動を行うことになりますので、読者の皆様におかれましてもその旨をご理解いただきたいと思います。