本書は北条氏康が、戦国大名・小田原北条家の三代目当主になってから、四代目当主を嫡子の氏政に譲ったことを経て、その死去後までの、およそ三十年少しを対象に、氏康・氏政を支えた一門・家老に焦点をあてて、北条家の政治・軍事動向における、大名家執行部にみられた人員構成とその変遷の状況を述べてきたものである。(本書あとがきより)
小田原北条家は五代百年続いた。その中の三代から四代目の変遷であるので中核の三分の一が書かれていることになる。
氏康は家督を氏政に譲ったからといって、家の運営から全く退くのではなく、氏政を補佐するよりはむしろ前面に立って指示をしていたことが本書からわかる。
度々攻め込んでくる武田信玄に対し、軍事面で拠点となる城の在城主に氏康は指示を出していた。
領国の運営と外的への備えそして防御を、当初は氏康と氏政の二大当主の形態で巧みに行っていることが、一門・家老・寄親などの配置や代替わりと絡めて本書はわかりやすく書かれている。
戦国大名家の中では内訌(家督争い)がなかったことが、五代百年続いた大きな理由であるのは間違いないと思うが、当主の代替わりに伴う家老などの家臣も大きな争いなどを起こさずに代替わりできたことも重要な要素だと本書を読んでわかった。
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