戦国時代ーー。日本史上、最も過酷な時代に、武将たちは何を考え、どう行動したのか?
時に一瞬の迷いが一家滅亡を招き、時に果敢な決断が家運の興盛につながる。
「関ヶ原の戦い」という天下分け目の決戦を中心に、生き残りをかけた戦国武将たちの明暗を解き明かす。
通説はもとより、最新の研究成果も積極的に紹介しながら、堅苦しくなりがちな歴史研究の最前線を、わかりやすく、面白く紹介していく。
本書カバー裏、紹介文より
まえがきでいきなり、
「ぼくの本は売れません。本人は一生懸命いいことを書いているつもりなのですが、残念ながら全然。
ー中略ー 何が理由か、と。
まあ、答えは至ってシンプルですね。面白くないから。認めたくはありませんが、そうとしか考えられないわけです。」
いきなり自虐的なコメントのまえがきから始まる本書。
本人は、なぜ面白くないのかの理由をいろいろと巡らした結果、そのひとつとして「歴史資料へのこだわり」をあげている。
ここでこう言い切ればかっこいいな。と思いながらも同時にそれを妨げる歴史資料の存在が頭の中に持ち上がってしまう。
ああ、だめだ言い切れない。こうも言える、ああも言える。そこにためらいが生まれ、書き方が臆病になってしまう。
書いている本人がイラつくのですから、読者はなおさらでしょう。爽快感がない。と自己分析が続きます。
まあ、著者は東京大学史料編纂所教授ですから、そりゃあ毎日歴史資料と向き合っていてその知識と見解は、凡人の私には想像できないほど、豊富で知己に満ちているに間違いありません。
そんな自己分析?を踏まえて書かれた本書、面白かったですよ。素直に。
著者の方針として、いつもより「軽め」に叙述することに心を配り、「ああでもない、こうでもない」はなるべくやめて、スピード感を大事にする。
論拠にいちいち立ち返るのではなく、読みやすくするーーー。
方針どおり、肩を張って読むことにはならず、スピーディーな展開でそこかしこにウィットに富んだ裏話も盛り込まれ、「へえ〜、そうだったんだ」なんて楽しみながら読むことができました。
全12章で構成され、ひとつひとつがそれほど長くなく、堅苦しい歴史書ではなくすっきりと明快な読み物風に書かれています。
読んで面白かったのは、関ヶ原の勝者側(東軍)であっても様々な理由で、論功行賞が少なかった武将がかなり存在していたこと。
武将の明暗が、戦い方で決まるのはわかる。
武将を取り巻く人間(婚姻)関係も大きく影響していたことも想像できる。
でも、どんな理由でどのように明暗が別れたのかーーー著者の幅広い知識がうまく織り込まれ、ちょっと主観も入ってその過程をなかなか楽しく読むことができた。
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