今日はときどき小雪が舞う寒い1日となりました。白い息を吐きながらの通勤です。
さて、先日から読んでいる小林秀雄の『ゴッホの手紙』で気になる箇所がひとつ。それは「絵は複製で見る。誰も彼もが、そうして来たのだ、少くとも、凡そ近代芸術に関する僕等の最初の開眼は、そういう経験に頼ってなされたのである」というところ。文学や美術に精通している小林こそ、複製よりも本物を見ろと言いそうな気がするのですが、調べてみたら、この本が書かれたのは昭和20年代。今でこそ、日本各地に美術館があって、西洋美術を見やすい環境にありますが、この時代はそうではありませんでした。西洋美術は本物よりも、その複製や印刷で学ぶことが多かったのでしょう。考えてみれば、いち早く西洋美術を図版で取り上げた『白樺』の影響力は大きかったし、のちに大川美術館を作ることになる大川栄二氏も画家が描いた週刊誌の表紙を集めることがコレクターのきっかけとなったというし、この小林もゴッホの複製画を見て『ゴッホの手紙』を書くきっかけになったとを考えると、私が思う以上に複製画のちからは大きいのかもしれません。先の言葉は、当時の西洋美術に対する認識のひとつを示唆していて興味深いものでした。
さて、これから週末にかけて寒い日が続くよう。皆さまもどうぞ暖かくして、体調をくずさないよう、気を付けてお過ごしください。
さて、先日から読んでいる小林秀雄の『ゴッホの手紙』で気になる箇所がひとつ。それは「絵は複製で見る。誰も彼もが、そうして来たのだ、少くとも、凡そ近代芸術に関する僕等の最初の開眼は、そういう経験に頼ってなされたのである」というところ。文学や美術に精通している小林こそ、複製よりも本物を見ろと言いそうな気がするのですが、調べてみたら、この本が書かれたのは昭和20年代。今でこそ、日本各地に美術館があって、西洋美術を見やすい環境にありますが、この時代はそうではありませんでした。西洋美術は本物よりも、その複製や印刷で学ぶことが多かったのでしょう。考えてみれば、いち早く西洋美術を図版で取り上げた『白樺』の影響力は大きかったし、のちに大川美術館を作ることになる大川栄二氏も画家が描いた週刊誌の表紙を集めることがコレクターのきっかけとなったというし、この小林もゴッホの複製画を見て『ゴッホの手紙』を書くきっかけになったとを考えると、私が思う以上に複製画のちからは大きいのかもしれません。先の言葉は、当時の西洋美術に対する認識のひとつを示唆していて興味深いものでした。
さて、これから週末にかけて寒い日が続くよう。皆さまもどうぞ暖かくして、体調をくずさないよう、気を付けてお過ごしください。