語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>政府の情報隠蔽・印象操作あれこれ

2011年06月02日 | 震災・原発事故
●原子炉のメルトダウン
 5月15日、東京電力は、福島第一原発の1号機がメルトダウンしていたことを認めた。24日には、2号機、3号機もメルトダウンしている、と公表した。
 多くの専門家が、事故直後にメルトダウンの可能性を指摘していた。これを政府が知らなかったはずはない。
 3月12日前後の段階で原子炉のメルトダウンが始まっていたとしたら、溶融物に水をかけることで大規模な水蒸気爆発が起こり、壊滅的な被害が出る可能性があった。多数が避難できないまま急性被曝で死ぬ可能性があった。そんな危機的なときに、東電は「これはチェルノブイリとは違う」と言っていた。【後藤政志】

●大気汚染
 東京都内や関東近郊では、大気中の放射線量を18~20mなどという“鳥の目線”で計測している。数値が実は地表より低く出ていることを説明していない。

●海洋汚染
 魚の頭・内臓・骨を抜き取って測定し、“安全”をアピールした。

●文部科学省の研究報告書
 文科省は、管轄下の財団法人・放射線影響協会に調査委託し、研究報告書『原子力発電施設等放射線業務従事者等に係る疫学的調査』を10年3月末にまとめている。これによれば、次のように累積10mSvから死亡率が増加するなどの危険性があるのだが、政府は知らぬ顔で、大人も子どもも区別なく年「間の被曝許容量20mSv」に引き上げてしまった。
 食道ガン、肺ガン、肝臓ガン、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫は、放射線累積線量とともに有意に増加する傾向が認められる。その増加は、累積10~20mSvから現れている。
 ガンの死亡率は、累積線量とともに有意に増加する傾向を示す。死亡率の増加は、累積10mSvから認められ、累積20mSvからは、さらに高まっている。
 
●放射線医学総合研究所の資料
 放射線医学総合研究所は、原発事故後の3月25日に「甲状腺等価線量評価のための参考資料」を報告した。これは体内被曝に係る資料で、きちんと公表していれば避ける方法はいくらでもあったのだ。資料は次のように記す。
 3月12日から23日までの12日間、甲状腺に0.2μSv/時の内部被曝をした場合【注】、
  1歳~3歳未満児・・・・108mSvの被曝
  3歳~8歳未満児・・・・64mSvの被曝
  18歳以上・・・・16mSvの被曝

  【注】福島第一の3号機が爆発した3月15日、東京の一部には20μSvの内部被曝に相当する放射性物質が降り注いだ。

●政府発表の放射性物質の数値
 セシウムとヨウ素が中心で、プルトニウムやストロンチウムなどの数値はほとんど公表されていない。
 プルトニウムは、政府が公表しているγ線の20倍の悪影響がある。ストロンチウムは、新陳代謝が活発な子どもが骨に取り込むと、骨の成長を阻害する。しかし、政府には、福島の子どもを疎開させる、といった発想はない。

 以上、記事「捨てられた日本国民」(「週刊現代」2011年6月11日号)に拠る。
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【震災】原発>テレビが中継しない参議院参考人発言 ~小出裕章・後藤政志・石橋克彦・孫正義~

2011年06月02日 | 震災・原発事故
 5月23日、参議院行政監視委員会において、4人の参考人が、これまでの原発事故に対する政府や東電の対応、これまでの原子力政策について厳しい批判を行った。
 テレビは、この注目すべき委員会を中継していない。

●小出裕章(京都大学原子炉実験所助教)
 3月15日、東京ではヨウ素やセシウム、テルルといった放射性物質が1立方米当たり数百ベクレル検出された。86年のチェルノブイリ原発事故のとき日本に降った量の何百倍、何千倍という濃度だ。
 しかし、このデータを公表しようとしたところ、上司から「パニックを煽る」と言われた。
 行政も数値は把握していたはずだが、「パニックを止めよう」という力がいろいろ働いたのだろう。
 名前は明かせないが、自分の同僚でも、検出したデータを公表しないよう言われた人が何人もいる。

●後藤政志(元東芝の原子炉設計者)
 今回の事故では人為ミスが重なっている。苛酷事故が起きる可能性を「小さい」と言って無視してきた原子力安全・保安院の責任は大きい。もし次に原発事故が起きれば、日本は壊滅する。安全が確信できない限り、原発は段階的に止めていくしかない。

●石橋克彦(神戸大学名誉教授(地震学))
 日本は、ヨーロッパであれば絶対に原発を作らないような場所(地震多発地帯)に原発を作っている。日本の原発は、すべて“地震付き”の原発であることを忘れてはならない。

●孫正義(ソフトバンク社長)
 政府の放射線量の公表数値は、γ線の数値だけだ。自分は、α線とβ線も計れるガイガーカウンターを持っている。それで東京都内を計ると、公表数値の2倍くらいの数値になる。政府はウソをついていないが、本当のことも言っていない。

 以上、記事「捨てられた日本国民」(「週刊現代」2011年6月11日号)に拠る。
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