共産党東京都議団は、5月6~25日、都内全域を1辺10kmの正方形に区切って、地上1mで計測した。高めの数値が多かった東部地域や豊州周辺地域は、さらに細かい5km四方に区切り、地表面や地上0.5mでも計測した。
もっとも高かったのは、葛飾区にある水元公園入り口の草地表面で、0.618μSv/時。同公園では、他の地点でも高い数値が出ている。
高線量域は、東部に集中している。足立区綾瀬6丁目の野球場センターそばの草地が0.257、江戸川区上篠崎4丁目の篠崎公園B地区入り口付近が0.254など。
江東区と練馬区を結ぶ線から東側では、年間1mSvを超える可能性が高い。築地市場の移転が計画されている豊州でも0.181あった。
ホットスポットには、放射性物質の雲「プルーム」が風に乗って移動し、まだらにたまる広範囲な「ビッグホットスポット」だけではなく、地表に落ちた放射性物質が雨や風、靴などに付着して二次的に集まる「ミニホットスポット」がある。江東区住吉2丁目の猿江公園が砂地では0.134であるのに対し、草地表面では0.233に上昇するのは、木の下や草むらはミニホットスポットになりやすいからだ。【武田邦夫・中部大学教授】
放射性物質は、チリやほこりにも付着して移動する。ほこりや水がたまりやすい雨樋、側溝、玄関先に加え、エアコンのファンやフィルターも要注意だ。
空中に舞い上がらないよう水拭きするとよい。栄養を十分にとって、ストレスを感じなければ、DNAの修復量も高まる。【武田教授】
以上、記事「あなたの街の放射能汚染」(「週刊朝日」2011年6月24日号)に拠る。
*
日本共産党東京都議団が5月25日に公表した調査結果によれば、都の公表値以下の数値にとどまったのは、杉並区や大田区の一部、町田市などの僅かな地域のみ。都東部では、江戸川区で0.181μSv/時、江東区で0.186、足立区で0.257、葛飾区で0.391と軒並みに高い線量が検出された。
年換算で3.5mSv/時は、自然界に含まれている線量を加算しても高すぎる数値だ。
東京都東部に隣接する千葉県松戸市や柏市で行われた別の調査では、共産党都議団の調査に近い数値が出た、と聞く。葛飾区や足立区などのJR常磐線沿線がホットスポットになっているのかもしれない。【伴英幸・NPO法人「原子力資料情報室」共同代表】
千葉県では、5月31日と6月1日、県内6市で独自に調査した。野田市などでは、地上1mで0.09~0.23(地上50cmで0.10~0.25)だったのに対し、柏市では地上1mで0.33~0.49(地上50cmで0.35~0.54)という結果が出ている。柏市や葛飾区を含む一帯がホットスポット化している疑いが強まる。
.共産党都議団がデータをホームページで公開した翌日、すぐに10万件のアクセスがあった。
都環境保健課でも遅まきながら対策を講じ始めている。6月15日から1週間程度調査を行う、と発表しているほか、同20日以降は都内の希望があった区市町村に対し、都が確保した70台の線量計を1~2台ずつ貸し出す、とも発表している。
しかし、都の調査は透明性が担保されていない。6月10日、都の市区町村の担当者104人を都庁に集め、都環境保健課による説明会が開かれた。説明会における配付資料には、測定場所の「望ましい条件」として、「土が露出している(アスファルト、コンクリートなどの人工物で覆われていない裸地)」「草などが生い茂っていない」という2つの条件が付記されていた。アスファルトと草地は、共産党都議団の調査でも相対的に高い数値が検出される傾向のあった場所だ。そして、子どもたちの遊び場所になりやすい場所だ。これらを避けて測るのは、何のための調査なのか、わからない。
「もし都が今後も継続的に測っていくなら、条件をそろえるために『土の上』に限定するのも理解できる。しかし今回のような場合、公園の芝生など住民が日常的に立ち入る場所のデータも必要ですし、計測自体はさほど時間がかかるものでもないのですからこちらも実施すべきです」【坂巻幸雄・日本環境学会幹事/元工業技術院地質調査所主任研究官】
都は、現時点でこれ以外の調査を行う予定はない、という。
以上、古川琢也「東京都でも年間1ミリシーベルト超か」(「週刊金曜日」2011年6月17日号)に拠る。
*
共産党都議団の調査精度を確認するために、「AERA」誌編集部は10地点で独自に測定した。結果は、ほぼ合致した。
例えば、渋谷駅前では0.12μSv/時だった。以前、水道水から乳児の摂取基準値を超える湯訴を検出した葛飾区の金町浄水場の前は、4倍強の0.51を観測した。
東京都内に関して、もう一つ興味深いデータがある。下水汚泥から検出された放射性物質だ。
都内では23区に5ヵ所、多摩地区で7ヵ所、都が管理する下水の最終処理場がある。都は震災後、それぞれの施設で処理した脱水汚泥とその焼却灰に含まれるセシウムなどの濃度を測定している。汚泥から放射能が出るのは、下水が雨水も取り込んでいるからだ。
各施設は、それぞれ下水の受け持ち地域が決まっている。よって、汚泥の放射線量の濃度は、処理場の受け持ち区域の放射線量の濃淡をある程度反映していることになる。
「AERA」誌編集部は、下水処理施設/地域ごとに脱水汚泥からの放射線量濃度を整理した(「汚泥マップ」)。検出されている放射性物質3種類のうち、セシウム137で比べたところ、最も高い「葛西水再生センター」(江戸川区)は、やはり足立区や葛飾区、江戸川区から出る下水を受けもっている。次いで高い「みやぎ水再生センター」(足立区宮城)は足立区の一部から出る下水を、3番目に高い「東部スラッジプラント」(江東区新砂)は江戸川区や墨田区、台東区など、やはり東京都東部から東京湾にかけて出る下水汚泥を処理している。
江東区の汚泥処理施設「東部スラッジプラント」は、東京湾に面する。汚泥の焼却灰から12,000Bqのセシウム137が検出されている。
5月下旬、この施設周辺の空間放射線量は、施設北側の公園や住宅地などでは0.09~0.28μSv/時あった。周辺土壌からは2,300Bq/時の放射性セシウムが検出された。これに対し、施設の南側、つまり海側の空間線量は低かった。大気中に放出された汚泥の焼却灰が海からの風に乗って、施設の北側にホットスポットを作った可能性がある。【山内知也・神戸大学教授】
茨城、千葉、東京の1都2県にまたがるホットスポットが生じた理由は、3月21日の雨だ。ちょうどその頃、周辺の上空に福島第一原発から飛散してきた放射性物質を雨が地表に降下させたのだ。【早川由紀夫・群馬大学教授】
当時、東大柏キャンパスでは放射線量を測定していた。3月20日14時では0.12μSvだったが、21日は0.74に跳ね上がった。
以上、野村昌二・岩田智博(編集部)「一目でわかる東京プラス関東6県 詳細データ付き 放射能ホットスポット」(「AERA」2011年6月20日号)に拠る。
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もっとも高かったのは、葛飾区にある水元公園入り口の草地表面で、0.618μSv/時。同公園では、他の地点でも高い数値が出ている。
高線量域は、東部に集中している。足立区綾瀬6丁目の野球場センターそばの草地が0.257、江戸川区上篠崎4丁目の篠崎公園B地区入り口付近が0.254など。
江東区と練馬区を結ぶ線から東側では、年間1mSvを超える可能性が高い。築地市場の移転が計画されている豊州でも0.181あった。
ホットスポットには、放射性物質の雲「プルーム」が風に乗って移動し、まだらにたまる広範囲な「ビッグホットスポット」だけではなく、地表に落ちた放射性物質が雨や風、靴などに付着して二次的に集まる「ミニホットスポット」がある。江東区住吉2丁目の猿江公園が砂地では0.134であるのに対し、草地表面では0.233に上昇するのは、木の下や草むらはミニホットスポットになりやすいからだ。【武田邦夫・中部大学教授】
放射性物質は、チリやほこりにも付着して移動する。ほこりや水がたまりやすい雨樋、側溝、玄関先に加え、エアコンのファンやフィルターも要注意だ。
空中に舞い上がらないよう水拭きするとよい。栄養を十分にとって、ストレスを感じなければ、DNAの修復量も高まる。【武田教授】
以上、記事「あなたの街の放射能汚染」(「週刊朝日」2011年6月24日号)に拠る。
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日本共産党東京都議団が5月25日に公表した調査結果によれば、都の公表値以下の数値にとどまったのは、杉並区や大田区の一部、町田市などの僅かな地域のみ。都東部では、江戸川区で0.181μSv/時、江東区で0.186、足立区で0.257、葛飾区で0.391と軒並みに高い線量が検出された。
年換算で3.5mSv/時は、自然界に含まれている線量を加算しても高すぎる数値だ。
東京都東部に隣接する千葉県松戸市や柏市で行われた別の調査では、共産党都議団の調査に近い数値が出た、と聞く。葛飾区や足立区などのJR常磐線沿線がホットスポットになっているのかもしれない。【伴英幸・NPO法人「原子力資料情報室」共同代表】
千葉県では、5月31日と6月1日、県内6市で独自に調査した。野田市などでは、地上1mで0.09~0.23(地上50cmで0.10~0.25)だったのに対し、柏市では地上1mで0.33~0.49(地上50cmで0.35~0.54)という結果が出ている。柏市や葛飾区を含む一帯がホットスポット化している疑いが強まる。
.共産党都議団がデータをホームページで公開した翌日、すぐに10万件のアクセスがあった。
都環境保健課でも遅まきながら対策を講じ始めている。6月15日から1週間程度調査を行う、と発表しているほか、同20日以降は都内の希望があった区市町村に対し、都が確保した70台の線量計を1~2台ずつ貸し出す、とも発表している。
しかし、都の調査は透明性が担保されていない。6月10日、都の市区町村の担当者104人を都庁に集め、都環境保健課による説明会が開かれた。説明会における配付資料には、測定場所の「望ましい条件」として、「土が露出している(アスファルト、コンクリートなどの人工物で覆われていない裸地)」「草などが生い茂っていない」という2つの条件が付記されていた。アスファルトと草地は、共産党都議団の調査でも相対的に高い数値が検出される傾向のあった場所だ。そして、子どもたちの遊び場所になりやすい場所だ。これらを避けて測るのは、何のための調査なのか、わからない。
「もし都が今後も継続的に測っていくなら、条件をそろえるために『土の上』に限定するのも理解できる。しかし今回のような場合、公園の芝生など住民が日常的に立ち入る場所のデータも必要ですし、計測自体はさほど時間がかかるものでもないのですからこちらも実施すべきです」【坂巻幸雄・日本環境学会幹事/元工業技術院地質調査所主任研究官】
都は、現時点でこれ以外の調査を行う予定はない、という。
以上、古川琢也「東京都でも年間1ミリシーベルト超か」(「週刊金曜日」2011年6月17日号)に拠る。
*
共産党都議団の調査精度を確認するために、「AERA」誌編集部は10地点で独自に測定した。結果は、ほぼ合致した。
例えば、渋谷駅前では0.12μSv/時だった。以前、水道水から乳児の摂取基準値を超える湯訴を検出した葛飾区の金町浄水場の前は、4倍強の0.51を観測した。
東京都内に関して、もう一つ興味深いデータがある。下水汚泥から検出された放射性物質だ。
都内では23区に5ヵ所、多摩地区で7ヵ所、都が管理する下水の最終処理場がある。都は震災後、それぞれの施設で処理した脱水汚泥とその焼却灰に含まれるセシウムなどの濃度を測定している。汚泥から放射能が出るのは、下水が雨水も取り込んでいるからだ。
各施設は、それぞれ下水の受け持ち地域が決まっている。よって、汚泥の放射線量の濃度は、処理場の受け持ち区域の放射線量の濃淡をある程度反映していることになる。
「AERA」誌編集部は、下水処理施設/地域ごとに脱水汚泥からの放射線量濃度を整理した(「汚泥マップ」)。検出されている放射性物質3種類のうち、セシウム137で比べたところ、最も高い「葛西水再生センター」(江戸川区)は、やはり足立区や葛飾区、江戸川区から出る下水を受けもっている。次いで高い「みやぎ水再生センター」(足立区宮城)は足立区の一部から出る下水を、3番目に高い「東部スラッジプラント」(江東区新砂)は江戸川区や墨田区、台東区など、やはり東京都東部から東京湾にかけて出る下水汚泥を処理している。
江東区の汚泥処理施設「東部スラッジプラント」は、東京湾に面する。汚泥の焼却灰から12,000Bqのセシウム137が検出されている。
5月下旬、この施設周辺の空間放射線量は、施設北側の公園や住宅地などでは0.09~0.28μSv/時あった。周辺土壌からは2,300Bq/時の放射性セシウムが検出された。これに対し、施設の南側、つまり海側の空間線量は低かった。大気中に放出された汚泥の焼却灰が海からの風に乗って、施設の北側にホットスポットを作った可能性がある。【山内知也・神戸大学教授】
茨城、千葉、東京の1都2県にまたがるホットスポットが生じた理由は、3月21日の雨だ。ちょうどその頃、周辺の上空に福島第一原発から飛散してきた放射性物質を雨が地表に降下させたのだ。【早川由紀夫・群馬大学教授】
当時、東大柏キャンパスでは放射線量を測定していた。3月20日14時では0.12μSvだったが、21日は0.74に跳ね上がった。
以上、野村昌二・岩田智博(編集部)「一目でわかる東京プラス関東6県 詳細データ付き 放射能ホットスポット」(「AERA」2011年6月20日号)に拠る。
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