(1)味噌
チェルノブイリ原発事故後、日本から輸出量が急増し、旧ソ連や欧州の人々が競って食べたものがある。味噌だ。
きっかけとなったのは、秋月辰一郎『体質と食物』だ。英国で出版された。
秋月氏は、1916年生。生来虚弱だったが、89歳まで生きた(2005年没)。しかも、長崎の爆心地から1.4キロの距離にあった浦上第一病院(現・聖フランシスコ病院)で被曝しながら。当時、秋月氏は同病院の医師だった。氏も、同じ病院の看護婦(当時)で今も健在な細君(93歳)も、従業員も、患者の救助、付近の人々の治療にあたったが、原爆症は発症していない。「その原因の一つは『わかめの味噌汁』であったと私は確信している」と、氏は著書で書いている。
原爆投下後、氏は玄米飯に塩を加え、味噌汁を毎日従業員や患者に食べさせた。そもそも、以前から院内に備蓄された味噌とわかめを使った味噌汁が日常食だった。被曝後は、砂糖は許可せず、近くでとれた南瓜や茄子の味噌漬けを食べさせた。
空中の放射線量も高く、当然、南瓜や茄子のとれた土壌も汚染されていた。生き延びた秘訣は味噌にあった。【渡邊敦光・広島大学原爆放射線医科学研究所名誉教授】
渡邊名誉教授、爆放射線医科学研究所の実験によれば、味噌には外部被曝・内部被曝の両方に対する防護効果(小腸細胞の再生・セシウム137が筋肉から減少)がある。
味噌の産地や素材を変えた実験も行われている。唯一差が出たのは、熟成期間の違いだった。
熟成段階で生まれるメラノイジンが放射線防護効果のある成分かもしれない。【渡邊名誉教授】
メラノイジンは、醤油にも含まれる。実験では、味噌に比べると結果は劣るが、小腸の再生に一定の効果があった。
納豆にも、放射性物質からの防護効果がある、とされる。大豆の発酵時に生まれる成分に何らかの防護効果があるのではないか、と考えられている。
ただし、防護効果を高めるには、日頃から味噌を食べていることが重要だ。「一日2杯の味噌汁を飲んでほしい」【渡邊名誉教授】
(2)海苔
チェルノブイリ原発事故では、もうひとつ注目を浴びた食品がある。スピルリナだ。海苔の一種で、藍藻綱ユレモ目に属する。たんぱく質が多く含まれ、日本では健康食品として販売されている。
ベラルーシの放射線医学研究所の実験によれば、スピルリナ服用によって、被害の大きかった地区の子どもの尿中の放射線レベルが減少した。スピルリナには、体内のセシウムやストロンチウムを吸着し、排出する働きがある、と考えられている。
内部被曝が怖い理由の一つは、放射線が体内の水分子を攻撃し、毒性の強いフリーラジカル(OHラジカル)という分子を生むからだ。OHラジカルは、活性化すると細胞膜に穴をあけ、その穴から細胞内に入った放射性物質が遺伝しを傷つける。その結果起きた細胞の突然変異がガンへと進行する。
しかし、OHラジカルは抗酸化作用のある物質で除去できる。
味噌に含まれるメラノイジン(アミノ酸と糖質が結合してできる)も、スピルリナに含まれるβカロチンやビタミンEも、強い抗酸化作用を持っている。
(3)茶
サトウキビに付着している黒酵母に含まれるβグルカンや、お茶に含まれるカテキンには抗酸化作用がある。免疫力を高める。DNAは、免疫力があれば自力で回復する。ただし、お茶のなかでも太陽光下で新芽を育てる煎茶や番茶などの苦いお茶にしかカテキンは含まれていない。【長谷川武夫・京都府立医科大学特任教授】
赤ワインに含まれるポリフェノールも抗酸化作用がある、と言われている。
以上、澤田晃宏・福井洋平(編集部)「放射性物質から体を守る食品 一日2杯の味噌汁が効く」(「AERA」2011年6月13日号)に拠る。
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チェルノブイリ原発事故後、日本から輸出量が急増し、旧ソ連や欧州の人々が競って食べたものがある。味噌だ。
きっかけとなったのは、秋月辰一郎『体質と食物』だ。英国で出版された。
秋月氏は、1916年生。生来虚弱だったが、89歳まで生きた(2005年没)。しかも、長崎の爆心地から1.4キロの距離にあった浦上第一病院(現・聖フランシスコ病院)で被曝しながら。当時、秋月氏は同病院の医師だった。氏も、同じ病院の看護婦(当時)で今も健在な細君(93歳)も、従業員も、患者の救助、付近の人々の治療にあたったが、原爆症は発症していない。「その原因の一つは『わかめの味噌汁』であったと私は確信している」と、氏は著書で書いている。
原爆投下後、氏は玄米飯に塩を加え、味噌汁を毎日従業員や患者に食べさせた。そもそも、以前から院内に備蓄された味噌とわかめを使った味噌汁が日常食だった。被曝後は、砂糖は許可せず、近くでとれた南瓜や茄子の味噌漬けを食べさせた。
空中の放射線量も高く、当然、南瓜や茄子のとれた土壌も汚染されていた。生き延びた秘訣は味噌にあった。【渡邊敦光・広島大学原爆放射線医科学研究所名誉教授】
渡邊名誉教授、爆放射線医科学研究所の実験によれば、味噌には外部被曝・内部被曝の両方に対する防護効果(小腸細胞の再生・セシウム137が筋肉から減少)がある。
味噌の産地や素材を変えた実験も行われている。唯一差が出たのは、熟成期間の違いだった。
熟成段階で生まれるメラノイジンが放射線防護効果のある成分かもしれない。【渡邊名誉教授】
メラノイジンは、醤油にも含まれる。実験では、味噌に比べると結果は劣るが、小腸の再生に一定の効果があった。
納豆にも、放射性物質からの防護効果がある、とされる。大豆の発酵時に生まれる成分に何らかの防護効果があるのではないか、と考えられている。
ただし、防護効果を高めるには、日頃から味噌を食べていることが重要だ。「一日2杯の味噌汁を飲んでほしい」【渡邊名誉教授】
(2)海苔
チェルノブイリ原発事故では、もうひとつ注目を浴びた食品がある。スピルリナだ。海苔の一種で、藍藻綱ユレモ目に属する。たんぱく質が多く含まれ、日本では健康食品として販売されている。
ベラルーシの放射線医学研究所の実験によれば、スピルリナ服用によって、被害の大きかった地区の子どもの尿中の放射線レベルが減少した。スピルリナには、体内のセシウムやストロンチウムを吸着し、排出する働きがある、と考えられている。
内部被曝が怖い理由の一つは、放射線が体内の水分子を攻撃し、毒性の強いフリーラジカル(OHラジカル)という分子を生むからだ。OHラジカルは、活性化すると細胞膜に穴をあけ、その穴から細胞内に入った放射性物質が遺伝しを傷つける。その結果起きた細胞の突然変異がガンへと進行する。
しかし、OHラジカルは抗酸化作用のある物質で除去できる。
味噌に含まれるメラノイジン(アミノ酸と糖質が結合してできる)も、スピルリナに含まれるβカロチンやビタミンEも、強い抗酸化作用を持っている。
(3)茶
サトウキビに付着している黒酵母に含まれるβグルカンや、お茶に含まれるカテキンには抗酸化作用がある。免疫力を高める。DNAは、免疫力があれば自力で回復する。ただし、お茶のなかでも太陽光下で新芽を育てる煎茶や番茶などの苦いお茶にしかカテキンは含まれていない。【長谷川武夫・京都府立医科大学特任教授】
赤ワインに含まれるポリフェノールも抗酸化作用がある、と言われている。
以上、澤田晃宏・福井洋平(編集部)「放射性物質から体を守る食品 一日2杯の味噌汁が効く」(「AERA」2011年6月13日号)に拠る。
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